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2009年10月

温暖化は予想以上に急速に進行している!

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 この絵、あなたはどう読み解きますか?

 砂時計の上半分にある地球が、どんどん砂漠化して下に落ちています。地球全体が砂漠化するまで、残された時間は、あと、どんだけ?!

 これはUNEP(国連環境計画)が9月24日に発表した報告書「CLIMATE CHANGE SCIENCE COMPENDIUM(気候変動の知見)  2009 」の表紙です。

 UNEPは、WMO(世界気象機関)と共同で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を設立し、温暖化問題に取り組んできた、国連総会の補助機関。IPCCの第4次報告書(2007)が出されて以降の3年間の研究結果をまとめたのが、今回の報告書なのです。

 以下に、この報告書の記者発表資料の一部を要約して紹介します。

 気候変動のペースと規模は、IPCCの第4次報告の最も驚くような予想をも上回っているようだ。もっと長期間の間に起こると考えられてきたできごとが、すでに起こっていたり、あるいは以前考えられていたよりも早期に起ころうとしている。

 海水に溶けるCO2が増えて海が酸性化し、甲殻類やサンゴ礁への影響に関心が高まっている。あられ石と呼ばれる殻形成物質をむしばむ水が、これまでのモデルの予想より数10年も早く、すでにカリフォルニア海岸にわき上がっている。 

 氷山、氷床や極域の減少は予想以上に急速に起こっていて、例えばグリーンランドの氷床は1998年の記録より約60%も早く溶けているようだ。

 2100年までには海面が2メートルも上昇し、次の数世紀には5~10倍になると警告する科学者もいる。 

 インド亜大陸のモンスーン、サハラと西アフリカのモンスーン、さらにアマゾンの雨林のような気候システムの決定的な変化が、あと数年あるいは数10年のうちに限界点に達してしまうかも知れない。

 すでに排出された温暖化ガスの影響で、例えば熱帯と温帯の山の氷河が減少し、20~25%の人の飲み水、潅がい、水力発電に影響を及ぼすとか、水循環が変化して種が減少し、赤道の南北に乾燥地帯が広がるなど、非可逆的な悪影響を受けざるを得ないのではないかと心配されている。

 最近の研究によると、気候変動の最も破滅的な影響を避けることはできる。しかし、それには排出削減と影響を受けやすい国々の適応支援の行動を、直ちに、粘り強く、かつ決定的に行うことが必須である。

 各国政府はコペンハーゲンで2013年以降の温暖化防止条約に調印しなければならない。

 

 「25%削減は無理だ」などと、甘えていられる状況ではない。

 今後、この報告書の内容を随時紹介していきたいと思います。

(アース)

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温暖化対策すると年36万円も負担増?

 鳩山政権が打ち出した温暖化ガス削減目標に対し、いまだに「家庭の可処分所得と光熱費の負担が年36万円に達する」などと宣伝されている。

恣意的な試算

 これは、麻生前政権の「中期目標検討委員会」に出された政府試算に基づいているようだが、「2020年に25%削減」するための選択肢はたくさんある。麻生前政権の試算は、「25%削減は無理だ」と印象づけることを目的にした試算である。

 検討委員会のメンバーだった国立環境研究所の西岡秀三特別客員研究員は「試算は日本の産業構造が変わらないという前提ではじいたもの。だから、排出量の大きさに比べ産業部門の負担が極めて小さい。その分だけ、家庭の負担が重くなっている」と問題点を指摘しているそうだ(10月6日朝日新聞朝刊2面)。

高効率給湯器より太陽熱利用

 温暖化対策の選択は実に恣意的だ。試算では2020年までに1990年比25%削減するには、「高効率給湯器を全所帯の9割、4400万台普及させる必要がある」としている。

 「高効率給湯器」というのは、ガス湯沸かし器の排熱も活用して熱効率を上げたり(エコジョーズ)、ヒートポンプでお湯を沸かしたり(エコキュー ト)、あるいはガスエンジンで発電する時の排熱でお湯を沸かす(エコウイル)もの。効率がいいといっても、CO2を出すことに変わりはない。

 太陽熱利用なら、お湯を沸かす時にCO2はほとんど出さない。

 太陽電池が太陽光を電気に変換する効率は15~20%程度だが、太陽熱だと熱のまま使えるので、エネルギーの40~60%程度を利用できる。太陽光で発電した電気でお湯を沸かすよりも、はるかに効率がいいのだ。

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朝日新聞10月3日朝刊e5面より

 

 5月に「日本の太陽熱温水器は中国製より、はるかに遅れている!?」と書いたが、上のグラフのように、太陽熱温水器などの設置では日本はドイツにも追い抜かれている。

 「欧州や中国などでは、太陽熱が太陽光発電と同様に自然エネルギーのひとつとして支援され、成長産業になっている」という(朝日新聞10月3日朝刊e5面)。

鳩山政権の試算は?

 鳩山首相は10月7日の「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」で削減目標達成に必要な費用や経済効果を試算する「検討チーム」を設置した。

 鳩山政権がどういう選択肢を示すのか、注目している。

(アース)

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