福島の子どもたちにチェルノブイリの高レベル汚染地帯並みの甲状腺がん! 規制庁が甲状腺検査を規制? IAEAと一体となった「被害抹消作戦」を許さない! 染色体を調べれば放射能による甲状腺がんと分かる場合もある!
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福島の子どもたちの甲状腺を超音波検査した結果、恐ろしい事実が明らかになってきました。
植村病院ホームページより一部改変
甲状腺は首の中心にあるやわらかい臓器で、右葉、左葉が中央部でつながっています。
上下方向に3~5センチくらい、重さは15~20グラム程度だそうです。
出生時の甲状腺は約1.5グラム、5歳児で3~4グラムしかありません。
ホルモンを出して、主に体の新陳代謝を調節しています。
甲状腺ホルモンが出過ぎると体重減少、動悸、多汗、手のふるえなどが起きます。
ホルモンが少な過ぎ ると、倦怠感、むくみ、体重増加、意欲減退などの症状が出ます。
甲状腺の病気はなぜか、男性より女性に多く見られます。
がん統計より作図
甲状腺がんも女性に多く見られます。
60歳台前半が最も発がん率が高く、20歳未満の発がん率は非常に低いのです。
福島県甲状腺検査結果(2013年2月13日)より、一部改変
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2011年度に検査した18歳以下の福島県の子どもたち約3.8万人中3人に甲状腺がんが発見され、さらに7人に甲状腺がんの疑いがあることが明らかになりました。
甲状腺がんと確定した3人と「疑い」7人、計10人の内訳は、男性3人、女性7人で平均年齢15歳と発表されています。
摘出手術して甲状腺を見て甲状腺がんと「確定診断」されたのが3人、穿刺細胞診で甲状腺がん、あるいは甲状腺がんの疑い有りと判定されたのが7人ということでしょう。
穿刺細胞診の偽陽性率(がんではなかった率)は10%未満とされています。
「疑い」7人のほとんども甲状腺がんと考えていいでしょう。
手術して甲状腺がんと確定したのが1万人に約0.8人。
「疑い」も甲状腺がんとすると、1万人に2.6人です。

福島県の甲状腺検査結果(2012年11月18日)より、一部改変
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2012年度に約5万8千人を検査した段階で、「甲状腺の状態から、ただちに精密検査をして治療に入る必要性が高い、との判定が出た。事故当時 10代後半の女性1人で、現在精密検査を受けている最中。診断名は未確定で、被曝影響などもまだ不明という(2012年11月19日 朝日新聞朝刊38 面)」。
2011年度の検査では、C判定の子どもは一人もいませんでした。
松崎道幸医師の「福島県県民健康管理調査結果に対する見解」より
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上のグラフは、1991年から93年まで、山下俊一氏らがチェルノブイリ周辺の10歳以下の子どもたちの甲状腺がんを、現在福島県でやっているのと同じように検査した結果です。
汚染度が「低い~やや低い」地域では1万人当たり0~約1人だったのに対し、汚染度の高いゴメリ(ベラルーシ共和国)では2.2人、平均0.7人でした。
2011年度に検査した福島の子どもたちは、1万人中0.8人、「疑い」の7人も甲状腺がんだとすれば、1万人中2.6人が甲状腺がんです。
福島の子どもたちはチェルノブイリ周辺の、高レベル汚染地帯と同程度に甲状腺被曝を受けている可能性がある、ということです。
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しかも、山下氏らが調査した1991~93年というのは、事故後5~7年経って、子どもの甲状腺がんが急増した時期です。
他方、福島の子どもたちは2011年度に検査を受けています。どんなに遅く推定しても、事故後2年も経っていないのです。
これは、まさに異常な事態です。
しかし、調査を主導している「県民健康管理調査 検討委員会」は「3人の甲状腺がんは放射能によるものではない」として、問題視していません。
なぜ、こんなことになっているのでしょうか?
第6回福島県「県民健康管理調査」検討委員会資料より
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そもそも、この「県民健康管理調査は「(子ども)本人や保護者の皆様に安心していただくため」に行われています。
本当に「安心」なら結構なことですが、この「安心」は放射線の健康影響についての間違った認識に基づいています。
福島県県民健康管理ファイル説明書「健康長寿県日本一を目指して」より
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「県民健康管理調査」は、上の資料に見られるように、「100ミリシーベルト以下の放射線の発がんへの影響は明らかにはされていません」というウソ 、「外部被曝も内部被曝も健康への影響は同じ」という間違い に基づいて、「ほとんどの県民の発がんリスクの増加は考えにくい」という間違った前提に立っているのです。
なぜでしょうか?
