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2013年5月

脱原発を超えて、持続可能な文明への方向—本の紹介—

現在、日本は、311大震災にともなって起った福島第1原子力発電所の深刻な事故の結果、原発の必要性/不必要性が、真剣に検討されている。昨年夏の実績から判断し、また今夏の予想によれば、日本の電力需要は、原発なしで賄えることは明白である。しかるに、自民現政権は、国内原発再稼働,原発海外輸出に力を入れている。なぜか、それは、原発によって利権を得ている電力企業とそれに関連する企業が、その利権を確保することに固執しているからであろう。そして、原発立地の自治体のあるものは、自治体政権を掌握するものが、原発関連による利益を継続して保持しておきたいためであり、国全体,国民多数の幸福などは無視している。それよりも、原爆、原発がもたらす、自然にはない放射性物質は、本質的に生命とは相容れないものであり、これの継続使用は、人類、いや地球上の全生命を滅ぼしかねない(落合栄一郎著「原爆と原発—放射能は生命と相入れない」(鹿砦社、2012年)。

これは実はほんの1例に過ぎず、現在の人類社会では、少数の企業家/資本家などの利益の増大への固執が、大多数の人々を不幸に陥れている。そして、利益の増大は、いわゆる「成長経済」によってなされ、そして多くの国民も経済は成長あるのみ、成長なくば、不幸になると思いこんでおり、アベノミックスなる幼稚な経済成長策に惑わされている。

人々がもっともっとモノを消費することのみが奨励されている。現在の地球上の人類70億が、日本や欧米諸国と同じ程度の物質を消費することになれば,地球の資源が枯渇すること、いやとてもそれだけでは足りないことは目に見えている。ということは、おそらく次ぎの世代の人間には、ほとんど何も残らないであろう。(“花は花は花は咲く、私はなにを残しただろう”ー本当に私達は、なにを残すことになるだろう;何も残らなくなるのでなるのではないだろうか)そして、こうした物質への飽くなき渇望は、資源獲得のための、国際紛争をさらに激しくさせる。 

すなわち、現在の人類の諸問題は、こうした人類の物質欲の無制限な増大、それを促して、儲けようとする少数の人間達の金銭欲に起因するところが多い。こうした人類文明は、アメリカという国、その国民、企業家達に代表される。

さてこうした問題のいくつかを考察した書を紹介させてください。それは,最近発行された「病む現代文明を超えて持続可能な文明へ」(落合栄一郎著、本の泉社刊)です。ここにその目次を添付しますので、どうか、ご覧になって、検討、議論、批判などなど、こうした問題に皆さんが目を向けて下されば幸いです。なを、表紙は現代画家の最新作「メルトダウン」で、それだけでも一見の価値があるかと思います。

 

 

病む現代文明を超えて持続可能な文明へ」

 

著者落合栄一郎

292頁、201328日発行、本の泉社

 

            目次

 

 アメリカ文明の黄昏

 アメリカの帝国主義的心情と戦争意識

1.1初期の歴史

1.2アメリカの戦争意識の基礎

1.3アメリカの平和主義者達・リベラル派

1.4人類の将来とアメリカ

 アメリカ帝国主義の一形態エコノミックヒットマンの物語

 非軍事面での帝国主義

3.1優生学

3.2食料を制するものは人間を制す

3.3緑の革命

3.4農畜産業の工業化

3.5遺伝子革命

3.6最後にー自然の反抗

 政治・戦争・新自由主義における「悪」

 アメリカ的文明の黄昏

5.1市場資本主義の退廃コーポラテイズム

5.2覇権主義奢り

5.3アメリカ的文明の持続不可能性

 

 人類の当面する基本的問題

 法人の人格とい問題

6.1成立過程とその影響

6.2法人の人格とその責任

6.3「企業の人格」を否定する動き

 ペーパーマネーのあやふやさ

7.1「カネ」とはなにか

7.2投機による諸物価の高騰

7.3金融危機に関して

7.4金融危機再びか

7.5ユーロ圏の財政危機とTPP問題

 人口問題-

8.1世界人口ついに70

8.2人口問題と生物多様性の減少̶人間中心主義

 新自由主義̶市場経済の退廃

9.1グローバル化貿易の完全自由化の是非

9.2企業の様々なごまかし・不正・不法行為

9.3製薬会社の犯罪的行為

9.4資源獲得競争

9.5軍事国家アメリカ

9.6アメリカの武器輸出

9.7中国とい

9.8アメリカNATOによる中国・ロシア包囲

10 成長経済からの脱却

10.1成長収縮定常経済へ

10.2少ない物質で有意義に生きるとい挑戦

10.3自己抑制精神の欠如

11 宗教への妄信と選民意識

11.1人間はなぜ権威といものに追随するのか

11.2オスローの悲劇とその背景̶選民意識̶

12 科学・技術信仰/専門化/教育など

12.1科学・技術への信仰と悪用

12.2人間社会の専門分化と体制維持

12.3教育のありかた

 

