「捨てなきゃいけない乾燥しいたけをみんなに配った」田中俊一が原子力規制委員長?
規制委員長候補になっている田中俊一氏は、東北大原子力工学科を卒業以来、一貫して原子力ムラで仕事をし、2007年~2009年には原子力委員長代理を務めた人です。
当然、田中氏も「電気事業者のとりこ」(国会事故調報告書)となっていたでしょう。
福島第一原発事故が起こった昨年3月末、田中氏は松浦祥次郎・元原子力安全委員長をはじめ15名の原子力ムラの面々とともに「原子力の平和利用を先頭だって進めて来た者として、今回の事故を極めて遺憾に思うと同時に国民に深く陳謝」しました。
原発推進の先頭に立っていたことを自ら認め、事故が起こったことを謝罪したわけです。
しかし原子力委員長代理まで務め、原発推進政策に邁進(まいしん)してきたことを反省したのでしょうか?
彼が具体的に始めたことは除染の研究でした。
2011年8月23日、田中氏は原子力委員会の定例会議で除染について以下のように述べています(15頁)。
「この状況のままで今後の原子力の再生は非常にもう、個人の考えですけれども、絶望的です。
とにかく何らかの形で除染をしてきちっと行い、避難住民が帰ってこられるような状況をつくり出さない限りはこれからの原子力発電も含めてそういったものはどう政策を進めていいかわからないなということがありましたので、私自身はそういう思いもあります。
ただ、今はいろいろなところへ行って原子力発電の是非論は私はやりません。今はその時期ではなくて、まず除染をしてきちっと環境回復をすることが優先で、これは思想信条を越えてぜひ協力していただきたいということでお願いしています。」
彼が考えたのは、次のようなことでしょう。
原発が事故を起こすとどんなにひどいことになるか、誰の目にも明らかになってしまった。
これではみんなあ原発ゼロを主張するだろう。
原発をまた推進できるようにするためには、除染して避難住民が帰ってこれるようにする。
原発事故が起こったけど、結局戻れたし、大した被害はなかったじゃないか、そういう状況を作るために、除染方法を実地に研究したのです。
広島・長崎の原爆被爆者の発がんは、下図のように、放射線量に比例して増加することが明らかになっています。
100ミリシーベルト以下でも被曝線量に比例して固形がんで死亡する人が増えることが明らかになっています(詳細はこちら )。
国際放射線防護委員会(ICRP)は「原子力の平和利用」を打ち出した米国の主導で作られ、原発推進を目的にしているなどの批判を浴びています。
そのICRPでさえ、2007年の勧告(ICRP Publication 103)では
「放射線防護の目的には・・・約100ミリシーベルトを下回る低線量域では、がんあるいは遺伝性影響の発生率が・・・線量の増加に正比例して増加するであろうと仮定するのが科学的に妥当であろう」
と述べています。
ところが田中氏は、2011年6月3日、福島大学で開かれた学習会に講師として登場、下の図を示して「100ミリシーベルトまではそんなに影響ないんです」と述べています。
確かに、上の図だと全がんが増えるのは200ミリシーベルト以上のように見えます。
これは横軸に仕掛けがあるからです。
横軸の「目盛り」が対数目盛に近くなっています。
低線量の影響は小さく、高線量の影響は大きく見えるようになっています。
田中氏はこんなインチキなグラフに基づいて、「100ミリシーベルト以下は安全」とキャンペーンしてきたのです。
放射能の影響を軽視する田中氏は、以下のように、現在の食品基準は厳しすぎると主張しています(2012年3月5日 福島民報)。
「除染もそうだが、健康管理について国は科学的な根拠に基づかない基準を設定している。
食品の基準を1キロ当たり500ベクレルから100ベクレルに下げ、水は100ベクレルから10ベクレルまでに下げることとなったが、数字だけが一人歩きしている。
基準を超えたものは有害にとらえられ、住民を混乱させている。
風評被害や将来の不安を拡大しているように思う。
専門的な知見から言えば、厳格化するばかりでは理にかなっていないことを国にしっかり認識してほしい」
田中氏は2011年5月、福島県飯舘村の中でも最も汚染がひどく、現在は「帰宅困難区域(50ミリシーベルト以上)」に指定されている長泥地区で除染実験を行った。
その時の逸話を以下のように語っている(2011年6月3日 学習会「福島における除染について」)
「乾燥しいたけ、すごい高級なやつなんですけど、いっぱいあるんだけど捨てなきゃならないと言うので貰ってきました(笑)。
大きい段ボールに2つくらい貰いまして、茨城などでみんなに配ったら喜んで食べました」。
生産者が「捨てなきゃいけない」と言ってる乾燥しいたけを、自分が食べるのは勝手だが、他の人にも食べさせる、そんな人は絶対に原子力規制委員長にしちゃ、いけない!
更田豊志氏は、高速増殖炉もんじゅを運用している日本原子力研究開発機構の副部門長です。
中村佳代子氏は、研究系・医療系放射性廃棄物の集荷・貯蔵・処理を行っている日本アイソトープ協会のプロジェクトチーム主査です。
二人とも、原子力規制委員会の規制を受ける原子力団体の職員です。
東電の社員が規制委員になるようなものです。
当然、原子力規制委員にはなれません。
原子力規制委員会設置法7条7項に
「原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理若しくは廃棄の事業を行う者、原子炉を設置する者、・・・又はこれらの者が法人であるときはその役員・・・若しくはこれらの者の使用人その他の従業者」は、委員長または委員となることができない、と定められています。
更田、中村両氏を規制委員にしたら、違法人事です
8月3日の官邸デモは「原子力 規制委員会 人事案 撤回」のコール一色でした。
環境省一帯を人間の鎖で取り囲み、「人事案 撤回」をつきつけました。
民主党内にも今回の原子力ムラ人事に反対する声が広がっていますが、政府は6日からの週内にも承認採決を行おうとしています。
超党派の国会議員による白紙撤回署名も進められています。
8月3日、福島みずほ議員(社民党)が国会で更田氏・中村氏の違法人事について質したところ、「委員になる時は今の仕事をやめるから問題ない」旨の答弁だったそうです。
こんなインチキ人事がまかり通る道理はありません。
断固、反対しましょう!
9月14日(金) 大飯原発を停止せよ!首相官邸前抗議
【重要なおしらせ】
・首都圏反原発連合は、9/19発足を狙っている原子力規制委員会と、次の衆議院選挙を視野に入れ、9月中も引き続き毎週金曜の抗議を実施します。
9月を強化月間として、人事案の撤回を求め、政党、政治家の脱原発についての動向を見極め、さらに抗議の声を拡大していきましょう!
・ 合同庁舎第4号館前に原子力規制庁準備室に対する人事案反対抗議エリアを設置します。
【日時】9/14(金)18:00~20:00 予定
【場所】首相官邸前および永田町・霞が関一帯
(霞ヶ関駅、虎ノ門駅、桜田門駅をご利用ください)
※千代田線・丸ノ内線の国会議事堂前駅は大混雑が予想されます。
【呼びかけ】首都圏反原発連合
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