温暖化対策すると年36万円も負担増?
鳩山政権が打ち出した温暖化ガス削減目標に対し、いまだに「家庭の可処分所得と光熱費の負担が年36万円に達する」などと宣伝されている。
これは、麻生前政権の「中期目標検討委員会」に出された政府試算に基づいているようだが、「2020年に25%削減」するための選択肢はたくさんある。麻生前政権の試算は、「25%削減は無理だ」と印象づけることを目的にした試算である。
検討委員会のメンバーだった国立環境研究所の西岡秀三特別客員研究員は「試算は日本の産業構造が変わらないという前提ではじいたもの。だから、排出量の大きさに比べ産業部門の負担が極めて小さい。その分だけ、家庭の負担が重くなっている」と問題点を指摘しているそうだ(10月6日朝日新聞朝刊2面)。
温暖化対策の選択は実に恣意的だ。試算では2020年までに1990年比25%削減するには、「高効率給湯器を全所帯の9割、4400万台普及させる必要がある」としている。
「高効率給湯器」というのは、ガス湯沸かし器の排熱も活用して熱効率を上げたり(エコジョーズ)、ヒートポンプでお湯を沸かしたり(エコキュー ト)、あるいはガスエンジンで発電する時の排熱でお湯を沸かす(エコウイル)もの。効率がいいといっても、CO2を出すことに変わりはない。
太陽熱利用なら、お湯を沸かす時にCO2はほとんど出さない。
太陽電池が太陽光を電気に変換する効率は15~20%程度だが、太陽熱だと熱のまま使えるので、エネルギーの40~60%程度を利用できる。太陽光で発電した電気でお湯を沸かすよりも、はるかに効率がいいのだ。
朝日新聞10月3日朝刊e5面より |
5月に「日本の太陽熱温水器は中国製より、はるかに遅れている!?」と書いたが、上のグラフのように、太陽熱温水器などの設置では日本はドイツにも追い抜かれている。
「欧州や中国などでは、太陽熱が太陽光発電と同様に自然エネルギーのひとつとして支援され、成長産業になっている」という(朝日新聞10月3日朝刊e5面)。
鳩山首相は10月7日の「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」で削減目標達成に必要な費用や経済効果を試算する「検討チーム」を設置した。
鳩山政権がどういう選択肢を示すのか、注目している。
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