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2009年9月

日本の送電網は10年遅れている!?

 ワールドウオッチ研究所(米ワシントン)は毎年「地球白書」を発行し、地球環境の危機に早くから警鐘を鳴らしてきた。9月17日の朝日新聞夕刊に 「エネルギーの政権交代も」と題して、ワールドウオッチ研究所のクリストファー・フレイビン所長へのインタビューが掲載されている。

自然エネルギーへの「政権交代」

 世界でエネルギーの「政権交代」が起きている。ここ5年間の自然エネルギー産業の成長はめざましい。風力、太陽光、太陽熱、バイオ燃料など幅広い 分野の技術が同時に伸びている。1950~60年代のコンピューター技術のように、産業や社会に長期的な構造転換を起こしつつある。

日本の送電網は10年遅れている

 スマートグリッド(賢い送電網)もそうした技術のひとつだ。先進的な情報技術を送電網に導入し、電気をより精密に効率よく制御する。電気代に応じ てエアコンを自動的に止めたり、自然エネルギーの変動を受け止めたりすることができる。電力需要が多い時には、充電されたプラグインハイブリッド車から電 気を送ることも可能になる。

 日本の電力業界には「日本の送電網はすでに十分スマートだ」という声があると聞くが、もしそうなら、なぜもっと自然エネルギーの電気を取り入れな いのか。欧州では風力発電が20~30%を占める地域もある。日本は10年遅れている。賢くない送電網を使っているか、送電網を扱う人たちがスマートでな いかのどちらかではないか。

 電力の需要と供給の変動を新しい技術で賢く調整しようという発想が、日本ほどの技術大国で広がっていないのは不思議だ。

自然エネルギーは扱いやすい

 スマートグリッドや蓄電などの技術革新によって、電力システムは低炭素で分散型なものに変わっていく。米国も欧州も中国も、すでにその方向へ動いている。

 自然エネルギーは実は扱いやすい電源だ。天気予報によって変動をかなり予測できる。一方、原子力は地震やトラブルで長期間止まることがある。その 予測はとても難しい。原子力や石炭といった大規模なべースロード電源(一定の出力で運転し続ける電源)に頼る電力システムは時代遅れになってゆき、出力調 整がしやすい天然ガスのようなフレキシブルな電源が増えるだろう。

 昔みんなが馬車から自動車へ乗り換えたように、便利で優れた新技術が古い技術から置き換わるのは自然な流れだ。米国ではグーグルがエネルギー事業 に非常に興味を持っている。エネルギーや電力を独占事業と考えるのはやめて、何千という会社が競争するオープンなビジネスにしなければならない。


 私は以前「『太陽光発電を20倍に』と言うけれど」で、日本で再生可能エネルギーの導入が進まないのは、電力会社が発電による利益を維持しようとしているからだと述べた。日本の送電網が「賢くない、10年遅れている」とはどういうことなのか、どなたか教えていただければ幸いです。

<追記>

 「朝日地球環境フォーラム2009」の分科会3「太陽の時代に向けて」での発言(2009年9月26日 朝日新聞朝刊9面)を紹介する。

 「(電力業界は「太陽光や風力が増えると送電網の電気が不安定になる」と言うが)太陽光や風力のような分散型電源が増えると、既存の送電網を変えていかないといけない。通信機能や蓄電池を組み込んだ送電線の技術開発に早く取り組むべきだ」(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事・小井沢和明氏)

 「送電網を独占する電力会社は、自然エネルギーという異物が入るのを拒否している。自然エネルギーを拡大するには、そういう政治的な問題を何とかしないといけない」(環境エネルギー政策研究所長・飯田哲也氏)

(アース)

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経団連よ、甘ったれるな!

 鳩山民主党党首が「2020年までに温暖化ガス(1990年比)25%削減」を宣言して以来、経団連・産業界、マスコミ、さらには、自動車総連など民主党を支持する労働組合からも反発が相次いでいる。

 「25%削減なんて無理」、「住宅の断熱化、太陽光パネルの設置など国民負担が大きすぎる」、「経済が低迷する」などというわけだ。

「省エネ改革停滞15年」

 経団連などは「日本は世界トップレベルの低炭素社会」「世界最高のエネルギー効率」と称し、「乾いた雑巾をいくら絞っても1滴も出ない」などと言っている。これは嘘八百である。

 実際には、下図のように、日本のGDP当たりのエネルギー消費量は1990年以降減少しておらず、「省エネ改革停滞の15年」と言われている。他方、欧米諸国では急速に省エネが進められている。

Photo_2
「日本低炭素社会のシナリオ」(西岡秀三編著 日刊工業新聞社)より
 

 GDP当たりのCO2排出量を見ると、すでに日本はスイス、ノルウェーやEU諸国に追い抜かれ、世界第11位になっている。

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 CO2排出量は「IGES 温暖化ガス排出量データ」、GDPは「世界各国のGDP」および「World Economic Outlook Database April 2009」による。

 他の10ヵ国にできることが、何で日本の企業にはできないのか?

