野菜の放射能(セシウム)汚染は大丈夫? 内部被曝をできるだけ減らそう
最近、野菜の放射能汚染が取り沙汰されることは少なくなったが、毎日食べる物だけに、どの程度汚染されているのか、チェックしてみました。
福島県ホームページより、改変
田村市は福島第一原発の地元=大熊町のすぐ西に位置しています。
空間線量は福島県ホームページ(20キロメートル~50キロメートル圏付近環境放射能測定結果)より
3月18日をピークに田村市に放射性物質の雲のような塊が押し寄せ、ほうれん草が空中の放射性セシウム(セシウム134+セシウム137)を吸収したものと思われます。
4月以降は放射性物質が雨で地上に落下し、空間線量は徐々にしか低下していませんが、ほうれん草の放射性セシウムは急激に減少し、5月18日、25日には検出限界未満となっています。
これは落下した放射性セシウムが土に吸着され、ほうれん草にはほとんど吸収されていないことを示しています。
福島第一原発から約300キロ離れた静岡県のお茶が放射性セシウムに汚染されていたことは、「想定外」とされました。
しかし上のグラフのように、例えば静岡市にも3月15日、21~22日に放射能の雲のような塊は到達していました。
当然、静岡のお茶も汚染される可能性がありました。
放射線量を福島県田村市と比較してみましょう。
上のグラフで原発事故前の空間線量を0.03マイクロシーベルト/時として、それ以上の線量の面積を比べると、静岡市は田村市の10分の1くらいでしょうか。
グラフの縦軸が静岡市の場合は田村市の14分の1なので、線量は1/10×1/14で140分の1くらいでしょうか。
お茶は常緑樹ですから、3月22日に収穫された田村市のほうれん草と同じように、到達した放射性セシウムを吸収するでしょう。
到達した放射線量が140分の1なので、吸収量も140分の1と仮定すると、40,000ベクレル/kg の140分の1=286ベクレル/kgとなります。
実際に静岡市のお茶の生葉から検出された放射性セシウムは、117~139ベクレル/kg でしたから、推定値の約半分です。
セシウム汚染は「想定内」であり、何の対策も取っていなかったとしたら、怠慢のそしりを免れないでしょう。
お茶の防除暦によると、3月中下旬にハダニ防除の農薬をまくことになっています。
しかも、お茶の場合、普通に農薬をまいても雨が降ると流れてしまうので、「粘着剤」とか「貼着剤」と呼ばれる薬剤を農薬に混ぜて、農薬が流れないよう、葉に貼り付けるそうです(「野菜の裏側」河名英郎著、東洋経済新報社刊)。
ちょうど放射性物質の雲のような塊が静岡県をおそった頃に、貼着剤入りの農薬をまき、セシウム汚染を促進していたのかも知れません。
野菜と違って、福島産のコメの中には500ベクレル/kgを超える高濃度汚染されたものが各地で検出されました。
東大の根本圭介教授ら(農学生命科学研究科)の研究によると、イネは水田の水に溶けた放射性セシウムを吸収したため、高濃度汚染されたと考えられます(東京新聞2月19日朝刊2面)。
10ベクレル/リットルのセシウムを含む水で育てたイネから、5,700ベクレル/kgのセシウムが検出されたそうです。
10ベクレル/リットルでも、セシウムの濃度としてはわずか0.0000000000003%、10兆分の3%に過ぎません。
ほんのちょっとでも放射性セシウムが水に溶ければ、高レベル汚染米ができてしまうのです。
現在、ほとんどの野菜が検出限界未満となっています。
でも、検出限界って、何ベクレル?
