仮免原発が事故ったら首相はどう責任を取るというのだろうか。
大飯原発 「仮免」で責任とれるか
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題で、野田佳彦首相が「立地自治体の判断が得られれば、最終的には私の責任で判断を行いたい」と述べた。
おおい町や福井県の同意を得たうえで、6月上旬にも関係閣僚会合を開き、再稼働にゴーサインを出すとみられている。
福島第1原発事故の検証はまだ終わっていない。原子力規制庁についても、法案の審議が始まったばかりだ。夏の電力不足を理由に再開に踏み出すとすれば、安全性は二の次になりかねない。
首相の発言は、関西広域連合が再稼働を事実上認める声明を発表したことを受けたものである。
細野豪志原発事故担当相が30日に広域連合の会合に出席し、安全対策は暫定的な措置としたうえで、経済産業副大臣らを現地に常駐させると説明した。
広域連合は声明で、「政府の安全判断が暫定的だということを前提に、限定的なものとして適切な判断をするよう強く求める」と応じている。
反対派の急先鋒とみられていた橋下徹大阪市長も、夏の電力不足を乗り切るための一時的な再稼働に限ると記者団に説明した。
政府と広域連合が「暫定」の線で合意した格好だ。水面下で筋書きが進んでいたのか、と疑いたくなる急転直下の展開である。
三つの疑問がある。一つは、安全対策は「暫定」でいいのか、という根本問題だ。
大飯原発には、免震事務棟や大事故のときに原子炉格納容器の圧力を下げる「ベント」と呼ばれる設備がない。いずれの整備もこれからだ。
それでも構わない、背に腹は代えられないというのが、今回の合意の意味だろう。これで政府や自治体は「住民の安全を守る」と断言できるのだろうか。
二つ目は、仮に動かすとしても期間限定の措置になるかどうか。政府には、原発再稼働への口火としたい思惑があるのでは―。そんな疑いが拭いきれない。
三つ目は、首相の言う「責任」とは何かである。
これまでの政府の手順は、国会が審議した新たなルールや仕組みに基づいたものではない。方針は一貫性を欠き、場当たり的なものになっている。今回の細野氏の「暫定」発言は、そのことを端的に物語っている。
いわば「仮免許」で大事故が起きたとしたら、首相はどう責任を取るというのだろうか。ぜひ国会で説明してもらいたい。
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