« 2011年3月 | トップページ | 2011年5月 »

2011年4月

福島原発周辺小中校の年間限度線量を大人基準の20mSvに引き上げは見殺しに等しい。浜岡原発19歳作業員。年間九・八ミリシーベルトでも白血病の可能性。

浜岡原発19歳作業員。年間九・八ミリシーベルトで9年後に白血病で死亡。

政府は子供の年間限度線量を大人基準の20mSvにしようとしているらしい。

食物や呼吸など内部被爆を入れると20mSvではすまなくなる。

とんでもないことである。

次世代の子ども見殺しにするのか!

子どもの基準を上げることは次は大人基準をあげる恐ろしい予定があるのか不気味である。

以下浜岡原発での被爆記録である。

                                       byエコエンジェル

中国新聞社

2000・3・22

           
                         
被曝と人間 第3部 ある原発作業員の死
                             
〔1〕白血病
   

闘病2年 力尽きる    

  ■線量 法定の5分の1 嶋橋さん

 相模湾を望む神奈川県横須賀市の郊外。嶋橋さんの遺影が見つめる居間で、母美智子さん(62)は、息子の死亡診断書をそっと机に広げた。死因の欄には 「慢性骨髄性白血病」。初診時の白血球数は、正常値の数倍の「二~三万」、嶋橋さんには、別の病名を告げたとも記されていた。

 美智子さんが長男の病名を知らされたのは、一九八九年十一月。当時暮らしていた浜岡町の町立浜岡総合病院で検査を受けた後、紹介された浜松医科大医学部付属病院(静岡県浜松市)でだった。

 「白血病と言われてもピンとこなかった。血液のがん、あと数年の命かも、と聞かされて、頭の中が真っ白になった。まだ若いのに、そんなばかなって。病院からどうやって家にたどり着いたのか覚えていない」

 嶋橋さんは八一年春、横須賀市内の工業高校を卒業後、横浜市の建設会社(現在は本社東京)に就職した。中部電力(名古屋市)の原発や火力発電所の保守、点検を請け負う孫請け会社。入社後すぐに浜岡原発へ派遣され、原子炉の計測機器の交換などの仕事に就いた。

 

                             
0322
      遺品を手に、嶋橋さんの闘病生活を振り返る母美智子さん(神奈川県横須賀市の自宅)

 告知を受けた時、両親は長年住み慣れた横須賀市から浜岡町へ引っ越したばかりだった。新居の二階から、コンクリートで覆われた原子炉建屋が見えた。ゆくゆくは孫の世話をする夢を抱いていた。

 浜岡総合病院で嶋橋さんを初診した小野七生医師(50)は現在、静岡県袋井市で医院を開業している。

 「お母さんから、後に原発での被ばくとの関係を尋ねられたが、分からないと答えた。私が覚えている限り、彼と同様、原発作業員が血液の病気になったケースは数例あったが、低線量被ばくと白血病の因果関係を解明することは不可能に近いから」

 嶋橋さんは、一年間の通院を経て入院する。白血球数は六万を超えていた。その半年後には、八十キロあった体重は五十キロ台に落ちた。

 壮絶な闘病生活を振り返る時、美智子さんの目はみるみる赤くなる。

 「体中が痛かったんでしょう。ベッドに触れると振動が響いて痛いと怒ってね。歯ぐきからの出血が止まらず、ふいてもふいてもあふれてくる。血がにじんだタオルを入れたごみ袋がいくつもできた」

 「私に甘えず、世話を焼くと怒っていた伸之が、亡くなる数時間前、ぎゅっと私の手を握ったんです。そして私の顔のマスクを一生懸命ずらそうとする。無菌室だからと元に戻しても、マスクをずらすのをやめなかった。最期に私の顔が見たかったんでしょうか」

 九一年十一月二十日午前四時五十五分、嶋橋さんの白血病との闘いは終わった。発症から二年一カ月。浜岡原発で約九年働き、二十九歳一カ月の人生だった。 その間の被ばく線量は、五〇・六三ミリシーベルト。年間では最多の年でも九・八ミリシーベルトで、法令で定める年間被ばく線量限度の五〇ミリシーベルトを 大きく下回っていた。

