「安全な被ばく量」はない 福島原発事故で拡大する放射能汚染 その2 ~「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」の意味~
枝野官房長官は「直ちに健康に影響をおよぼすものではないが、万全を期して」と強調しつつ、野菜の出荷制限・摂取制限を発表した。
「直ちに健康に影響をおよぼすものではないが・・・・」とは、一体どういう意味だろうか。
3月24日、福島第一原発3号機で作業員が高レベルの放射能に被ばくし、ベータ線熱傷の疑いで入院した。
これは放射線による急性障害だ。
急性障害は被ばく後、遅くとも2~3ヶ月で表れ、被ばくが原因であることが明らかだ。
「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」というのは、急性障害を起こすほどの被ばく量ではない、と言っているだけだ。
それでも「風評被害」を覚悟の上で野菜や飲料水の規制をせざるを得ないのは、放射線が、ガンや遺伝的障害を引き起こすからだ。
1986年、旧ソ連チェルノブイリ原発の事故で膨大な量の放射能がまき散らされた。3年後あたりから、子どもたちの甲状腺がんが急増した。
急性障害が起こらないような「低線量」の被ばくでも、長い潜伏期間の後に、ガンなどの晩発障害が起こる。
晩発障害は、確率的障害とも呼ばれている。
急性障害は同じ量の放射線に被曝すれば誰にでも起こるが、確率的障害は一定の割合で起こるので、起こる人と起こらない人がある。
線量に比例してガンが起こると考えられており、「安全な量」は、ない。
だからこそ、「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」が、野菜や水道水を規制せざるを得ないのだ。
「暫定基準」を超える野菜や水を飲食しても安全だ、などと放言している「専門家」は、嘘つきだ。
一般人の被ばく限度は国際的に、年1ミリシーベルトとされている。
1ミリシーベルト被ばくすると、何人がガンになるのだろうか。
放射線医学総合研究所によれば、100ミリシーベルトの被ばくによりガンになる確率は0.5%とされている。1,000人に5人である。
100ミリシーベルトで1,000人に5人ということは、1ミリシーベルトで10万人に5人がガンになる。
日本の人口を1億3,000万人とすると、全員が1ミリシーベルト被ばくすると、6,500人。
原発でなくても発電はできる。ガンの危険を犯してまで、原発にこだわる理由はない。
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