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2013年4月

汚染水対策をほっぽらかし、「第2制御室」は5年猶予し、電気は足りてるのに原発再稼働にまい進する規制委員会は、電力会社救済委員会か! 福島原発事故の収束を東電任せにするな! 傍聴して肌で感じた規制委員会の実態!

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2013年4月10日 NHK総合テレビ「ニュース7」より

汚染水対策は具体策なし

 4月10日、午前10時半から開かれた今年度第2回の原子力規制委員会を傍聴してきた。

 テレビで見慣れた田中俊一・規制委員長などの顔がズーッと遠くに見える。

 傍聴席には80人以上が詰めかけていた。

 最初の議題は「福島原発地下貯水槽からの漏えいについて」。

 4月3日に初めて汚染水漏れに気づいたような報告に対し、すかさず傍聴席から「ひと月前から分かってた!」と声が飛んだが、無視して報告(「0002_01.pdf」をダウンロード)が続く。

 地下貯水槽の「安全性」は昨年夏、規制委員会の前身「原子力保安院」の審査で保証されていたが、その反省もなかった。

 地下「貯水槽」が「汚染水垂れ流し装置」だったことが明らかになり、すでに汚染水を安全にためる容量が不足、汚染水対策の破綻が明らかになっているにもかかわらず、打ち出された方針(「0002_02.pdf」をダウンロード)は、

 「事業者に対して継続的な改善を求めるとともに、それらを確実なものとする原子力規制委員会/原子力規制庁としての対応の強化」

 「現地検査官の対応や情報発信についての原子力規制委員会/原子力規制庁としての対応の強化」。

 何も具体策が出てこない。

 「要するに何をやるんですか?!」と怒りの声が飛ぶ。すかさず規制庁職員が飛んできて「静かにしてください!」。

 東電は地下貯水槽の汚染水を、増設する地上タンクに順次移していく方針だが、これはあくまでも当座しのぎ。

 山側から毎日400トン流入し海側へ流れていく地下水の防止対策を講じない限り、いずれタンクを増設する場所がなくなるのは目に見えている。

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 しかし地下水流入防止対策は、まったく議論もされず、12日(金)に開かれる「第8回特定原子力施設監視・評価検討会」(「0008_00.pdf」をダウンロード)に丸投げされた。 

5キロ圏外は原則としてヨウ素剤を事前配布せず

 あいまいだったヨウ素剤配布について、

1.PAZ(5キロ圏内目安)では地方自治体が事前配布

2.PAZ外では、地方自治体が事前備蓄

3.緊急時の服用は原子力規制委員会が判断。

の方針が「原子力災害対策指針(改定原案)」に書き込まれ、「緊急時モニタリング等の在り方」と合わせて4月10日から5月9日まで、パブリック・コメントを募集するという(「0002_05.pdf」をダウンロード )。

 「国民の声にちゃんと応えてください!」と声があがる。

 いざ事故が起こって、放射能が洩れるかも知れない、急いで避難しなくちゃ、という時に、ヨウ素剤を配る暇があるとは信じられない。

 5キロ圏外も当然事前配布しておくべきだろう。

 「事前備蓄」にとどめておこうという方針には、「原発に不安を感じさせたくない」という魂胆が透けて見える。

「リスクはゼロにならない」なら、原発やめろ!

 原発の「安全目標」が議題になっていて、田中委員長をはじめ各規制委員は口々に「リスクはゼロにならない」と得意げに繰り返した。

 「だから原発をとめろ」と何人もの傍聴人が発言した。

 規制委員会はフクシマを経てもなお、「万が一」事故った時の原発災害の恐ろしさを無視し、普通の交通事故みたいに扱おうとしているのだ。

 「リスクはゼロにならない」という主張は「5年猶予」問題の前哨戦だったようだ。

「第2制御室」は5年猶予!

 最後の議題は「原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則(案)等に対する意見募集の実施について」 。

 何のこっちゃと思ったら、これが「新規制基準」のパブリック・コメントのこと!

 しかもその「新規制基準」の中には、パブリック・コメントでも散々批判された「第2制御室(特定安全施設)」と「所内恒設直流電源設備(3系統目)」の猶予期間が、突如「5年間」と書き込まれていたのだ!

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2013年3月31日 朝日新聞朝刊2面より

 傍聴席からは「なぜ5年なのか、説明して!」「地震もテロも5年待ってくれないよ」などの声が次々に上がり騒然となったが、規制委員会は無視してさっさと閉会。そそくさと退室していった。

 規制委員会が自ら「必要だ」として義務づける「第2制御室」や「所内恒設直流電源」が、なぜ5年間は「なし」でいいのか? 答えられる訳もない。

電気は足りている!
原発の再稼働より、まずフクシマ収束を優先せよ!
東電任せにしないで、国が収束機関を作れ!

 規制委員会は年月のかかる「第2制御室」などは「5年猶予」して、ともかく原発を再稼働できる仕組みを整えようと必死だ。

 「5年猶予」について規制委員会では何の議論もされなかった。

 10日の委員会に突然「5年猶予」と明記した文書が出され、何の討論もなしにパブコメにかけることが決められた。

 公開の規制委員会とは別に、ウラの会議ですでに決まっていたのだ。

 そんなにしてまで原発を再稼働しなくても、電気は足りている。

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 今年の夏は「節電要請」すらしないで済むという。

 それでも「原子力規制委員会」が再稼働させたいのは、「原子力」を守りたいのか、電力会社を守りたいのか?

 今、急を要するのはフクシマを収束させる態勢を作ることだろう。

 私も収束作業は東電任せにしてきたが、このままではとても収束はおぼつかない。

 地下貯水槽が水漏れすることは、ごみの最終処分場問題に関わった人ならすぐ分かったはずだ。

 東電は賠償費用も除染費用も、事故処理費用も、すべて国から借りて、電気代で返さなければならない。

 だから費用をすべてけちり、福島第一原発への地下水流入防止対策には手を付けようとしない。

 その結果、毎日400トンの汚染水を貯蔵する羽目に陥り、ずさんな地下貯水槽で墓穴を掘ってしまったのだ。

 東電を実質国有化した政府が直接乗り出して、必要な人材を集め、十分な資金を注ぎ込まなければどうにもならない。

 「原子力規制委員会」を名乗るのなら、まさにその体制作りを提案するのが急務なのだ。

(アース)

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