 両親は一人息子を失った後、その死が問い掛けた答えを探し求める。「なぜ白血病で死んだのか」―。自宅の窓越しに原発を見つめながら、被ばくと白血病に因果関係があるとの思いを強めていった。


MenuNext

| | コメント (0) | トラックバック (0)

子どもに20ミリシーベルトも浴びせるなんて! -福島県小中学校等の放射能汚染-

子どもは放射線の影響を受けやすい

  Photo

年齢別に見た、1万人・シーベルト当たりのガン死者数(ゴフマン)
被ばく年齢 がん死者
1万人・シーベルト当たり 30歳被ばくとの比率
0 15,170 3.9
5 13,344 3.4
10 10,521 2.7
15 5,109 1.3
20 4,511 1.2 
25 4,470 1.1
30 3,892 1.0
35 2,780 0.7
40 1,716 0.4
45 760 0.2
50 71 0.02
55 49 0.01

 上のグラフと表は、瀬尾 健著「原発事故…その時、あなたは!」142頁に掲載されているアメリカの研究者J.W.ゴフマン氏のデータを元に作成したものだ。

 30歳の大人と比べると、0歳児は3.9倍、5歳児で3.34倍、10歳でも2.7倍も放射線の影響を受けやすい。

 人・シーベルトは、被ばくした人数に被ばく線量を掛けたものである。

 例えば、10万人の0歳児が0.1シーベルト(=100ミリシーベルト)ずつ被ばくしたとすると、10万人×0.1シーベルト=1万人・シーベルトになる。

 その結果、15,170人がガンで死ぬ、ということを示している。

子どもに20ミリシーベルト!

 文科省は4月19日、子どもを20ミリシーベルトまで被ばくさせてもかまわない旨、福島県教育委員会などに通知した。

 校庭の放射線量が毎時3.8マイクロシーベルト以下なら年間の被ばく線量が20ミリシーベルトを超えることはないとして、放射能汚染された小中学校や幼稚園などの使用を認めたのである。

 考えてみてほしい。10歳の小学生にとって20ミリシーベルトは、30歳の大人の54ミリシーベルトに相当するのだ!

 10歳の児童1万人が20ミリシーベルト(=0.02シーベルト)ずつ被ばくすると、0.02万人・シーベルトとなり、10,521人×0.02=210人がガン死することになる。

 1万人のうち210人、つまり、約50人に1人がガン死する。

計画的避難地域に相当

 「(福島第一原発)事故発生から1年の期間内に積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれ」がある場所は、飯舘村などと同様、計画的避難地域に指定される。

 大人でも20ミリシーベルトで避難しなければならないのだ。

 小学生なら、20ミリシーベルトの約2.7分の1=7.4ミリシーベルトで避難すべきということだ。

 文科省と同様、屋内に16時間、屋外に8時間という前提で計算すると、毎時1.5マイクロシーベルトで年間7.4ミリシーベルトを超える。 

 福島県の調査結果を見ると、、福島市、伊達市、二本松市、本宮市、郡山市などの小中学校等の多くが、毎時1.5マイクロシーベルト以上になっている。

 避難すべき場所は相当広いのだ。

 追伸:文科省は4月19日、毎時3.8ミリシーベルト以上だったのは13施設と発表したが、実際は53施設で、放射能隠しが行われていたことが判明した

(アース)
 

Psr
 追伸:海外の医師団体からも、「子どもの20ミリシーベルト」に強い批判の声があがっている。

追伸2:4月29日、小佐古内閣官房参与が子どもに20ミリシーベルトを許容することに抗議して、内閣官房参与を辞任することを表明した。

Photo_2  以下は「辞任表明」の抜粋です(赤字は引用者)。

 「今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。

 これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。

 警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。

 年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。

 この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。

 年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。」

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ヨウ素、セシウムの生物濃縮と食物連鎖 ~福島原発事故で拡大する放射能汚染 その4~

茨城県沖のコウナゴ(イカナゴ)が放射性ヨウ素やセシウムに汚染されていることが明らかになり、海産物の安全性への不安が広がっている。

 海産物の安全性に責任を負っているはずの水産庁のホームページを見て、驚いた。

 以下のようなQ&Aが載っているのだ。

Q.なぜ、イカナゴから高濃度の放射性物質が検出されたのでしょうか?

