« ヨウ素、セシウムの生物濃縮と食物連鎖 ~福島原発事故で拡大する放射能汚染 その4~ | トップページ | 福島原発周辺小中校の年間限度線量を大人基準の20mSvに引き上げは見殺しに等しい。浜岡原発19歳作業員。年間九・八ミリシーベルトでも白血病の可能性。 »

子どもに20ミリシーベルトも浴びせるなんて! -福島県小中学校等の放射能汚染-

子どもは放射線の影響を受けやすい

  Photo

年齢別に見た、1万人・シーベルト当たりのガン死者数(ゴフマン)
被ばく年齢 がん死者
1万人・シーベルト当たり 30歳被ばくとの比率
0 15,170 3.9
5 13,344 3.4
10 10,521 2.7
15 5,109 1.3
20 4,511 1.2 
25 4,470 1.1
30 3,892 1.0
35 2,780 0.7
40 1,716 0.4
45 760 0.2
50 71 0.02
55 49 0.01

 上のグラフと表は、瀬尾 健著「原発事故…その時、あなたは!」142頁に掲載されているアメリカの研究者J.W.ゴフマン氏のデータを元に作成したものだ。

 30歳の大人と比べると、0歳児は3.9倍、5歳児で3.34倍、10歳でも2.7倍も放射線の影響を受けやすい。

 人・シーベルトは、被ばくした人数に被ばく線量を掛けたものである。

 例えば、10万人の0歳児が0.1シーベルト(=100ミリシーベルト)ずつ被ばくしたとすると、10万人×0.1シーベルト=1万人・シーベルトになる。

 その結果、15,170人がガンで死ぬ、ということを示している。

子どもに20ミリシーベルト!

 文科省は4月19日、子どもを20ミリシーベルトまで被ばくさせてもかまわない旨、福島県教育委員会などに通知した。

 校庭の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以下なら年間の被ばく線量が20ミリシーベルトを超えることはないとして、放射能汚染された小中学校や幼稚園などの使用を認めたのである。

 考えてみてほしい。10歳の小学生にとって20ミリシーベルトは、30歳の大人の54ミリシーベルトに相当するのだ!

 10歳の児童1万人が20ミリシーベルト(=0.02シーベルト)ずつ被ばくすると、0.02万人・シーベルトとなり、10,521人×0.02=210人がガン死することになる。

 1万人のうち210人、つまり、約50人に1人がガン死する。

計画的避難地域に相当

 「(福島第一原発)事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれ」がある場所は、飯舘村などと同様、計画的避難地域に指定される。

 大人でも20ミリシーベルトで避難しなければならないのだ。

 小学生なら、20ミリシーベルトの約2.7分の1=7.4ミリシーベルトで避難すべきということだ。

 文科省と同様、屋内に16時間、屋外に8時間という前提で計算すると、毎時1.5マイクロシーベルトで年間7.4ミリシーベルトを超える。 

 福島県の調査結果を見ると、、福島市、伊達市、二本松市、本宮市、郡山市などの小中学校等の多くが、毎時1.5マイクロシーベルト以上になっている。

 避難すべき場所は相当広いのだ。

 追伸:文科省は4月19日、毎時3.8ミリシーベルト以上だったのは13施設と発表したが、実際は53施設で、放射能隠しが行われていたことが判明した

(アース)
 

Psr
 追伸:海外の医師団体からも、「子どもの20ミリシーベルト」に強い批判の声があがっている。

追伸2:4月29日、小佐古内閣官房参与が子どもに20ミリシーベルトを許容することに抗議して、内閣官房参与を辞任することを表明した。

Photo_2  以下は「辞任表明」の抜粋です(赤字は引用者)。

 「今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。

 これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。

 警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。

 年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。

 この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。

 年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。」

|

« ヨウ素、セシウムの生物濃縮と食物連鎖 ~福島原発事故で拡大する放射能汚染 その4~ | トップページ | 福島原発周辺小中校の年間限度線量を大人基準の20mSvに引き上げは見殺しに等しい。浜岡原発19歳作業員。年間九・八ミリシーベルトでも白血病の可能性。 »

コメント

ブログ、拝見しました。汚染が広範囲に広がってますね。

投稿: アース | 2011年4月24日 (日) 12時19分

酷い事のなりそう。

以下のようなブログがありました。

福島県内の小中学校の放射能汚染について!(75・9%が「放射線管理区域」レベルという危惧すべき実態)

http://blog.livedoor.jp/mark22003/archives/51658643.html

投稿: ハンゲン | 2011年4月24日 (日) 11時43分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 子どもに20ミリシーベルトも浴びせるなんて! -福島県小中学校等の放射能汚染-:

« ヨウ素、セシウムの生物濃縮と食物連鎖 ~福島原発事故で拡大する放射能汚染 その4~ | トップページ | 福島原発周辺小中校の年間限度線量を大人基準の20mSvに引き上げは見殺しに等しい。浜岡原発19歳作業員。年間九・八ミリシーベルトでも白血病の可能性。 »