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ホットスポット、放射能の真実:100ミリシーベルト以下でも、危ないです! (その1)2.5ミリシーベルトでも突然変異

 以前に書いたように、「安全な被ばく量」は、ありません

 にもかかわらず、いまだに、テレビで「100ミリシーベルト以下は影響が出ない」と言う「専門家」がいます。

 食品安全委員会では「生涯100ミリシーベルト」を被ばく限度に設定しようとしています。

 毎時0.4マイクロシーベルトのホットスポットでは、1年で約3.5ミリシーベルトに達します。

 100ミリシーベルト以下の被ばくは生物にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

ムラサキツユクサの突然変異

Murasakituyukusa


 
ムラサキツユクサという植物があります。ツユクサの仲間で、夏に写真のような青い花を咲かせます。

 ムラサキツユクサの雄しべには、下の写真のように、たくさんの細い毛が生えています。

Murasakitsuyukusa_hana3

 福原のページ」より

 この毛は、細胞が一列に並んで、できています。

Murasakitsuyukusa_oshibe_ke1_2

福原のページ」より

 普通は、先端の細胞が分裂して、伸びていきます。

 突然変異が起きると、細胞から細胞へと伝えられます。
1

市川定夫著「環境学」202頁より

 ムラサキツユクサの花色は青が優性で、ピンクは劣性です。

 青色の遺伝子とピンクの遺伝子を持つ株は青色です。

 蕾にX線を当てると、突然変異で青色の遺伝子が障害を受け、ピンク色になることがあります。 

 その蕾を11~15日後に顕微鏡で観察すると、雄しべの毛の一部がピンク色になり、突然変異したことが分かります。

 ムラサキツユクサの雄しべの毛は、突然変異を鋭敏に検出できる、すぐれた実験系です。

2.5ミリシーベルトでも突然変異

Photo

A.H.Sparrow ら Science 176 916(1972)より作図

 ムラサキツユクサの蕾にX線を照射して突然変異率を調べると、線量に比例して突然変異が増えることが分かります。

 (上の図では各線量での突然変異率から、線量ゼロの時の突然変異率を差し引いて示しています)。

 図中で線量ゼロの次の値は2.5ミリシーベルトです。

 約96万本の雄しべの毛を調べ、820個の突然変異を見つけています。

 100ミリシーベルトどころか、2.5ミリシーベルトでも、突然変異が起こることが分かります。

 突然変異はガンの原因になることが分かっています。

 ムラサキツユクサも、ヒトも、いのちの基本的な仕組みは同じです。

(アース)
 

追伸:小樽市銀山中学校教師の神貴夫さんが発行されている「自然と科学なんでもニュース」71号に紹介されました。同ニュースのバックナンバーは「最首塾」の「コンテンツ」から見られます。

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コメント

すみません、ちょっと書かせていただきます。
この記事の問題点と思われるもの
(1)
ご自分でも「上の図では各線量での突然変異率から、線量ゼロの時の突然変異率を差し引いて示しています」と書いていらっしゃるように、放射線量ゼロでも突然変異は発生します。
(2)
放射線を当てれば突然変異発生率が上がるのは当然です。
しかし、そんなことを言ったら、地球上どこでも安全ではなくなります。(自然放射線が存在するため)
したがって、「このくらいまでなら安全だよ」という目安の数値を挙げるのは当たり前の事であり、それを非難するのは いかがなものでしょうか。
(3)
まして、生殖細胞が露出している植物を例に出して「危ないです」と言うのは いかがなものでしょうか。
生殖細胞や造血幹細胞が体内にある人間との違いをきちんと表記すべきだと思います。

もしこちらのサイトが「人心を煽るため」ではなく、本当に「客観的に被ばく被害を防ぐため」のサイトであるなら、「やっぱり「少し」でも被ばくは安全じゃない」ではなく、上記の「人間との違い」を明記したうえで、「人間の場合で同じようなことが起こりうる事例(「子供が泥遊びをする」など)」を書くことの方が重要ではないでしょうか。