検出限界は各都道府県によって違っています。主に測定時間の違いによると思われます。
これは各都道府県が地元の野菜を測定した結果です。
グラフの縦棒1本が一つの測定値の検出限界を表しています。
群馬県、埼玉県、千葉県、長野県は40ベクレル/kgと高く、茨城県は10ベクレル前後、栃木県、新潟県、宮城県ではほぼ10ベクレル以下です。
このグラフは都道府県が市場で買った他県の野菜を測定した結果です。
例えば一番左の紺棒は大阪府がほうれん草を測定した結果です。
東京都や長野県などの例外もありますが、他県産の野菜を検査する場合は検出限界を下げて、念入りに検査する場合が多いようです。
10ベクレル以下が大部分です。
茨城県のほうれん草3件は、検出限界10ベクレル程度で測定して検出限界以下でした。
群馬県のほうれん草6件のうち4件は10ベクレル未満、うち2件は5ベクレル未満です。
埼玉県の2件も10ベクレル未満。
東京都清瀬市産は2ベクレル未満でした。
栃木県、新潟県、宮城県は、先にあげた自県検査でほぼ10ベクレル未満です。
福島県産の1月のほうれん草については検出限界10ベクレル未満の検査結果がありません。
以上の結果から見ると、土に吸着されたセシウムが野菜に吸収されることは少ないようです。
<ご注意!> 検出限界10ベクレル/kg 以下で測定した結果、土からの汚染が検出されています。詳しくは「緊急警告:野菜のセシウム汚染にご注意!」を参照してください。
東京大学の小暮敏博准教授ら(理学系研究科)によると、粘土に取り込まれたセシウム原子(図の●)は周囲を6個の酸素原子(●)に囲まれ、しかも右側の図にあるように、両側から計12個の酸素原子に囲まれ、固定されているそうです(「サイエンスゼロ」 2012年2月18日、NHKEテレ)。
栃木県が1~2月に測定した野菜類の測定結果は以下のようです。
栃木県 | 放射性セシウム (ベクレル/kg) |
アスパラガス | <4 |
イチゴ | <20 |
カキナ | <6 |
シュンギク | <5 |
トマト | <4 |
ニラ | <5 |
ネギ | <5 |
フキノトウ | <26 |
ホウレンソウ | <6 |
レタス | <4 |
わらび | 4.2 |
山ウド | 7.4 |
軟化ウド | <4 |
木の芽(山椒) | 74.2 |
4~5ベクレル程度の検出限界よりも低いものが多い中で、那須町でハウス栽培された山椒の木の芽(若葉)から、71.2ベクレル/kg の放射性セシウムが検出されています。
昨年の原発事故当時に放射性セシウムを吸収した山椒が若葉を出せば、今年の若葉でも汚染されているでしょう。
ウドは多年生、ワラビも多年生で根茎で増えるので、昨年吸収したセシウムで汚染されたものと思われます。
汚染されていないタネから今年育てられる野菜なら、汚染はかなり低レベルにとどまるかも知れません。
昨年から生育していた多年生植物、果樹、「野菜」ではないけれどキノコ類などは要注意です。
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コメント
初めまして!
現在、ニュージーランドと日本を行き来して生活をしています。日本に完全帰国を考えるたびに、日本には帰らないほうがいいという人に偶然いつも会います。
日本人なのに、本当に日本は危ないのかどうか知りたくてこちらへ辿り着きました。
実際に、ニュージーランドにお子様を移住させるために、学校に通わせている裕福な家庭(開業医)もいます。南半球に留まった方がいいと言われました。
私は日本は岡山が地元です。そこでも、福島、東京から移住してきている人に会いました。
しかし、こちらは紫外線が強い時は、日本の8倍近くあります。オゾン層の破壊です。友人は、シドニーに旅行に行った際、水ぶくれができて病院に行ったぐらいです(日光アレルギーある人です)オーストラリアのほうが紫外線がキツイと言ってました。放射能より影響力が早いという意見も聞きました。
ニュージーランドは、人口も少ないので、水力発電です。その代わり産業は発展してません。日本と同じく地震がありました。でも自然が同じく豊かです。もっと観光産業で日本を売り出せたら…。日本の自然もこちらに負けないぐらいすばらしいと思っています。本当に残念なのが原発です。
こちらから日本へ旅行へ行くのが夢という人も多いです。
敢えて汚染されている国へ行かなくてもと思ってしまう私もいます。やはり、地震後、日本の食料の汚染について質問を受けました。日本食もヘルシーで人気があるのですが、少しトラウマになっています。日本人として恥ずかしく感じることがあります。国内だけでは終わらない問題ですね。
南半球にいる現在、できるだけこの機会を生かして、こちらへ残って生活をしたほうがよいのでしょうか?
