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2012年1月

放射性セシウムで心臓に異常? 食事調査に見る低線量内部被ばくの恐ろしさ 

福島原発事故前は放射性セシウムのない食事だったのに!
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2008年のデータは「環境放射線データベース」より詳細検索(放射能測定調査、日常食)

  上のグラフの青棒は2008年に各都道府県で普通に食べている1日分の食事に含まれているセシウム137の測定結果188件を値の小さいものから順に並べたものです(文科省調査)。

 グラフの左から半分過ぎまで青棒がないのは、「検出限界未満」だからです。

 青棒の放射能値は左の縦軸を見てください。

 188件の内、102件は「検出限界未満」、測定された最小値は0.00811ベクレルでした。

 検出限界未満は値が分からず平均値を計算できないので、測定値を順に並べて真ん中の中央値を調べても、「検出限界未満」でした。

 福島原発事故直前には、食事に放射性セシウムが含まれているなどということは、ほとんどなかったのです。

 上のグラフの赤棒は2011年12月、福島県内の26人が1日に飲食したものの放射性セシウムを測定した結果です(1件は「検出限界未満」 朝日新聞社・京大の共同調査)。

 赤棒の放射能値は右側の目盛です。左縦軸の約167倍になっています。

 中央値は4.01ベクレルでした。

 2008年の中央値は「検出限界未満」なので、福島原発事故後何倍に増えたのか計算できませんが、最低の測定値0.00811ベクレルの494倍です。

 食べ物が、恐ろしくなるほど放射能汚染されているのです。

一日4ベクレルを毎日食べると、どうなる?

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ICRP Publication 111を一部改変

 ICRPの2009年報告によると、一度に1,000ベクレルの放射性セシウムを摂取した場合、次第に排出され、1年後に体内に残っているのは90ベクレルです。

 ところが、毎日4ベクレルを食べると、放射性セシウムがどんどんたまっていき、排出と釣り合ってきて、約570ベクレルでほぼ平衡に達します。

 食べた人の体重当たりにすると、下のグラフの青棒のようになります。 

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各年齢ごとの体重は「平成21年国民健康・栄養調査報告」による。

 1歳児では55ベクレル/キログラム、7歳児で24ベクレル/キログラム。

 15歳児までは11ベクレル/キログラム以上になります。

心臓に異常が・・・

 チェルノブイリ原発の北、ベラルーシ共和国ゴメリ医科大学の学長だったバンダジェフスキー氏は、原発事故で放出されたセシウム137を体内に取り込むと、低線量でも大きな人体影響を引き起こすことを明らかにしています。

 人体の中でも、特に影響を受けやすいのが心血管系です。

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「放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響(久保田護訳 合同出版 2011年)」より

 体内のセシウム137濃度が高い子どもほど、心電図の異常が多くなり、血圧の高い子どもも増えます。

 11~26ベクレル/キログラムで半数以上の子どもに心電図異常が見られます。

 子どもだけではありません。

 ゴメリ医大の18~20歳の学生のセシウム137濃度は平均26ベクレル/キログラム。48.7%に明白な心電図異常が見られたそうです。

 チェルノブイリ事故後に突然死したゴメリ州の患者の剖検標本を検査したところ、99%の症例に心筋異常が見られたということです。

福島の人々への影響は・・・

 さきほどのグラフをもう一度見てみましょう。

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 朝日新聞社・京大の共同食事調査の結果、福島県内の食事に含まれる放射性セシウムの中央値は約4ベクレルでした。

 これを毎日食べ続けると、1~15歳児は11ベクレル/キログラム以上となり、心電図異常が多くなる可能性が考えられます。

 最大値の17.3ベクレルだった人は、ほぼ全年齢で40ベクレル/キログラムを超えています。

関東の人は・・・

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  朝日新聞社・京大の共同食事調査によると、上のグラフのように、関東の16人の食事のうち、7人は「検出限界未満」でしたが、最大値は10ベクレルを超えていました。

内部被ばくをできるだけ減らそう

 17.3ベクレルが検出された福島の方は、原発事故後は家庭菜園の野菜の皮は捨て、福島産の新米は食べていないという(朝日新聞 2012年1月19日夕刊39面)。

 6ベクレルだった福島の女性も、野菜はできるだけゆで、キュウリやトマトの皮もむき、県外の親類から食材を送ってもらっている。

 これだけ気をつけていても、高い放射能が検出されているわけです。

 関東でも油断はできません。

 放射能に汚染された食材を使わないよう、注意したいものです。

朝日新聞社は「放射能安全神話」に加担するな!