 産業界は「省エネ神話」に安住することなく、省エネ努力を積み重ねていかねば、世界市場で取り残されるだろう。

「国民負担」とは聞いてあきれる
ビジネス・チャンスを見逃すの?

 これまでの温暖化対策は、ゴネる経団連などに自民党が配慮したため、業界の「自主削減」任せ。その結果、CO2は減るどころか、どんどん増加、2007年には1990年比14%増に達している

 「25%削減」のためには、企業の自主削減任せにせず、炭素税・環境税導入など、CO2削減を促進するシステムが必要だ。

 その中で、住宅やオフィスの断熱化、エネルギー効率のいいヒートポンプの活用、公共交通機関の利用促進など、まずはエネルギー効率を改善する必要がある。

 さらに、現在のエネルギー源は化石燃料が中心だが、再生可能エネルギーに変えれば、CO2排出はゼロに近くなる。太陽光発電や風力発電、バイオマスなどが普及すれば、ビッグ・ビジネスになる。

 温暖化対策は省エネ家電をはじめ新たな需要を呼び起こし、内需拡大、ビジネス・チャンスを提供する。

 省エネ家電を買ったり、太陽光電池をつけるのが、なんで「国民負担」なのか? ハイブリッドカーを売るのは、「国民負担」を強いているんですか?

 炭素税・環境税の導入は「国民負担」になり得る。しかしドイツでは、環境税収入の大部分は年金保険料の引き下げに当てられ、国民や企業の負担軽減が図られている

 経団連は、「環境対策はお荷物」といった甘えた発想をやめ、さっさと「環境対策をビジネスに」へと転換しないと、お仲間の自民党と同様、三行半を突きつけられまっせ!

(アース)

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なんと、経団連が統計を偽装!

 「2020年までに温暖化ガスを25%削減」を掲げる民主党が総選挙で圧勝し、産業界は「経済活動に悪影響を及ぼす」と反発を強めているという(9月4日 朝日新聞朝刊3面)。

 自民党だけでなく、産業界も変革を迫られているというのに、こうした反発は旧態依然、情けない。

 産業界は、こうした後ろ向きの発想から犯した以下の「犯罪」を真摯に反省し、発想の転換を図るべきである。

経団連などの統計偽装

 2020年までの温暖化ガス削減の「中期目標」決定を前に、3月、経団連など58の業界団体は下記の全面広告を各紙に載せた。
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 「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」とうたい、その根拠として、左側にで囲ったグラフが示されている。拡大してみると、こういうグラフだ。

Photo

 経団連などは、日本はGDP当たりのCO2排出量が一番小さいと言っているわけだ。

 本当にそうなのか?

 各国のGDP当たりのCO2排出量を調べてみると、下のグラフのようになった。

112
 CO2排出量は「IGES 温暖化ガス排出量データ」、GDPは「世界各国のGDP」および「World Economic Outlook Database April 2009」による。

 なんと、経団連などのグラフと違って、GDP当たりのCO2排出量が一番少ないのは日本ではなく、スイスだった! 2位はノルウェー、3位以下はスウェーデン、フランス・・・とEU諸国が続き、日本は実に11位だった。

 だとすると、経団連などのグラフは一体何なのか?

 「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」と題するグラフでは、1位のスイス、2位のノルウェーは除外されている。

 日本の右に書かれているのは「EU27ヵ国」である。EU各国のGDP当たりのCO2排出量は、下のようになっている。

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 EU加盟国のトップ・スウェーデンのGDP当たりのCO2排出量は0.13、「最悪」のブルガリアは1740である(キプロス、マルタ、エストニア、ラトビアはデータが得られなかった)。

 経団連などの意見広告は、スイス、ノルウェーを隠し、スウェーデン、フランスなどは「EU27ヵ国」にまとめることによって隠し、さも日本がトップであるかのように偽装していたのだ。

 だいたい、0.13から1740まで幅のあるものを平均するなんて、おかしいじゃないか!

 そもそも、GDP当たりのCO2排出量で「低炭素社会かどうか」を判断できるものだろうか?