私は、福島県をはじめ、県下の多くの自治体は、住民の健康よりも、住民が逃げ出すことを心配しているからだと思います。
住民が逃げ出してしまえば自治体は成り立たず、村長さんも村役場も村議会も要らなくなってしまいます。
それを恐れているのではないでしょうか。
だからこそ、形だけでも「除染」して、住民を無理矢理にでも「帰還」させようとするのです。
「県民の安心」は、実は「行政の安心」なのです。
こうした福島県の対応をさらに悪化させる動きを原子力規制委員会がしています。
原子力規制委員会はアイソトープ協会出身の中村委員を中心に「福島第一原発事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チーム」を作り、2月19日の第5回会合で「有識者」3名の抵抗を強引に押し切り、「議論の総括(案)」をまとめました。
この「総括案」は、「WHO ならびに UNSCEAR(注;原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の報告では、チェルノブイリ事故では小児甲状腺がん以外の放射線被ばくによる健康影響のエ ビデンスはないと結論付けて いる(6頁)」としています。
現在ウクライナ、ベラルーシなどでさまざまな病気が増え、子どもの8割が慢性疾患を抱えていますが、「科学的に証明されていない」として切り捨て、福島原発事故でも小児甲状腺がん以外の健康影響は生じないという誤った前提に立っています。
また、放射性ヨウ素の内部被曝についてはまったく不十分な推定しかしていないのに、「放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明するほどの被ばく線量は測定された地域では確認されていない(6頁)」と断定しました。
これには「外部有識者」から強い異議が出され、表現を変えることになりましたが、「(甲状腺がんなど)一般的な健診の対象となっていない疾病をス クリー ニングする際には、・・・健康影響リスク上昇が懸念される集団 (地域、年齢階級性別等)が明らかであること・・・を前提に行う必要がある(4頁)」、
「甲状腺検査の実施期間は、外部/内部被ばく線量の推計や過去の知見に基づくリスク程度に基づき、対象地域や年齢を基に判断すべきである(7頁)」としています。
要するに、「大した線量じゃないんだから、甲状腺検査をいつまでもやる必要はないし、低線量の所までやる必要もない」、というわけです。
この動きはIAEAの「人々と環境を守るための安全基準(IAEA Safety Standards for protecting poeple and the environment)」に沿ったものです。
その3章32節には、
「現在の疫学データによると放射線によるがんは、大勢の人々が高い線量率で100ミリシーベルトを超える線量を被曝した場合に、統計的に検出できる。
これらのデータは、日本の原爆生存者や医療被曝を受けた患者など、はっきりした集団の疫学調査にもとづいている。
100ミリシーベルト未満の低線量に長年にわたって被曝した場合にはがんの増加は見られなかった。
非常に低線量の被曝をした人々を長期の健診計画に含めると、不必要な不安を引き起こす可能性がある。
さらに、公衆の健康管理上も費用の割に効果がない」
と書かれています(一部、意訳)。
IAEA(International Atomic Energy Agency)は、普通は「国際原子力機関」と訳されるけれど、実際は国際原子力エネルギー推進機関=国際原発機関と訳す方が正確です。
彼らの目的は、原発を効率よく運転することです。
原発事故が起こっても、否定しようのないデータが揃うまで健康被害を否定し続け、カネのかかる健診や治療はやらずに済ましたいのです。
IAEAはすでに1963年4月、日本政府との協定で、財産等に関する訴訟、捜索、税等の免除(第3条)、機関職員・機関の任務を行う専門家に対する外交特権付与(第6条、第7条)などの特権を得ています。
2012年12月15日には、IAEAと福島県・福島県立医大が協力することになりました。
IAEAと福島県立医大の取り決めでは、IAEAが
・福島健康管理プロジェクトの実施に際して県立医大を支援する
・放射線が人の健康に与える影響に関する啓発を強化し、福島県民の放射線に対する不安及び心的外傷後ストレス障害に取り組むことを目的として、大学と協力して、会議、セミナー及びワークショップを開催するよう努める
としています。
放射線の影響を心配しないように、さまざまな宣伝活動を展開するというわけです。
第8項には、「IAEAと県立医大は、他方によって秘密として指定された情報の秘密性を確保する」という情報隠しの規定があります。
国際原子力ムラと一体になった「被害抹消作戦」を打ち破っていかなければなりません。
従来、被曝した人ががんになっても、放射線の影響でがんになったのかどうか、証明できないとされてきました。
しかし2011年になって、放射線によるがんと分かる場合があることが分かってきました。
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ヒトの46本の染色体のうち、性染色体以外の44本は基本的に同じ染色体です。
したがって、染色体にある遺伝子は、それぞれ父親由来のものと母親由来のものと、2つ(2コピー)あるわけです。
ところが近年、個人によっては、ある遺伝子は1つ(1コピー)しかないとか、3つ(3コピー)ある「コピー数多型」がかなりの頻度であり、病気になりやすさや薬の感受性に関係していることが分かってきました。
2011年、ドイツの研究者たちがチェルノブイリで被曝した25歳以下の甲状腺乳頭がん(甲状腺がんの大部分は乳頭がん)患者と、(事故後の1987年1月以降に産まれてヨウ素131に)被曝していない25歳以下の甲状腺乳頭がん患者の染色体を比較し、コピー数多型を調べました。