投稿: 神田 | 2019年9月17日 (火) 12時55分

突然変異のモニターに研究されています。京大の原子理研究所の研究者だったと思います

投稿: 鳥木 晃 | 2019年5月19日 (日) 10時03分

 DR.M様、コメント、ありがとうございます。
 喫煙、ストレスなどさまざまな要因でDNA損傷が起こるというご指摘は同感ですが、喫煙は自分でコントロールできます。放射線被ばくは自分でコントロールできないところが問題です。
 被爆の生物影響について述べられていることには全く同意できません。
 ムラサキツユクサの突然変異の実験結果をよく見てください。
 線量をどんどん減らしても線量に比例して突然変異が起こっています。
 突然変異がゼロになるのは線量ゼロの時です。
 DR.Mさんが主張されるように100ミリシーベルトまではDNAが損傷しても修復できるなら、3ミリシーベルトはおろか、100ミリシーベルトまで突然変異は起こらないはずです。
 「大した危険性はないはずだ」という思い込みを捨てて、科学的なデータと、チェルノブイリ(http://onndannka.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/20-08e2.html を参照してください)や福島で現実に進行している事態を基に判断してください。
 なお、「瞬間照射100ミリシ-ベルト以下では危険を無視できる」と主張されていますが、http://onndannka.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-c47b.html に書いたように、100ミリシーベルト未満でもがんが有意に発生するというデータは多数あります。
 ICRP2007年勧告も「約100ミリシーベルトを下回る低線量域では、がんあるいは遺伝性影響の発生率が・・・線量の増加に正比例して増加するであろうと仮定するのが科学的に妥当であろう」としています。
 また、放射線を瞬間照射した場合と分割照射した場合の影響の違いについてはさまざまなデータがあるようですが、ICRPは低線量・低線量率の場合は高線量・高線量率の場合の影響の2分の1と評価しています。
 さらに、放射能によって細胞がどのような影響を受けるかについての研究はまだ発展途上です。放射線をマイクロビームで細胞に当てると、周囲の照射されていない細胞に突然変異が起こるバイスタンダー効果も報告されています。
 このバイスタンダー効果は細胞集団の一部だけが照射されるような低密度照射で大きな役割を果たし、線量と効果の関係は正比例ではなく、低線量なほど効果率が高い「上に凸」であるようです。
 このように、放射線の生物影響に関する現在の知識は極めて部分的です。内部被曝の危険性もよく分かっていません。
 DR.Mと称されているのは医師だからでしょうか。そうだとするなら、思い込みで「放射能安全論」を振りまくことは患者さんのいのちを危険にさらすことになります。
 ぜひ、放射線の生物影響に関する認識を改められるよう、お願いいたします。

投稿: アース | 2012年11月 3日 (土) 16時45分

低線量被曝と慢性的被曝を混同してはいけません。市川先生の実験はあくまでも、低線量被曝実験であり、慢性的被曝実験ではありません。一度に放射線を当てたわけですから。
現在のところ、放射線の慢性被爆の影響を示すデータは出ておりません。
たとえば、一度に3ミリシーベルトを当てた場合と、それを1年間で分割照射した場合(時間あたり約0.34マイクロシーベルト)では、その影響は明らかに違います。それは、生物の防御機能を考えれば当然です。
生物には、常にDNA損傷が起こり、常に修復されています。当然、微量の放射線でもDNAは傷がつき、また修復されています。ムラサキツユクサのおしべはあまりに分裂能が強すぎ、3ミリシーベルトの照射でも修復がしきれなかったのでしょう。
DNA損傷は、放射線だけで起こるわけではありません。喫煙、ストレス、その他さまざまな外因により、あるいは内因でも起こっています。少量の放射線照射は、そうした多因子の中の、ほんのわずかな一つに過ぎないのです。したがって、少量の放射線のみを取り上げて騒ぐのは、医学的・生物学的に、ほとんど無意味です。
瞬間照射100ミリシーベルト以下では危険を無視できるという意味は、決してその量ではDNA損傷がないというのではなく、損傷に十分修復が追いついている、ということなのです。ましてや、慢性的被曝においては、何十マイクロシーベルトでは、損傷されたDNAを修復する時間は十分にありますので、それによってガンが発生するということは、考えられません。

投稿: DR.M | 2012年11月 2日 (金) 13時03分

ムラサキツユクサと放射線について調べていて当ブログにたどり着きました。
 職場の人たちに低線量被曝の問題を知らせる通信を出しています。一部転載を希望しますのでご検討ください。

 

投稿: takao jin | 2011年11月 8日 (火) 23時16分

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