ちっともエコじゃない「エコ」キュート
給湯には下図のようなエコキュートがいい、と盛んに宣伝されている。
東京電力は「従来の燃焼式給湯器と比較して・・・CO2を約50%削減」できるとしている。
エコキュートは「ちゃんちゃんこで暖房?」で紹介したヒートポンプを使って、空気の熱を水に移動させてお湯にするから、確かに熱効率はいい、はずである。
ところがいざ電器屋さんで聞いてみると、段々怪しくなってくる。
まず、エコキュートは370リットルとか460リットルとかの大量のお湯、しかも98℃もの高温のお湯をほぼ24時間、沸かしっ放しにするシステムなのだ。だから上の図の②にある大きなタンクが必要になるわけだ。
家庭で給湯と言えば、食器洗いのお湯とお風呂だろう。お風呂が終わったら、翌日の入浴までは、大した量を使うわけではない。
ところがエコキュートでは、お風呂が終わったあたりから98℃のお湯を沸かして保温するのだ。
どうして?
原発で発電して余った電気を売るためである。
原発は、電気使用量の少ない夜間も止めるわけにいかない。余った電気を売るために、東電は「オール電化」を推奨している。炊事もガスコンロをやめてIHクッキングヒーターにして「オール電化」にすれば、夜間の電気は1kwhあたりたったの9円ですよ、というわけだ。
普通の家庭の電気は、1kwhあたり22円~24円である。これを9円で売るのだから、原発で余った電気を売るために東電がいかに苦労しているか、分かるというものだ。
電器屋さんのご主人は、「オール電化」にすれば光熱費が安くなると強調していた。しかし、エコかどうかの観点から見ると、問題が多い。
400リットル前後のお湯を98℃に保つには、相当な電気を使っているはずだ。ガスでお湯を沸かすのに比べて本当にCO2を減らせるかどうか、定かではない。
しかもエコキュートは、原発を前提にした「オール電化」に組み込まれている。原発は一旦事故を起こせば、破滅的な放射能汚染を引き起こす。事故を起こさなくても、使用済み核燃料の再処理工場からは、「原発一年分」もの大量の放射性廃棄物が毎日放出されている。そういう前提で設計されているのだ。
大飯原発1基あたり | 六ヶ所再処理工場 | |
---|---|---|
気体(希ガス・・・クリプトン85) | 925 | 330000 |
気体 ヨウ素131 | 0.025 | 0.017 |
気体 トリチウム | ― | 1900 |
液体(トリチウム以外) | 0.035 | 0.4 |
液体 トリチウム | ― | 18000 |
プルトニウムなどアルファ線核種 | ― | 0.0038 |
一年合計 | 925.06 | 349900.417 |
一日平均 | 2.53 | 958.63 |
資料出所:原子力安全・保安院(2001)、六ヶ所再処理工場事業許可申請書(2001)
「エコ」キュートはエコにほど遠い代物だ。
追伸 オール電化に批判の声
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