チェルノブイリ超の可能性認識-東電に強い不信感 ・東電の原発事故から全面撤退(敵前逃亡未遂) 菅前首相:経産相から「東電が撤退したいと言ってきている
菅前首相:経産相から「東電が撤退したいと言ってきている」
5月28日(ブルームバーグ):菅直人前首相は28日午後、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会で、「東電が撤退したいと言ってきている」と連絡を受けたのは海江田万里経済産業相(当時)からだったことを明らかにした。
菅氏は昨年3月15日午前3時ごろ、官邸で仮眠中に海江田氏から電話があったとし、「とんでもないことだと感じた」と述べた。菅氏はチェルノブイリ原発事故より放射能の放出が大きくなる可能性がある事故と認識し、「見えない敵との戦いであり、命を賭ける戦いだと思った」と述べた。
その後、東電の清水正孝社長(当時)に「撤退はあり得ない」と伝えたときに、清水氏は「分かりましたと答えたので、ホッとした」と述べた。菅氏は細野豪志首相補佐官(同)から吉田昌郎福島第一原発所長(同)からの電話を回してもらい、「所長からまだやれると聞いた」ことを明らかにした。「清水氏が自ら撤退しないと言ったことはない」と付け加えた。
事故当時官房長官だった枝野幸男経済産業相は27日の国会事故調で「社長から電話があり、全面撤退の趣旨の話があった。そんなことをしたら大変なことになると言ったら口ごもっていたので、全面撤退と受け止めた」と説明していた。
東電への根強い不信感
事故発生の翌12日朝に現地を視察したことに関して、菅氏は「東電からは電源車を現地に送るから協力してほしいなどと言ってきたが、根本的な状況の説明が全くなかった」と批判した上で、「地震・津波の状況を上空からでも直接見ておくことは対策を立てる上で重要だと判断した」と説明した。
菅氏は「ベントについても経産相が許可していることにもかかわらず、何時間経っても行われなかった。その理由は分からない」と東電本社への不信感を示した。その上で「吉田所長ともじかに会って現場の考え方、見方を知ったことは極めて大きなことだった」と強調した。
原子炉を冷却するための海水注入を止めるように指示を出したとされる問題について、菅氏は「海水注入を止めろと言ったことはない」と明言した上で、東電から官邸に来ていた武黒一郎フェロー(当時)が吉田所長に直接電話して官邸の意向として伝えたようだと述べた。菅氏は「再臨界と海水注入が関係ないことは知っていた。ホウ酸を注入すれば危険性を抑えられることも知っていた。なぜ海水注入を止めろとの指示が出たのか理解できない」と話した。
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