サンゴの天敵・オニヒトデは人間が異常増殖させた
上の写真はオーストラリアのグレートバリアリーフに流れ込んだ泥水だ。
沖縄でも、雨の後にパイナップルやサトウキビ畑からの土で川が赤く濁り、河口から赤い水塊がサンゴ礁へと広がっている光景がよく見られるという(本川達雄著「サンゴとサンゴ礁のはなし」)。
泥水が流れ込むと、海中に光が届かなくなり、褐虫藻が光合成できなくなる。サンゴは炭素化合物を褐虫藻の光合成に依存しているので、これは死活問題である。
下の図はオーストラリア・国立海洋研究所の研究を示している。赤丸が洪水、赤い縦棒がオニヒトデの大発生を示している。
洪水が起こって泥水がグレートバリアリーフに流れ込むと、その2~3年後にオニヒトデが大発生するという。なぜか?
洪水になると、化学肥料が混ざった土砂が海に大量に流出する。
化学肥料に含まれる栄養分によって植物プランクトンが繁殖、その植物プランクトンを餌にしてオニヒトデの子どもが増殖し、大量発生が起きる。
オニヒトデは15本の腕を持ち、腕の端から端まで、大きいものは60センチに達する。地面に接する面の中央に口がある。
「サンゴの上に乗り、普段は体内にしまい込まれている胃を裏返しにして口から吐き出してサンゴの上に広げる。胃は消化酵素を分泌してサンゴの軟体 部を溶かし、溶けた液を吸収する。オニヒトデが去ったあとには真っ白いサンゴの骨格が残る(本川達雄著「サンゴとサンゴ礁のはなし」)」。
以前、沖縄の農地は森や段々畑で細かく区切られ、赤土の流出は抑えられていた。1972年に日本に返還された後、生産性を上げるため大規模な区画整理が行われた。以来、肥料を含んだ大量の赤土が海に流れ込むようになった。
グレートバリアリーフでも、沿岸の森林を伐採してサトウキビ畑が作られた。そのサトウキビ畑から泥水が海に流れ込み、光合成を抑え、オニヒトデを大量発生させ、サンゴを死滅させつつある。温暖化も、泥水も、ニンゲンの仕業である。
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