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2009年7月

政権交代と温暖化

 2050年までに先進国は温暖化ガスを80%以上減らす必要があると言われる中で、 麻生首相は2020年までに1990年比わずか8%減(2005年比15%減)という中期目標を決定した。

 日本の温暖化対策は何でこんなに進まないのか?

 一番の元凶は大企業である。

日本は低炭素社会?

21trim

 これは3月17日の朝日新聞朝刊5面全面に掲載された「意見広告」である。

 「日本は世界トップレベルの低炭素社会です」って、何を言ってるの?

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 一人当たりのCO2排出量で見れば、日本は「世界トップレベルの炭素社会」だ。世界には、ベトナム、フィリピンよりさらに「低炭素」な国々がひしめいている。

 「意見広告」が言っているのは、「日本はGDP当たりのCO2排出量が少ない」ということだ。省エネが進んでいると言いたいようだが、温暖化対策には「創エネ」こそ必要だ。再生可能エネルギーをどんどん使えるようにしなければならない。

 そんな基本的なことも無視して、「温暖化しないようにすると、国民の皆さんの負担が増えますよ、それでもいいんですか!?」と「意見広告」を出したのは、日本経済団体連合会(経団連)を初めとする下記の58業界団体である。 

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  温暖化ガス「4%増が合理的」と主張

 大企業の業界組織・経団連は5月12日、中期目標として、1990年比4%増(2005年比4%減)が「最も合理的である」とする意見を発表し、政府に提出した。さすがにこれに対しては、斉藤環境大臣が「世界の笑い物になる」と痛烈に批判したという

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 経団連は日本の大企業約1,300社などからなる業界団体だ。会長は御手洗富士夫・キャノン会長。大企業は、地球環境がどうなろうと、将来のことは考えずに、ともかく目の前の利益を確保したい。儲けが少なくなるような環境投資はしたくない。電力業界(電気事業連合会)は発電をできるだけ独占したい、原発を推進したい、送電線を手放したくない。

 自民党や官庁は、もともと大企業の利益を図ることを旨としている。さらに大企業、自民党、官庁は献金や天下り先の確保、大企業を優遇する政策・補助金などを通じて、互いに持ちつ持たれつの関係を築いている。そこに学者・研究者が取り込まれ、大企業優先の政策にお墨付きを与えている。

 「産官政学」腐敗の構造が温暖化対策を妨害している。「低炭素革命」には政権交代が必要だ。

(アース)

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日食と温暖化

 7/22の皆既日食は残念ながら国内では見られなかった。
硫黄島で観測された結果によると太陽活動が不活発なためコロナは横に流れプロミネンスは微小で数も僅か。

 21日は麻生首相がやっと解散。そう言えば過去に日食解散が4回もあったそうだ。
皆既は怪奇。一瞬闇が訪れ気温が5度ほど下がり不気味な雰囲気に包まれる。
皆既がしばらく続けば温暖化は簡単に解決するのだが。
これにヒントを得て宇宙空間に遮蔽物を打ち上げ人工的に日食をおこし日傘代わりにしようとNASAが考えた。何時になる事やら?

太陽活動は今は極小期、太陽黒点はゼロ,IPCCによるとこの時期0.6度下がるとの報告がある。
現実には下っていない。
データを見ると2010年から極大期に向かう。益々地球はホットになるのである。

 観測値(黒点)
最近10日間の観測値

                         黒点数    
2009年07月14日     0    
2009年07月15日     0    
2009年07月16日     0    
2009年07月17日     0    
2009年07月18日     0   
2009年07月19日     0    
2009年07月20日     0    
2009年07月21日     0   
2009年07月22日     0    
2009年07月23日     0    

最近12ヶ月の観測値(月平均値)

年月(UT)     黒点数   
2008年07月     0.5   
2008年08月     0.5   
2008年09月     1.1    
2008年10月     2.9    
2008年11月     4.1    
2008年12月     0.8    
2009年01月     1.5   
2009年02月     1.4    
2009年03月     0.7   
2009年04月     1.2   
2009年05月     2.9    
2009年06月     2.6    

 予測値(黒点)
今後12ヶ月の黒点数の予測値

年月(UT)     黒点数
2009年07月     12
2009年08月     13
2009年09月     14
2009年10月     15
2009年11月     17
2009年12月     18
2010年01月     19
2010年02月     20
2010年03月     22
2010年04月     23
2010年05月     25
2010年06月     27
データは宇宙天気より抜粋。

byエコエンジェル 

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再生可能エネルギーも上げ底!?

「再生可能エネルギーを20%に」って、本当?