また引き続きブログを楽しみに読ませて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
投稿: 杏仁 | 2012年11月18日 (日) 07時48分
ハワイの自然放射線量は低く0.004μSV~0.014μSV程度ですが日本食料品売り場で線量が0.12μSVになります。
東京在住の家族の話ではスーパーの野菜売り場やパン売り場に行くと毎回、線量計が上がるそうです。一度まちがえて福島産の日本酒を買ったので線量計を近づけたら何度やっても0.4μSvで捨てたと言ってました。
ちょっと心配なのが出汁の元です。大量に消費するものではないけれど昆布やジャコ、カツオなど検出されたものが
成分となるのに調査結果を見たことがありません。
海外でも日本食品として必需品なので検査の機会があれば
結果をお願いします。
投稿: Lahainalulna | 2012年5月14日 (月) 11時34分
3月31日京都駅前での細野大臣等追及行動!大きな力を発揮!
3月31日京都駅前での細野大臣山田京都府知事、野中広務元自民党幹事長、らが一緒になった、放射能がれきバラマキ、最終処分場を京丹波町に建設することに対して、大抗議行動を行った。そしてみんなで大きな勝利を手にしました。被曝をすぐにやめさせるために、100万人避難を受け入れることが、まずするべきことだ。その避難を妨害する野田、細野、山田らを許せない。その行動を大貫徹した。感謝です。大感激です。必要なのは100万人避難者大支援です。さらに一層頑張りましょう。
なおhttp://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1699.html
、http://www.youtube.com/watch?v=iFi7QkngopM&feature=relmfuには、はっきりと、京都駅での大衆的な必死の闘いが、記録されています。ぜひ、視聴してください。パート1、2とあります。
2012年3月31日
京都生協の働く仲間の会
keizirou.hushimi@hotmail.co.jp,
京都駅前で大追及した。子供、大人、年寄りのそう決起です。素晴らしい。
1、
細野、山田、福山、野中への大追及行動、民衆の裁判でした。
2、総勢100人位で追及したよ。そしたらドンドン人は増えていた。ユーチューブで見たら、500人くらいいたようだ。怒りのこえは本当に京都駅中に響いた。良かった。あまりの追及行動の爆発に細野が直接挑発した。一人に近づいて来て話した。記者とSPが囲んで詳しくはわからなかったが。
3、そこで僕は野中広務に話に行って野中を追及した。SPが妨害に来たが、野中も大政治家の面子がある。こんな私一人の話したい要請をSPに従って拒否したら余りにもみっともない。そこで話に応じて来た。だから、とことん追及した。何で避難を受け入れないのかと。福島で子供らが放射線管理区域での生活を強いられている。すぐに避難をできるように支えるべきだ。100万人京都に避難しようって何で言わない。と追及したら、野中は答えられ、右往左往だ。結局、SPに助けられた。
4、全体的に素晴らしい追及行動だ。みんながそれぞれ怒りを思いっきり爆発させた。本当に良かった。シュプレヒコール、怒りのボード、私たちは『放射能ばらまき反対』『野田、細野、山田は避難を妨害するな』と書いたボードを掲げた。
5、『人が先』のシュプレヒコールは避難の人が先の意味だ。これが大きな声で響いた。『子供を守れ』のシュプレヒコール。『人殺し』『子供を被曝させてそんなに嬉しいか』『福島の子ら100万人は京都に避難しよう』『嘘つき』など追及が大衆的に、叩きつけられた。京都駅の春の観光客も皆怒りの爆発に共感した。インドからの9日間の男性観光客も頑張ってください。と声をかけてくれた。細野、山田、福山、野中らは逃げて行きました。福山は『私は京都が地元です。帰れと言われても困ります。』などと言い、観光客からも笑われました。ヤッター。の声が京都駅に響いた。『二度と来るな』の声も叩きつけられた。
6、私たちは、島田市民を先頭に闘われてきた放射能がれきバラマキに反対する取り組みを、やっと連帯することができたと思います。関西広域連合専門家会議抗議行動から、3月27日京都市議会傍聴行動、放射性がれき受け入れ決議反対の大行動、3月29日の京都府庁における大飯原発再稼働反対、山田知事による放射能がれき受け入れ、最終処分場を京丹波町に建設する宣言を許さない闘いを続けて闘ってきた。その取り組みが、重大な局面を勝ち取ったといえます。全国、全世界に対して、「国際都市京都」から、今こそ、①福島の子供ら100万人避難を大支援しよう、②放射能汚染がれき、食品による放射能バラマキに反対しよう、③原発再稼働を絶対に阻止し、全原発の即時廃炉を実現しようと訴え、ぜひしっかりと取り組みましょう。以上。
投稿: 京都生協の働く仲間の会 | 2012年4月 1日 (日) 00時46分