両方のグループは性、年齢、民族性をできるだけ一致させてあります。
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上の段が被曝していない甲状腺乳頭がん患者19名、下の段が被曝した甲状腺乳頭がん患者33名のコピー数多型を示しています。
例えば4番染色体では赤棒が下から上までつながっていて、全員にコピー数減少が起こっていることが分かります。
緑棒はコピー数増加を示し、目盛りは一番上が「0」、一番下が「1」です。
上段と下段を比べると、青枠で囲まれた「7p14.1-q11.23」領域だけに違いが見られます。
上段の対照群(非被曝群)にはコピー数多型がまったく見られないのに対し、下段の被曝群では39%にコピー数増加が起きています。
対照群12名と被曝群16名を比較した確認実験で、コピー数が増えているのは「7q11(7番染色体のq11領域)」であることが分かりました。
福島の子どもたちの甲状腺がんが放射線によるものであっても、7q11のコピー数増加が起こっている確率は約40%ですが、7q11のコピー数が増えていれば、放射線の影響と判断できるということです。
当然、調べるべきです。
福島原発事故からもうすぐ2年。白血病も心配です。
甲状腺がん手術で甲状腺を取ってしまえば、甲状腺ホルモン剤を一生飲み続けなければなりません。
健康影響をできるだけ小さく見せよう、放射能の影響を否定しようとする動きを許すわけにはいきません。
健康影響をしっかり把握し、被害者を守っていきましょう。
金曜は全国で抗議を!今年こそ原発ゼロに! 大飯原発を停止せよ! 首相官邸・国会議事堂周辺抗議
3月1日(金)、15日、22日、29日
午後6時~8時(予定)
首相官邸&国会議事堂周辺
国会議事堂前駅は大混雑が予想されます。
霞ヶ関駅、虎ノ門駅、桜田門駅をご利用ください。
主催:首都圏反原発連合
3月2日(土) 原発事故による分断と対立を超えて
~原発事故子ども・被災者支援法の成立と今後の展望~
講師:河崎健一郎弁護士
午後2時~4時
東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-52-67)
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線 表参道駅下車(B2出口)徒歩7分
3月7日(木) 緊急院内セミナー どうする? 放射線による健康被害への対応 市民・専門家による提言
12時半~15時半 (12時からロビーで入館証を配布)
衆議院第一議員会館 多目的ホール(地下鉄丸の内線・千代田線 国会議事堂前駅下車 すぐ)
3月9日(土) つながろうフクシマ! さようなら原発大集会
11時~
明治公園 (JR「千駄ヶ谷駅」5分、地下鉄「国立競技場駅」2分)
11:00 開場(出店ブース開始) →ブース出店の申し込みはこちら
12:00 オープニングライブ 日本音楽協議会(日音協)
12:25 リレートーク
福島から、東海村から、福井から、原子力資料情報室から
踊りと歌「エイサー」
13:25 集会オープニングライブ リクルマイ
14:00~15:00 集会
<集会発言者(五十音順)>
内橋 克人さん
大江 健三郎さん
落合 恵子さん
鎌田 慧さん
澤地 久枝さん
広瀬 隆さん
※福島から(調整中)
15:15 パレード出発→送り出しライブ(日音協、ほか調整中)
※パレードは2コースに分けて行う予定です。コースが確定次第、掲載いたします。
◆パレードの先頭の方に再生可能エネルギーの象徴「風車」を配布する予定です。(数に限りがあります)。
◆オリジナルの風車もぜひご持参ください。プラカードや鳴り物も大歓迎です。
◆ゴミは必ずお持ち帰りください。
主催:さようなら原発一千万署名 市民の会
13時~
日比谷野外音楽堂、永田町霞ヶ関一帯
13:00〜 | 集会 〈場所:日比谷公園野外音楽堂〉 |
14:00〜 | デモ出発 〈場所:日比谷公園 集合・出発(予定)〉 |
17:00〜19:00 | 国会前集会 〈場所:国会議事堂正門前〉 その他各省庁前にて抗議を行います。 ※抗議の時間帯は場所によって異なります。詳しくは今後のフライヤーやwebサイトでご確認ください。 |
主催: | 首都圏反原発連合 |
---|---|
協力: | さようなら原発1000万人アクション / 脱原発世界会議 / 原発をなくす全国連絡会 / 経産省前テントひろば / 再稼働反対!全国アクション |
〈お問い合わせ〉 | 首都圏反原発連合 メール:info@coalitionagainstnukes.jp Twitter:@MCANjp |
この日は北九州・大阪・名古屋などでも抗議が行われます。全国同時大規模アクション!!
18:30~20:30(開場18:00)
会場:品川区立総合区民会館「きゅりあん」
(JR、東急、りんかい線「大井町駅」1分)
※資料代として500円お願いいたします。
※予約不要。約1000人収容のホールになります。
<開会のあいさつ> 鎌田 慧
<講演>
内橋 克人さん
大江 健三郎さん
坂本 龍一さん+後藤 正文さん(ASIAN KUNG-FU GENERATION)※対談
澤地 久枝さん
清水 修二さん(福島大学教授)
吉岡 斉さん(九州大学教授・副学長)
<閉会のあいさつ> 落合 恵子さん
主催:さようなら原発一千万署名 市民の会
午後6時~8時
丸の内線・東西線・千代田線・半蔵門線 大手町駅 c2b出口直結
主催:首都圏反原発連合
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