 朝日新聞社と京大の共同食事調査は、福島原発事故による放射能汚染の危険性を明らかにするものでした。

 しかし、朝日新聞はその調査結果を「福島の食事 1日4ベクレル」「内部被曝 国基準の40分の1」と報じ、共同で調査した京大教授の「福島のセシウム量でも十分低く、健康影響を心配するほどのレベルではなかった」とのコメントを載せています。

 内部被曝の影響についてはまだよく分かっていないと思います。

 朝日新聞は夕刊に「原発とメディア  容認の内実」を連載し、「原子力安全神話」に加担してきた自社の歴史を赤裸々に綴っています。

 その朝日新聞社が、今度は「放射能安全神話」に加担することは絶対に許されません。

(アース)

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原発ゼロをめざして

 謹賀(原発ゼロ)新年

 電気文明が始まってまだ150年程度、化石燃料を燃やしてCO2撒き散らし昨年は

人間の手に負えない放射性物資を大量にバラマキ、何をやっても環境破壊になって

しまうのは半端な知恵を持った人類の宿命なのでしょうか?

次に何が来るのでしょうか。
 

知恵と欲と理性のバランスは何時になったら安定するのでしょう。

まだまだ先のことで、ひょっとしたらバランスを失い人類は滅びるかもしれません。
 

高等生物ほど種として短命だと言われています。

欲望は生命の源、根底に矛盾がありそうです。

                             byエコエンジェル

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内部被ばくの恐ろしさ チェルノブイリ原発事故により、スウェーデンで がんが増えた 福島は がん激増?

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日本全土を汚染した福島原発事故 

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文部科学省による、愛知県、青森県、石川県、及び福井県の航空機モニタリングの測定結果について(平成23年11月25日) (参考6)」より
福島県浪江町大字井手字山田前の降下量は土壌汚染値(1メートル高さで72.3マイクロシーベルト/時)から換算
仙台市の降下量は文科省の「都道府県別環境放射能水準調査結果(平成23年8月2日)中の8月1日地上1メートルでの空間線量から換算
換算方法は下記参照


図をクリックすると大きな画像が見られます。以下、同様です。

 福島第一原発の爆発事故で放射能がまき散らされたのは、東日本だけではありません。

 セシウム137は、北は北海道から、南は沖縄まで、日本全土を汚染しました。

 私もあなたも、すでにヒバクシャなのです。

 上のグラフの縦軸は対数目盛です。1目盛増えるごとに10倍になります。

 最もひどい土壌汚染が測定されている福島県浪江町大字井手字山田前に降ったセシウム137は、土壌汚染値(1メートル高さで72.3マイクロシーベルト/時)から換算(下記参照)すると、約1,000万ベクレル/平方メートルに達しています。

チェルノブイリ原発事故によって、スウェーデンでがんが増えた

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 1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故の後、4月28日から29日にかけての大雨とともにスウェーデン北部に放射性物質が降り注ぎました。

 住民の被ばく量は、居住地域、野外活動、食習慣によって違うけれども、最初の1年間で1-2ミリシーベルト、最大で約4ミリシーベルトと見積もられています。

 トンデル氏らは、スウェーデン放射線防護局が作成したセシウム137汚染地図を元に、7州450地区の汚染度を6つのレベルに分け、各地区住民のがん発生数を調べました(今中哲二氏の翻訳紹介があります)。

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 上のグラフの縦軸は、セシウム137の地表汚染が3,000ベクレル/平方メートル以下の地区に比べて、1988年から1996年の発がん率が何倍になったかを示しています。

 横軸に、例えば3-29とあるのは、セシウム137が3,000~29,000ベクレル/平方メートル以下の地区です。

 地表のセシウム137が高い地区の住民ほど、がんの発生率が増えていることが分かります。

 トンデル氏はこれらの結果から、セシウム137が10万ベクレル/平方メートルの場合、発がん率が0.11増えるとしています。

 セシウム汚染がない場合に比べて、1988年から1996年の8年間で、発がん率が11%も増えるということです。

 8万-12万ベクレル/平方メートルのグループでも1986-1987年の2年間で外部被曝は7-10ミリシーベルトと推定されているので、内部被ばくが大きく影響している可能性があります。

今の日本に当てはめると・・・

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 上の地図は文科省が調査したセシウム137汚染地図にトンデル氏の論文による「10万ベクレル/平方メートルで発がんが11%増加」を適用したものです。

 発がん増加率が11%を超える地域が、福島県中央部にまで広がっています。

セシウム137が10万ベクレル/平方メートルって、どのくらい?

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 文科省の調査によると、

土壌のセシウム134と137濃度(ベクレル/m2)=空間線量率(マイクロシーベルト/時間)×276,008

です。

 今回の福島原発事故後に検出されたセシウム134と137はほぼ同量なので、

 セシウム137(ベクレル/m2)=空間線量率(マイクロシーベルト/時間)×138,004

となります。

 ここから逆算すると、10万ベクレル/平方メートル=0.725マイクロシーベルト/時です。

 1マイクロシーベルト/時だと、セシウム汚染がない場合に比べ、発がんが11%÷0.725=15.2%増える計算になります。

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事態はさらに深刻?

 さる12月28日、NHK総合テレビの「追跡!真相ファイル」で「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」が放映されました。

 その報道によると、チェルノブイリ事故直後、政府はよく食べられるトナカイの肉の基準を300ベクレル/キログラムにしたが、がんが増加。

 最近では1年当たり、がんが34%も増えているそうです。

 なくそう! 原発。

(アース)

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