« 2010年10月 | トップページ | 2011年4月 »

2011年3月

原発の放射能なんかで死にたくない! ~福島原発事故で放射線被ばくの安全性を考える~

100ミリシーベルトでも「安全」?

 放射能に「安全な被ばく量」はない。被ばくすればするほど、発がん率が高くなると考えられているので、被ばくをできるだけ抑えなければならない。

 一般人の被ばく限度は1ミリシーベルトとされているが、それでも10万人に5人はがんになると計算される。

 ところが、最近、テレビに登場する「専門家」たちが、「100ミリシーベルト被ばくしても問題ない」と繰り返している。

 「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」どころか、ガンにもならないと言っているから、ビックリだ。

 一体、どういうこと?

「ガンになっても分からない」

 例えば、環境放射線の研究が専門だという「原子力安全委員会専門委員」はこう言っていた。

 「どんなに低くても発がんするという前提で放射線管理しているが、現実には、年間100ミリシーベルトくらいだと、臨床的に見えない。」

 放射線でがんになっても分からない、というわけだ。

 子どもの甲状腺がんは100万人に1人くらいの、非常にまれな病気だ。

 だから旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の後、子どもたちに甲状腺がんが多発した時、放射性ヨウ素による体内被ばくが原因であることが、明らかだった。

 では、大人のガンはどうか。

 日本ではおよそ30%の人がガンで死ぬ。

 放射線医学研究所の説明では100ミリシーベルト被ばくすると、ガンが0.5%増えるとされているが、30%が30.5%になっても、それが被ばくのせいだと証明するのはむつかしい。

 「どうせ、放射能のせいだと分からないんだから、安全だと言っておけばいい」というわけだ。

 日本の人口1億3,000万人の0.5%といえば、65万人がガンになる。

 それでも「安全」と、「専門家」は言っている。 

原発の放射能なんかで死にたくない!

 放射線医学総合研究所は、100ミリシーベルト被ばくするとガンが0.5%増えると述べた上で、「これは喫煙や食事などの生活習慣を原因とするがんの危険性よりも数十分の一程度の低い値で、過度に心配する必要はありません」と言っている。

 「放射線医学」って、放射線の悪影響から国民を守るためにあるんじゃないの?

 たばこは吸わないことができる。生活習慣も変えられる。しかし、原発から飛んでくる放射性物質からは、逃げられない。

 原発の放射能なんかで死にたくない!

 これが日本中の、いや、世界中の声ではないだろうか。

(アース)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「安全な被ばく量」はない 福島原発事故で拡大する放射能汚染 その2 ~「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」の意味~

枝野官房長官は「直ちに健康に影響をおよぼすものではないが、万全を期して」と強調しつつ、野菜の出荷制限・摂取制限を発表した。

 「直ちに健康に影響をおよぼすものではないが・・・・」とは、一体どういう意味だろうか。

原発作業員の急性障害

 3月24日、福島第一原発3号機で作業員が高レベルの放射能に被ばくし、ベータ線熱傷の疑いで入院した。

 これは放射線による急性障害だ。

 急性障害は被ばく後、遅くとも2~3ヶ月で表れ、被ばくが原因であることが明らかだ。

 「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」というのは、急性障害を起こすほどの被ばく量ではない、と言っているだけだ。

