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なんと、経団連が統計を偽装!

 「2020年までに温暖化ガスを25%削減」を掲げる民主党が総選挙で圧勝し、産業界は「経済活動に悪影響を及ぼす」と反発を強めているという(9月4日 朝日新聞朝刊3面)。

 自民党だけでなく、産業界も変革を迫られているというのに、こうした反発は旧態依然、情けない。

 産業界は、こうした後ろ向きの発想から犯した以下の「犯罪」を真摯に反省し、発想の転換を図るべきである。

経団連などの統計偽装

 2020年までの温暖化ガス削減の「中期目標」決定を前に、3月、経団連など58の業界団体は下記の全面広告を各紙に載せた。
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 「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」とうたい、その根拠として、左側にで囲ったグラフが示されている。拡大してみると、こういうグラフだ。

Photo

 経団連などは、日本はGDP当たりのCO2排出量が一番小さいと言っているわけだ。

 本当にそうなのか?

 各国のGDP当たりのCO2排出量を調べてみると、下のグラフのようになった。

112
 CO2排出量は「IGES 温暖化ガス排出量データ」、GDPは「世界各国のGDP」および「World Economic Outlook Database April 2009」による。

 なんと、経団連などのグラフと違って、GDP当たりのCO2排出量が一番少ないのは日本ではなく、スイスだった! 2位はノルウェー、3位以下はスウェーデン、フランス・・・とEU諸国が続き、日本は実に11位だった。

 だとすると、経団連などのグラフは一体何なのか?

 「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」と題するグラフでは、1位のスイス、2位のノルウェーは除外されている。

 日本の右に書かれているのは「EU27ヵ国」である。EU各国のGDP当たりのCO2排出量は、下のようになっている。

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 EU加盟国のトップ・スウェーデンのGDP当たりのCO2排出量は0.13、「最悪」のブルガリアは1740である(キプロス、マルタ、エストニア、ラトビアはデータが得られなかった)。

 経団連などの意見広告は、スイス、ノルウェーを隠し、スウェーデン、フランスなどは「EU27ヵ国」にまとめることによって隠し、さも日本がトップであるかのように偽装していたのだ。

 だいたい、0.13から1740まで幅のあるものを平均するなんて、おかしいじゃないか!

 そもそも、GDP当たりのCO2排出量で「低炭素社会かどうか」を判断できるものだろうか?

 農業国、工業国、第三次産業が主体の国では、GDP当たりのCO2排出量はそれぞれ桁が違っているだろう。EU各国の比較はそれを示しているのではないだろうか。

産業界は発想の転換を!

 この「意見広告」は、温暖化に対する経団連をはじめ産業界の考え方を象徴している。

 温暖化対策にお金を使うのは企業にマイナスだから、統計を偽装してでも対策にブレーキをかけようというのだ。

 今や、温暖化対策は絶対に必要である。産業界は、太陽電池を生産するとか、マイクロ水力発電を普及させるとか、温暖化対策によって利潤を得ること(グリーン・ニューディール)を追求する時なのだ。温暖化対策を毛嫌いしている場合ではない。発想の転換が必要なのだ。

(アース)

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コメント

経団連は嘘のサンパチ。EUの平均値をとって順位を誤魔化すと言う姑息な手を使った。流石に各国とは書けなかった。各国では嘘800がばれてしまう。

投稿: エコエコ | 2009年9月 7日 (月) 12時58分

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