福島でシジミチョウ、アブラムシに形態異常、遺伝子変化、腫瘍! 放射線量が高いほど形態異常が多い! 内部被ばくで形態異常に!
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3月8日、TBSテレビのNスタで、福島県の昆虫に形態異常が多発していることが放映されました。
大瀧丈二准教授(琉球大学)が調査したのはヤマトシジミという小さな蝶です。
![]() ヤマトシジミ |
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ヤマトシジミは羽根を広げても15ミリ程度の小さな蝶で、東北地方以南に広く生息しています。
福島県のヤマトシジミにはさまざまな形態異常が現れています。
2013年3月8日 TBSテレビ Nスタより 以下、同様
上の図は羽根の模様の異常です。
片方の脚が短くなっています。
上の写真の触角は正常ですが、下の写真の触角は異常です。
福島県ではヤマトシジミの異常が多く見られます。
放射線の空間線量率が高いところほど、異常が多いことが分かります。
2011年5月の第1回調査では異常発生率は約12%で、異常の度合いもほとんどが軽いものだったそうです。
ところが2011年9月の調査では35。5~38.5%に異常が見られました。
世代を重ねるにつれ、異常が多発しているのです。
福島で採集したヤマトシジミ同士を交配すると、おなかにいくつも腫瘍があるヤマトシジミや、眼の中央が陥没したヤマトシジミなどが生まれました。
左右の茶色いところが眼 その中央部が陥没しています。
異常になった精子と卵子から生まれた子どもには、異常が多くなるわけです。
ヤマトシジミは約1ヶ月で世代交代するので、次々に異常が蓄積されていきます。
ヤマトシジミの幼虫はカタバミの葉を食べます。
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沖縄のヤマトシジミの幼虫に福島のカタバミを食べさせたところ、触角の異常や眼の陥没など、福島と同じような異常のあるヤマトシジミが生まれました。
放射能汚染されたカタバミを食べて内部被ばくし、形態異常のヤマトシジミが生まれたわけです。
なお、寒冷地に住むヤマトシジミの一部に羽根模様の異常が出る(「コールドショック」)ことが知られています。
コールドショックで変わるのは羽根の模様だけです。
福島の異常は眼や脚に異常が起こるので、コールドショックとは別物です。
北海道大学農学研究院の秋元信一教授が調べたのはアブラムシです。
アブラムシは体長1~3ミリ程度の非常に小さな虫です。
植物に口吻を突き刺して汁を吸います。
アリと共生し、分泌物を与える代わりに、アリに守ってもらっているので、アリマキとも呼ばれます。
2012年6月に福島県川俣町で採集したアブラムシの一種(オオヨスジワタムシ)の約1割に、今まで全く見たことのないような形態異常が見られました。
左側のアブラムシは正常ですが、右側のものは腹部が二つに別れています。中央のやや上にある茶色いものは、脚がもう一本できかけたものではないかと推測されています。
各地の形態異常率を比べてみると、福島以外ではせいぜい5%程度なのに対し、福島では13%に達しています。
しかも腹部が二つできるなど重度の形態異常は、福島が群を抜いて多いのです。
アブラムシの遺伝子配列を調べた結果、複数の個体で遺伝子配列が変化していることが確認されています。
アブラムシを採集した福島県川俣町は計画的避難区域で、この2年間農業は行われておらず、農薬は使われていないそうです。
放射線により遺伝子配列に異常が起こり、形態異常が引き起こされた可能性が考えられます。
イギリスでは1987年まで、カナリアを使って炭鉱の有毒ガスを検知していたそうです。
世代交代の早いヤマトシジミやアブラムシは、ヒトの形態異常やがんなどの危険性を知らせる「カナリア」です。
被ばくをできるだけ避けるため、政府は避難、保養などの権利を具体的に保障すべきです。
追伸
「週刊 東洋経済」の2013年4月3日号に「福島原発周辺で『動植物異常』相次ぐ」 という記事が掲載され、ヤマトシジミやニホンザルなどに異常が発見され、研究者が被曝影響と指摘していることがくわしく紹介されています。
金曜は全国で抗議を!今年こそ原発ゼロに! 大飯原発を停止せよ! 首相官邸・国会議事堂周辺抗議
3月22日(金)、29日
午後6時~8時(予定)
首相官邸&国会議事堂周辺
国会議事堂前駅は大混雑が予想されます。
霞ヶ関駅、虎ノ門駅、桜田門駅をご利用ください。
主催:首都圏反原発連合
3月30日(土) 原発災害と生物・人・地域社会 チラシはこちら午前10時~午後6時
東大農学部弥生講堂 一条ホール(東京都文京区弥生1-1-1 東京大学弥生キャンパス内)
参加費・予約不要です。
プログラム
◆開会挨拶(10:00~10:10)
◆第1部(10:10~12:10)
放射能の生物影響と初期被曝量評価
座長 小澤祥司/NPOエコロジーアーキスケープ
「飯舘村全域を対象とする放射能汚染と初期被曝量評価の試み」
今中哲二/京都大学原子炉実験所
「飯舘村での低レベルガンマ線場を用いたイネの遺伝子発現実験の報告」
ランディープ・ラクワール/筑波大学大学院生命環境科学研究科
「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」
大瀧丈二/琉球大学理学部
「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリング」
石田健/東京大学大学院農学生命科学研究科
「福島県に生息する野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況について」
羽山伸一/日本獣医生命科学大学獣医学部
◆基調講演(13:30~14:00)
「原発災害とリスクコミュニケーション」
鬼頭秀一/東京大学大学院新領域創成科学研究科
◆第2部(14:00~15:30)
村民の思いと現状報告
座長 菅井益郎/國學院大学経済学部
「全村避難から2年 飯舘村民からの報告」
酒井政秋/飯舘村小宮・菅野榮子/飯舘村佐須・杉下初男/飯舘村長泥
「避難生活実態と復興に関する飯舘村成人悉皆アンケート調査報告」
浦上健司/日本大学・NPOエコロジーアーキスケープ
◆第3部(15:50~16:50)
賠償問題と支援の課題
座長 糸長浩司/日本大学生物資源科学部
「損害賠償問題」
小林克信/ 原発被災者弁護団(東京)弁護士
「「福島―関東対話の会」の活動から」
渡辺瑛莉/福島―関東対話の会
◆総合討論(16:50~18:00)
モデレーター 糸長浩司
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コメント
>沖縄のヤマトシジミの幼虫に福島のカタバミを
>食べさせたところ、触角の異常や眼の陥没など、
>福島と同じような異常のあるヤマトシジミが生まれました。
ここのところですが、画像を見る限りでは触角には異常が無いように見えます。
番組内でそう はっきりと説明されたのでしょうか?
恐らく、触角と脚は遺伝子異常ではなく、成長過程で直接放射線の影響を受けたのではないかと思いますが。
(昆虫は小さいので、人間ならば皮膚細胞 数十個で済むダメージが、脚の変形などを引き起こします)
投稿: 神田 | 2019年9月17日 (火) 13時18分