 農業国、工業国、第三次産業が主体の国では、GDP当たりのCO2排出量はそれぞれ桁が違っているだろう。EU各国の比較はそれを示しているのではないだろうか。

産業界は発想の転換を!

 この「意見広告」は、温暖化に対する経団連をはじめ産業界の考え方を象徴している。

 温暖化対策にお金を使うのは企業にマイナスだから、統計を偽装してでも対策にブレーキをかけようというのだ。

 今や、温暖化対策は絶対に必要である。産業界は、太陽電池を生産するとか、マイクロ水力発電を普及させるとか、温暖化対策によって利潤を得ること(グリーン・ニューディール)を追求する時なのだ。温暖化対策を毛嫌いしている場合ではない。発想の転換が必要なのだ。

(アース)

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温室効果ガスの削減 民主党の実現力に期待

 イントロ
 総選挙 尻に火が付き大やけどで119番(議席) 民主党は嘘か真かうそのサンパチ308(議席)。

 衆議院選挙の結果は民主党自身がホントかいな?とわが目を疑った。それはウソのサンパチ(参八)308議席(政策は嘘のサンパチにならないように願いたい)。かたや自民党は119議席。119番は消防車と救急車。自民党は火達磨、消防を呼び大やけどで重態になり救急へ運ばれ入院。
 政権は自由民主から自由が取られて民主に代わった。
温室効果ガス対策も自民党よりも削減目標を大幅にあげて欲しいものである。
政策も変わらなければ、国民の意思が伝わった事にならない。
温暖化対策も然りである。

民主党の超難題 温室効果ガスの削減

 他の政策と異なりバラマキは効かない。むしろ産業界と国民に創意工夫と協力を得る必要がある。

 国立環境研究所が公表している最新データによると、2007年度の排出量は基準年の9%増。CO2に限ると14%増にもなる。2006年度6、2%増だから、1年で2,8%増である。単純予測で2009年度14,6%増。削減どころか増加している。それも加速増加している。目標を2012年までに達成しようとするなら、2009年度の排出量から20%前後削減しなければならない。

 2020年の民主党の削減目標は1990年比で25%とあるが、増加分をのせると40%前後になる。
 実行するには強制力のあるものでなければならない。民主党マニフェストに「地球温暖化対策税導入を検討」とあるが是非実現してもらいたい。

化石燃料エネルギーに終焉を!

 温暖化はエネルギー問題でもある。現代文明において産業活動、生活にはエネルギーが不可欠である。
 化石燃料を燃焼させてエネルギーを得ると、CO2など温室効果ガスをばらまく。人間が生産活動を活発にすればするほどCO2などで温暖化し、気候変動を起こし、南極北極の氷を溶かし海の生態系を壊し漁業に甚大な被害をあたえた。氷河溶解は大洪水をおこし水害などによって人的被害、農産物を壊滅させるなど枚挙に暇が無い。

温暖化対策にはエネルギーの地産地消が1番

 化石燃料を使わないエネルギー、それは再生可能エネルギー、太陽光、熱、風力、地熱、波力、水力。これ全て太陽と地球が存在する限り持続するエネルギーである。しかも小規模で発電ができる。大型発電所は高額な建設費と年月が掛る。特に原発などは数百キロも送電線を張る為膨大な費用と電力ロスがでる。水力発電も然りで、しかも大型は開発地が残ってない。ところが小さい河川や用水路を利用するマイクロ発電(100キロW以下)がある。小型なので周辺地域で、きわめてローカルな発電所である。無駄な送電線は最小限、近距離なので電力ロスも僅か。エネルギーの地産地消である。太陽光、熱、風力などと組み合わせれば、地産地消どころか、個産個消が出来るのである。地熱は日本では1%(自家用6箇所含む)しか開発されておらず、8000箇所もあり、地産地消にはぴったりである。企業も太陽光、熱、風力などで企産企消すべきである。太陽光、熱、風力、地熱、波力、水力などを組み合わせハイブリット化し、システムとして売り出せば、大規模な産業として生産活動が活発化し、雇用の大幅促進が見込める。もちろん温室効果ガス削減目標は実現出来るはず。これらを実行するには法整備と政府の大規模な支援が必要不可欠である。

 以上、民主党の実現力に期待する。

付録

嘘の38の語源

家康が江戸に入部した際、三河の八部と呼ばれた連中を伴って江戸の治安をまかせたが、これらは質が悪く、自分 の気に入らぬものをどんどん捕まえて、拷問で自白させ、罪に処したため、「うその三八」と言った。八切止夫著の「任侠と仁義」に書かれ ている。福山藩の水野侯について同じような話がある。

                                         
byエコエンジェル

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