A.イカナゴの稚魚は海面下のごく浅いところを泳いでいる魚です。大気中の放射性物質が海に降り注ぐと、海面下での放射性物質の濃度が一時的に高くなることから、この影響を受けたものと考えられます。(赤字は引用者)

 いい加減なこと、言わないでくれる? 

 原発に10万トン以上もの水を注入したので、海に大量の放射性物質が流れ込んでるからでしょ!

Photo_2

ピットの亀裂から海に流れ出ている高濃度放射能汚染水=2日午後0時43分、東京電力提供

Q.魚の体内には海中の放射性物質は蓄積しないのですか?  

A.セシウムは、カリウム(野菜や果物に多く含まれる)と同じように、魚の口から入り、えらや尿から出て行きます。このため、たとえ放射性セシウムが魚の体内に入っても蓄積しません。

 放射性ヨウ素については、半減期が短く(8日間)、魚への蓄積や魚を通じた人体への移行の程度が小さいため、暫定規制値が示されていませんでしたが、茨城県北部のイカナゴから相当程度検出されたことから、厚生労働省は、野菜類と同じく2,000Bq/kgとしたところです。(赤字は引用者)

 ほんとかいな?

 「魚への移行が少ない」というヨウ素は、4月4日、1キログラム当たり4,080ベクレルも検出されたよね。

ヨウ素は濃縮される
ヨウ素の濃縮係数
藻類 動物プランクトン 軟体動物 甲殻類 魚類
Lowmanら 5,000 3,000 50 30 12
IAEA 1,000 100 100 10
海藻 無脊椎動物 魚類
Thompsonら 4,000 50 10
 「環境放射能-挙動・生物濃縮・人体被曝線量評価- (ソフトサイエンス社)」による

 これまでの研究では、上の表のように、海水中のヨウ素は魚類に10~12倍、濃縮されることが分かっている。

 動物プランクトンには、3,000倍に濃縮されるという。コウナゴは小さな魚だから、動物プランクトンに近いのかもしれない。

  藻類に至っては、4,000~5,000倍にも濃縮される。

セシウムも濃縮される
セシウムの濃縮係数
藻類 軟体動物 甲殻類 魚類
IAEA 10 10 30 50
海藻 無脊椎動物 魚類
Thompsonら 20 20 30
 「環境放射能-挙動・生物濃縮・人体被曝線量評価- (ソフトサイエンス社)」による

 セシウムは「魚の口から入り、えらや尿から出て行きます」なんて、とんでもない!

 魚には、30~50倍も濃縮されるのだ。

 4月5日には、コウナゴから1キロ当たり526ベクレルと、規制値を超えるセシウムが検出されている。

食物連鎖で濃縮される

 セシウムが魚に濃縮される過程も明らかになっている。

Cs_2
「海産生物と放射能 笠松不二男 Radioisotopes 48 266(1999)」より

 ベントス(底生生物)ではあまり濃縮されないが、動物プランクトンや頭足類(イカ、タコなど)では少し濃縮される。

 その動物プランクトンを主に食べる比較的小型の魚(マガレイなど)、その小型の魚を食べるヒラメ、マアナゴ、マゴチなど、そしてその大型の魚を食べるスズキ、アカエイなどと、どんどん濃縮されていく。

水産庁は、いい加減な安全キャンペーンをやめよ

水産庁の対応はあまりにもいい加減だ。

 根拠もなしに安全キャンペーンをすると、信頼を失い、ますます不安をあおる結果になる。

 放射能汚染の恐ろしさを再認識し、水産物の安全確保に全力をあげるべきだ。

(アース)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2011年3月 | トップページ | 2011年5月 »