政権交代と温暖化
2050年までに先進国は温暖化ガスを80%以上減らす必要があると言われる中で、 麻生首相は2020年までに1990年比わずか8%減(2005年比15%減)という中期目標を決定した。
日本の温暖化対策は何でこんなに進まないのか?
一番の元凶は大企業である。
これは3月17日の朝日新聞朝刊5面全面に掲載された「意見広告」である。
「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」って、何を言ってるの?
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一人当たりのCO2排出量で見れば、日本は「世界トップレベルの高炭素社会」だ。世界には、ベトナム、フィリピンよりさらに「低炭素」な国々がひしめいている。
「意見広告」が言っているのは、「日本はGDP当たりのCO2排出量が少ない」ということだ。省エネが進んでいると言いたいようだが、温暖化対策には「創エネ」こそ必要だ。再生可能エネルギーをどんどん使えるようにしなければならない。
そんな基本的なことも無視して、「温暖化しないようにすると、国民の皆さんの負担が増えますよ、それでもいいんですか!?」と「意見広告」を出したのは、日本経済団体連合会(経団連)を初めとする下記の58業界団体である。
大企業の業界組織・経団連は5月12日、中期目標として、1990年比4%増(2005年比4%減)が「最も合理的である」とする意見を発表し、政府に提出した。さすがにこれに対しては、斉藤環境大臣が「世界の笑い物になる」と痛烈に批判したという。
経団連は日本の大企業約1,300社などからなる業界団体だ。会長は御手洗富士夫・キャノン会長。大企業は、地球環境がどうなろうと、将来のことは考えずに、ともかく目の前の利益を確保したい。儲けが少なくなるような環境投資はしたくない。電力業界(電気事業連合会)は発電をできるだけ独占したい、原発を推進したい、送電線を手放したくない。
自民党や官庁は、もともと大企業の利益を図ることを旨としている。さらに大企業、自民党、官庁は献金や天下り先の確保、大企業を優遇する政策・補助金などを通じて、互いに持ちつ持たれつの関係を築いている。そこに学者・研究者が取り込まれ、大企業優先の政策にお墨付きを与えている。
「産官政学」腐敗の構造が温暖化対策を妨害している。「低炭素革命」には政権交代が必要だ。
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