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2010年2月

CO2を削減しても経済は成長できる

下のグラフからも明らかなように、日本のCO2の約8割は、企業・公共部門が出している。

Co2_3

 ところが産業界には温暖化対策に反対の声が多い。経団連は統計を偽装してまで、温暖化対策反対のキャンペーンを張っている。  昨年末には、日本鉄鋼連盟や電力業界が鳩山政権の「25%削減」方針の見直しをあらためて要求している。

 こうした産業界の反対は、「温暖化対策=省エネ」と狭く考え、温暖化対策をすると経済成長にマイナスになる、と考えているからではないのか。

 温暖化対策には省エネも必要だが、肝心なのはエネルギー源の転換だ。化石燃料をやめ、太陽光・風力・バイオ燃料など再生可能エネルギーに転換すれば、エネルギーを使って経済成長しても、温暖化を防ぐことができる。

 エネルギー転換を進めれば、温暖化対策と経済成長は両立する。

 諸外国の実例を見てみよう。

Gdpco2_2

CO2排出増加率は温室効果ガスインベントリーオフィスの「附属書I国の温室効果ガス排出量データ(1990~2007年) CO2 excluding LULUCF」、GDP成長率はWorld Economic Outlook DatabaseのGross domestic product, constant prices, National currencyより計算。
ロシアのデータは2007年と1992年の比較。

 上のグラフは、1990年と2007年を比較して、各国のCO2排出量増加率とGDP成長率の関係を示している。

 例えば米国は、1990年から2007年の間にGDP(横軸)は65%伸びたが、CO2排出量(縦軸)も20.2%増えている。

 日本もGDPは25.3%増えたが、CO2も14%増えている。

 日本、米国、カナダなどは経済成長を優先させ、温暖化対策をおろそかにしてきたことが分かる。

 米国では洗濯物は乾燥機で乾かすのが常識とされ、温暖化を憂える人々が屋外に干して乾燥させようとすると、見栄えが悪い、マンションの価値が下がるなどとブーイングをくらうという。

 他方、ポーランドは経済成長率は91%と非常に高いのに、CO2は11%減少している。ロシアは日本より経済成長率が高いのに、CO2は18%も 減少している。ブルガリア経済は2.9%のマイナス成長ながら、CO2は31.7%も減少している。これら各国の事情をご存じの方はお教えいただけるとあ りがたいです。

 オランダ、デンマーク、フランス、イタリアなどは、経済成長率は日本より高いのに、CO2排出は日本よりはるかに抑えている。英国、スウェーデン、ドイツなどはCO2排出を大幅に減少させている。

 これらヨーロッパ諸国は、環境税・炭素税などを導入し、エネルギー転換、低炭素化を進めてきた成果が現れているのだろう。

 温暖化対策と経済成長を両立させることは十分可能である。

 ちなみに、温暖化防止の「京都議定書」誕生の地・京都の産業界は、温暖化対策による技術革新で競争力を高めようとしているという(朝日新聞 2010年2月15日 朝刊)。

(アース)

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