 麻生首相は4月9日、日本記者クラブで「新たな成長に向けて」と題して演説し、 「2020年には、エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率を今より倍増して、世界最高水準の20%まで引き上げたいと思っております」と胸を張った。

 2020年の温室効果ガス削減目標を「1990年比8%(2005年比15%)」と発表した6月10日の記者会見でも、「新エネルギー、いわゆる水力発電などの再生可能エネルギーの導入量を世界最高水準の20%にまで引き上げる」と繰り返した。

 「『太陽光発電を20倍に』と言うけれど」で明らかにしたように、現在の政府計画では、2020年に一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合は、水力・地熱3%+太陽光発電1%+新エネルギー4%、合計8%である。とても20%には達しない。

 麻生首相の「再生エネルギー20%」はとんだ「上げ底」目標である。「漢字を読めない」「空気が読めない」とは聞いていたが、数字も読めないのだろうか。

国際的にも低水準 

Photo_2
環境省検討委員会の「低炭素社会構築に向けた 再生可能エネルギー普及政策について(提言) 参考資料2」より

 上のグラフは環境省が設置した検討会が発表しているものだ。ピンクの横棒が2005年の再生可能エネルギー比率、水色が2020年の目標値だ。

 ここでも日本の2020年目標は8.2%にすぎない。

 他方、EUの目標は20%。デンマークは30%、スウェーデンに至っては49%を目標としている。中国は15%目標。

 日本の再生可能エネルギー目標がいかに低水準か、明白だ。

 こんな調子で「低炭素革命」だの、「政権担当能力」だの言われても、ねぇ!

(アース)

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「太陽光発電を20倍に」と言うけれど・・・

 さる6月12日、麻生首相は「低炭素革命」をうたい、2020年までに温暖化ガスを、1990年比8%(2005年比15%)削減する「中期目標」を打ち出した。

 中期目標を詰めてきた「検討委員会」では太陽光発電は現状(2005年)の10倍にするのが「精一杯」としてきたが、麻生首相が直前に20倍に底上げし、温暖化ガス削減幅を1ポイントアップさせたという。

 「現状の20倍」なんて聞くと、いかにも「革命的」にも聞こえるが、本当のところはどうなんだろう?

200545 202045_2
エネ研日本モデルによる分析結果(中期目標検討委員会本分析結果)」p26、
長期エネルギー需給見通し」p30
 より試算、作図
図の「新エネルギー」は太陽光発電を除く

2005年に日本が消費したエネルギーは原油換算で5.88億キロリットル。そのうち太陽光発電によるものは35万キロリットル、全体のわずか0.06%である。上の左のグラフには表示できない。

 上の右の円グラフは、「中期目標」に沿って「低炭素革命」を行った場合に想定されている2020年のエネルギー源の比率である。 

 太陽光発電を20倍にふやすと言っても、一次エネルギーの、たった1%にすぎないのだ! 

 しかも、2005年と2020年を比べてみると、石炭、天然ガスは21%、15%でまったく変わらない。石油を8ポイント減らして、代わりに原発を6ポイント増やしている。これじゃあ、エコじゃないよね!

既得権益にしがみつく電力会社

 何でこんなに太陽光発電が進まないのか?

 電力会社が嫌がっているからだ。

 電力会社は「RPS(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置)法」によって、太陽光や風力など新エネルギー等から発電された電力を一定割合以上使うよう、義務づけられている。

 しかし、電力会社は「電力の安定供給」を盾に抵抗している。その結果、「義務量」は2010年度でもわずか1.3%に設定されており、新エネルギー等の供給能力をはるかに下回っている。

 風車を立てたくても、電力会社の抽選に当たらないと立てられない、という状況なのだ。

 新エネルギー等の導入を促進するための「利用義務量」が、実は「買取上限」になり、導入を抑制している。

  欧米では電力自由化により、発電部門と送電部門が分離されている。いろいろな発電による電力を公平に扱うためとされている。

 ところが日本では、2002年、電力業界が「安定供給」を掲げて発送電分離に大反対し、送電事業も9つの電力会社が独占している。電力会社がウンと言わなければ、新エネルギー等の電力は受け入れられない。

 太陽光発電や風力発電が増えれば、発電事業での電力会社のシェアは低下する。電力会社が「安定供給」を盾に風力や太陽光発電の受け入れを制限しているのは、シェア低下を恐れているのだろう。

 電力会社は、原発推進を正当化するためにスローガンとして「温暖化防止」を叫ぶのをやめ、本当に温暖化を防ぐためにはどうしたらいいか、「放射能のごみ」をこれ以上増やさないようにするにはどうしたらいいか、考えてもらいたいものだ。

(アース)

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