ヨウ素、セシウムの生物濃縮と食物連鎖 ~福島原発事故で拡大する放射能汚染 その4~
茨城県沖のコウナゴ(イカナゴ)が放射性ヨウ素やセシウムに汚染されていることが明らかになり、海産物の安全性への不安が広がっている。
海産物の安全性に責任を負っているはずの水産庁のホームページを見て、驚いた。
以下のようなQ&Aが載っているのだ。
Q.なぜ、イカナゴから高濃度の放射性物質が検出されたのでしょうか? A.イカナゴの稚魚は海面下のごく浅いところを泳いでいる魚です。大気中の放射性物質が海に降り注ぐと、海面下での放射性物質の濃度が一時的に高くなることから、この影響を受けたものと考えられます。(赤字は引用者) |
いい加減なこと、言わないでくれる?
原発に10万トン以上もの水を注入したので、海に大量の放射性物質が流れ込んでるからでしょ!
Q.魚の体内には海中の放射性物質は蓄積しないのですか? A.セシウムは、カリウム(野菜や果物に多く含まれる)と同じように、魚の口から入り、えらや尿から出て行きます。このため、たとえ放射性セシウムが魚の体内に入っても蓄積しません。 放射性ヨウ素については、半減期が短く(8日間)、魚への蓄積や魚を通じた人体への移行の程度が小さいため、暫定規制値が示されていませんでしたが、茨城県北部のイカナゴから相当程度検出されたことから、厚生労働省は、野菜類と同じく2,000Bq/kgとしたところです。(赤字は引用者) |
ほんとかいな?
「魚への移行が少ない」というヨウ素は、4月4日、1キログラム当たり4,080ベクレルも検出されたよね。
藻類 | 動物プランクトン | 軟体動物 | 甲殻類 | 魚類 | |
Lowmanら | 5,000 | 3,000 | 50 | 30 | 12 |
IAEA | 1,000 | 100 | 100 | 10 | |
海藻 | 無脊椎動物 | 魚類 | |||
Thompsonら | 4,000 | 50 | 10 |
これまでの研究では、上の表のように、海水中のヨウ素は魚類に10~12倍、濃縮されることが分かっている。
動物プランクトンには、3,000倍に濃縮されるという。コウナゴは小さな魚だから、動物プランクトンに近いのかもしれない。
藻類に至っては、4,000~5,000倍にも濃縮される。
藻類 | 軟体動物 | 甲殻類 | 魚類 | |
IAEA | 10 | 10 | 30 | 50 |
海藻 | 無脊椎動物 | 魚類 | ||
Thompsonら | 20 | 20 | 30 |
セシウムは「魚の口から入り、えらや尿から出て行きます」なんて、とんでもない!
魚には、30~50倍も濃縮されるのだ。
4月5日には、コウナゴから1キロ当たり526ベクレルと、規制値を超えるセシウムが検出されている。
セシウムが魚に濃縮される過程も明らかになっている。
ベントス(底生生物)ではあまり濃縮されないが、動物プランクトンや頭足類(イカ、タコなど)では少し濃縮される。
その動物プランクトンを主に食べる比較的小型の魚(マガレイなど)、その小型の魚を食べるヒラメ、マアナゴ、マゴチなど、そしてその大型の魚を食べるスズキ、アカエイなどと、どんどん濃縮されていく。
水産庁の対応はあまりにもいい加減だ。
根拠もなしに安全キャンペーンをすると、信頼を失い、ますます不安をあおる結果になる。
放射能汚染の恐ろしさを再認識し、水産物の安全確保に全力をあげるべきだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
コウナゴなど食べられなくても生物濃縮を防ぐためにも漁民の方達の生活を助ける公共事業として漁をしたほうが良いように思えます。
生物濃縮の仕上げは人間、一部はその先の下水処理場を通り海や川に戻って半減期が終わるまでグルグルまわるのですね。
事故原発で海に流しそこなった?高濃度の汚染水はあとどうなるんでしょう。
核のトイレがないので負の財産が増えるいっぽー。
このままでは太平洋岸原発付近一帯は放射性廃棄物の山と海に浮くフロート船団が並んでしまいます。
地震と津波に加えて原発事故と言う人災、福島県の人は大変な目にあっています、これから先原発災害からの復興と言う未だかってなかった困難な問題を解決していかねばなりません。日本全体としてはエネルギー政策の転換を視野に入れて解決していかねばなりません。
以下参考
放射能汚染水、海洋生態系への影響は?
http://rd.yahoo.co.jp/media/news/zasshi/zasshi/ls/a/?http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110404-00000000-natiogeo-int
投稿: エコエコ | 2011年4月 9日 (土) 11時28分