 アメリカ的文明・経済危機を乗りこえて持続可能な文明へ

13 総論

13.1概観

13.2歴史的展望

13.3持続可能な未来社会のアトライン

14 物質的・エネルギー的制約、物理的制約気候変動など

14.1エネルギー的制約

14.2物質的制約

14.3物理的制約

15 人口問題-

15.1人口と食料

15.2人口の制御

16 21世紀初頭の経済体系の問題持続可能文明形成を阻むもの

16.1必要と需要新古典派経済学

16.2新古典派経済から新自由主義へ

16.3グローバリズム

16.4カネとモノを等価と看做す誤り--未来のデイスカント

16.5カネとモノを等価と看做す誤り--金融の経済支配

17 江戸期のモデル

17.1持続した社会概観

17.2なぜ江戸社会は持続できたか

17.3「自己制御抑制」の精神

18 持続可能な未来文明のイメージ

18.1持続可能な社会文明の概観

18.2資源・エネルギー・環境

18.3インフラストラクチャー

18.4個人の開発

18.5社会システム

18.6政治システム

18.7経済システム

19 持続可能文明への道のり

19.1世界観・価値観の変革

19.2経済通念と経済産業構造の変革

19.3変革実現の仕方

 

 

 

 

 

 

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放射能の健康被害についての科学的研究—その態度

以下は、ある人による児玉龍彦東大教授の「ジキルとハイド」氏的行動についての評論に刺激されて書いたものである。

 

 東京大学とい権力社会に君臨する官僚などを生み出してきた組織の中にいると、権力側にとりこまれてしま人が多いようです。それにしても、官僚的な部分法科その他はともかく、科学的な部分は、科学の本質を理解し、政治・経済・権力などとは関わりなく、真実を追求する人間が大部分と思っていたし、そあるべきと思っていたが、その部分でも権力側に取り込まれて、ニセ科学的行動をしてしま人間が多い、人間とは何と弱いものかと、思う。

 放射能、脱原発運動では、さらに難しい本質的な問題がある。それは放射能の生命への被害の科学的根拠を確立するのが、非常に難しいからである。といのは、生命に被害を与える原因は、無数にあるからで、放射能との関連を特定するのは、原理的に非常に難しい。そのため、原子ムラの人間は、放射能の影響は科学的に因果関係を証明できないーだから、心配する必要がないと大衆に宣伝するといことは、論理のすり替えで、証明できないものは存在しないものとする。ところが、脱原発を主張する側にも、それを強調するあまり、非科学的な主張放射能の影響についてのとんでもないウソー例えば、ピカの被害は他人にうつるを振りまく少数派があり、混乱がはなはだしい。こなかで、どこまでが科学的に主張できるかの判断は非常にむずかしい。

 真摯な科学的態度では、放射能の影響を過小評価する傾向が強い。ある原子力科学者は、チェルノブイリにも深く関与されて、真摯に問題に対応されているが、残念ながら、放射能の影響をなるべく少なく表現するーといことは、科学ではこれまでしか言えないといことではあるのだがある意味科学者としての良心にしたがっているのだろ。そして、そのよな科学的・良心的と一般には考えられるこの科学者の言っていることを、こんどは金科玉条のごとく奉る人々が多い。そのため、放射能の影響を強調する人間たとえ科学的には正常でもをデマゴーグとして排斥する傾向が、最近は特に増えてきたよに思われる。それは、福島の放射能問題を風化させる傾向に拍車をかけている。

 科学的態度とは、控えめに発言することではないと思われる。例えば、ほとんどの科学者(原子ムラ内部外部を問わず)は、放射能の影響をガンにのみ結びつけ、DNAへの作用のみに言及する。放射性微粒子が、DNAを見分ける能力があって、それだけを標的にしていると仮定しているかのようである。それこそ、非科学的である。放射能は, DNAどころか、生体内のあらゆる物質に無差別に作用する。問題はDNAへの作用以外は、ほとんど研究されていないので、ほとんど言及することができないだけなのである。放射能の影響がないのではないのである。このため、現在でもガン以外の健康被害が放射能による可能性はほとんど考慮されていない。実際はチェルノブイリでも、ガン以外の様々な健康障害は明らかに観察されているのだが。科学者ならば、放射能はDNA以外にも様々な細胞分子へ作用するはずだということは理解できるだろうし、むしろDNAへの作用は比較的希な作用だといえる、ぐらいの少し突っ込んだ発言は可能だと思われる。が、大部分の科学者はそうした深く突き進んだ思索態度をもたないようである。このように自己に暗示をかけて、もうこれ以上進む必要がない、考える必要がないという態度が蔓延している現状では放射能の生体への影響の科学的解明は進展がむずかしい。このような浅い知識・探求の上の結論を科学的と称し、科学的にものを充分に考えない人々は、このような結論以外の発言を直ちにウソ・デマと攻撃する。実に浅薄な対応の仕方である。

落合栄一郎


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