 それでも「風評被害」を覚悟の上で野菜や飲料水の規制をせざるを得ないのは、放射線が、ガンや遺伝的障害を引き起こすからだ。 

がん、遺伝的障害に「安全な被ばく量」は ない

2005_chernobyl_2

Photo_2

 1986年、旧ソ連チェルノブイリ原発の事故で膨大な量の放射能がまき散らされた。3年後あたりから、子どもたちの甲状腺がんが急増した。

 急性障害が起こらないような「低線量」の被ばくでも、長い潜伏期間の後に、ガンなどの晩発障害が起こる。

 晩発障害は、確率的障害とも呼ばれている。

 急性障害は同じ量の放射線に被曝すれば誰にでも起こるが、確率的障害は一定の割合で起こるので、起こる人と起こらない人がある。

 線量に比例してガンが起こると考えられており、「安全な量」は、ない。

 だからこそ、「直ちに健康に影響をおよぼすものではない」が、野菜や水道水を規制せざるを得ないのだ。

 「暫定基準」を超える野菜や水を飲食しても安全だ、などと放言している「専門家」は、嘘つきだ。

1ミリシーベルトで10万人に5人が ガンで死ぬ

 一般人の被ばく限度は国際的に、年1ミリシーベルトとされている。

 1ミリシーベルト被ばくすると、何人がガンになるのだろうか。

 放射線医学総合研究所によれば、100ミリシーベルトの被ばくによりガンになる確率は0.5%とされている。1,000人に5人である。

 100ミリシーベルトで1,000人に5人ということは、1ミリシーベルトで10万人に5人がガンになる。

 日本の人口を1億3,000万人とすると、全員が1ミリシーベルト被ばくすると、6,500人。

 原発でなくても発電はできる。ガンの危険を犯してまで、原発にこだわる理由はない。

(アース)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

福島原発事故で拡大する放射能汚染 ~体内被ばくの恐ろしさ~

 福島第一原発事故の影響が急速に拡大してきた。

 私たちが吸い込む空気の汚染にはじまり、ほうれん草などの野菜、牛乳、飲料水、土壌、そしてついに、広大な海までが汚染されている。

 枝野官房長官は汚染が明らかになる度に「ただちに健康に影響をおよぼすものではない」と繰り返しているが、本当に安心してていいのだろうか。

植物はヨウ素を200万~1000万倍も濃縮する

 哺乳類はヨウ素を甲状腺に濃縮して甲状腺ホルモンを作る。植物もヨウ素を高濃縮する。

 1959年にアメリカのサバンナ・リバー原子力工場という軍事施設で放射性ヨウ素放出事故が起こった。

 調査の結果、事故で放出されたヨウ素131が、空気中から植物体内に200万~1000万倍にも濃縮されていたことが判明した(市川定夫著「環境学」217頁)。

 ヨウ素は、海には豊富にあるが、陸上には乏しい。

 進化の途上で陸上に進出したので、ヨウ素を効率よく濃縮する能力を獲得したのだ(同上 234頁)。

 ほうれん草は放射性ヨウ素を高濃縮して、原発の恐ろしさを身をもって教えてくれているのだ。

体内被ばくの恐ろしさ

 今、私たちのまわりには、福島第一原発から放出された放射性物質の微粒子がただよい、そのガンマー線が毎時0.06マイクロシーベルトなどと報道されている。

 それは体の外から放射線が当たる「体外被ばく」だ。レントゲン撮影のようなイメージだ。

 他方、ヨウ素は私たちの甲状腺に、セシウムは筋肉と生殖腺に、ストロンチウムは骨に濃縮される。

 濃縮された放射性物質は、体の中から細胞の遺伝子を傷つける。

 体内被ばくである。

 体内被ばくが恐ろしいのは、第1に、距離である。

 ガンマー線の線量は、線源からの距離の二乗に反比例する。

 放射性物質の微粒子が体外にある間は、体から数センチ離れていたり、数メートル離れていたりするだろう。

 しかし体内に取り込まれた途端に、すぐ隣の細胞の遺伝子を傷つける。その距離は0.01ミリのレベルである。

 体内被ばくは、体外被ばくとは比べものにならないほどの被ばくになる。

 もう一つの恐ろしさは、継続性である。

 放射性物質の微粒子が出す放射線は、閉め切った室内では減少すると言われている。

 しかし体内に取り込まれてしまうと、室内に避難していても、寝ている間も、被ばくが続くのだ。

 放射能が8分の1になるには、ヨウ素131の場合24日、セシウム137の場合は90年かかる。

野菜による体内被ばく

 「暫定基準」を超える野菜を食べると、どのくらい被ばくするのだろうか。

 ヨウ素131を1ベクレル経口摂取すると、0.022マイクロシーベルト。

 セシウム137では0.013マイクロシーベルトになる。

 野菜の「暫定基準」は、野菜1キロにつき、ヨウ素131が2000ベクレル、セシウム137が500ベクレル。

 「暫定基準」の野菜を1キロ食べると、ヨウ素131で44マイクロシーベルト、セシウム137で6.5マイクロシーベルトの被ばくになる。

 厚労省の調査では、20歳以上の野菜摂取量は平均304.3グラム、うち緑黄色野菜は102グラム。

 「暫定基準」では「根菜、芋類を除く」となっているので、緑黄色野菜を毎日100グラム食べるとすると、1年間で、ヨウ素131では1,584マイクロシーベルト(1.584ミリシーベルト)、セシウム137では234マイクロシーベルトになる。 

被ばく限度は年1ミリシーベルト

 国際放射線防護委員会(ICRP)は一般人の被ばく限度を「年間1ミリシーベルト」と勧告している。

 「暫定基準」のヨウ素を含む緑黄色野菜を毎日100グラム食べると、被ばく限度の1.5倍になってしまうのだ。

「暫定基準」緩和は危険! 

 内閣府の食品安全委員会は3月22日、緊急会合を開き、今後1週間をめどに、食品を通じた放射線による健康被害について基準を早急にとりまとめることになったという。

 「暫定基準」に基づく出荷停止が大きな波紋を広げている現状から見ると、新たな基準は「暫定基準」を緩和しようとしているのではないだろうか。

 緑黄色野菜だけで被ばく限度を超えるのだから、牛乳、水、魚、肉などによる体内被ばくが加わったら、一体どういうことになるのか、想像するだけで恐ろしい。

 食品の放射能基準は「暫定基準」よりはるかに厳しくすべきであり、緩和するなど、あってはならないことだ。

(アース)

| | コメント (6) | トラックバック (0)

« 2010年10月 | トップページ | 2011年4月 »