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2008年9月

「いのちの宝庫」サンゴ礁/サンゴは欲張り大家?

サンゴ礁は「海の熱帯雨林」と呼ばれる。実にさまざまな生き物がそこで暮らしているからだ。

 サンゴ礁の多様な生き物たちを支えている「おおもと」は、サンゴの体内に共生している褐虫藻である。

サンゴと褐虫藻の共生

 褐虫藻は太陽の光を浴びて光合成し、作り出したグリセリンなど炭素化合物の約9割をサンゴに与える。

ヘラジカハナヤサイサンゴの
一日のエネルギー収支
収  入 支  出
呼吸 成長 体外へ
褐虫藻 250.7(光合成) 24.6 0.2 225.9(サンゴへ)
サンゴ 225.9(藻より) 103.6 2.0 120.3(粘液など)
本川達雄著「サンゴとサンゴ礁の話」119頁より

 サンゴは褐虫藻を体内に住まわせて、魚などに食べられないように保護する。
 サンゴはいわば大家さん、褐虫藻は店子ということになるが、稼ぎの9割が家賃とは、あまりにも欲張りではないか?

 実は、サンゴは褐虫藻に家を貸しているだけではない。もらった炭素化合物の約半分を使って、粘液を作っている。この粘液は透明で、サンゴの体をすっぽり覆っている。そのおかげで褐虫藻は十分な光を浴びることができる。

 海底の砂が巻き上げられたり、川から土砂が流れ込んだりするので、海水中には微小な砂粒が漂っていて、サンゴの粘液の上に降り積もってくる。あま り積もると光合成しにくくなるので、汚れた粘液を剥がして捨て、新しい粘液の膜を張る。粘液は透明な使い捨ての上着のようなものらしい。

はがれた粘液が作り出す生態系

 はがれた粘液の半分以上は、すぐに海水に溶けてしまう。粘液は炭素化合物やたんぱく質からできているので、海水中のバクテリアの餌となる。そのバ クテリアを食べて動物プランクトンが増え、それを餌にする大きな動物が増える・・・というようにして、生態系が成り立っている。

 海水に溶けなかった粘液には海水中のバクテリアや単細胞の藻類、動物プランクトンなどがくっついて栄養豊富になる。さらに砂粒がくっついて海底に沈み、底生バクテリアの餌になり、それが底生動物の餌になる。

 という訳で、サンゴ礁には多種多様な生き物が暮らしている。その「おおもと」は、褐虫藻が行う光合成なのだ。

「いのちの宝庫」が危機に瀕している

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 上の図は日本最大の サンゴ礁域、沖縄県・石西礁湖(せきせいしょうこ)のサンゴを国立環境研究所と朝日新聞社が調査した結果を示している。

 2003年には生きたサンゴが 50%以上を占める海底(緑色の部分)がかなりあったが、2008年にはほとんどなくなり、「5%未満」の赤い部分が圧倒的に増えている。

 サンゴの約7割 が失われたという。2007年の白化が最大の原因らしい。

 この海域の海面水温の年平均値は過去100年で0.7度上昇しているという。地球温暖化が進めば、この「いのちの宝庫」は壊滅するだろう。

 ヒトもまた、生態系の一員だ。「いのちの宝庫」の崩壊は、ヒトにも大問題なのだ。

続く
(アース)

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「美白」はニンゲン様だけ?

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NHK総合テレビ「サンゴの悲鳴が聞こえるよ」(2008.9.8)より

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ゆんフリー写真素材集「サンゴと熱帯魚」より

 エメラルドグリーンの澄んだ海。色鮮やかな熱帯魚たち。
 サンゴ礁は実にきれいで、「サンゴ礁の海に一度は潜ってみなければ、その人の一生は、その分だけ貧しくなる」そうだ(本川達雄著 サンゴとサンゴ礁のはなし)。

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これは真っ白できれいなサンゴだなぁ、などと思ったら大まちがい。海が熱くなって死にかけているのだ。

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サンゴはイソギンチャクと同じ刺胞動物。白くて堅い石灰質の骨格の中に、ポリプが無数に入って、触手を伸ばしている。

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ポリプの体内に、褐虫藻という植物プランクトンをたくさん飼っている。

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褐虫藻は直径100分の1ミリくらい。ペリディニンという褐色の色素を持ち、サンゴの体内で光合成し、サンゴに栄養を与えている。

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海水温が30℃を超えると、褐虫藻がサンゴから逃げ出してしまい、

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サンゴが白化する。

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             (死んで藻が生えてきたサンゴ)
 サンゴは自分の触手で動物プランクトンをつかまえて食べるが、これはチッソやリンを補給しているだけ。「主食」は褐虫藻からもらうグリセリンなどの炭素化合物だ。褐虫藻に逃げられたサンゴは「主食」を食べられずに弱り、死んでしまう。サンゴにとっては、「美白」なんて、とんでもないことなのだ。

温暖化で進むサンゴ礁の危機

 サンゴは水深10~20メートルの浅い海で繁殖している。深い海では日光が届かず、褐虫藻が光合成できないからだ。浅い海では水温が上昇しやすい。

 1988年、ラニーニャ現象で海水温が異常上昇、「1000年に一度の規模」でサンゴ礁が白化した。世界のサンゴ礁の16%が手ひどく破壊され、その40%は回復したが、残りは未回復。

 「世界のサンゴ礁の状況2004」によると、サンゴ礁のうち健全なのはわずか30%。26%は今すぐではないが、長期的には危うい状況にあり、24%は危機に瀕しており、20%はすでに破壊されているという。

 昨2007年にも大規模な白化が起きている。

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 今年、環境省と北海道大学の研究班がサンゴ礁の未来予測を行なった。
 上の図のピンク色がサンゴ礁を示している。 

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 赤い範囲は、平年の高水温を上回り、サンゴ礁が白化して死滅する可能性が高い所だ。 

 今後も経済成長を重視し温室効果ガスを排出し続けた場合、2030年代には太平洋のほぼ全域が赤い範囲に含まれる、という。

 私はまだサンゴ礁を見ていない。孫、ひ孫にも、きれいなサンゴ礁を見せてやりたいものだ。

 (2枚目の画像以外はNHK総合テレビ「サンゴの悲鳴が聞こえるよ」(2008.9.8)より)

                                       (続く)

                                       (アース)

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地球温暖化かブラックホールによる地球消滅

 

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 超巨大ブラックホールの想像図
天文ニュース「超巨大ブラックホールの『食糧事情』の変化を探る」より

 温暖化に警鐘を鳴らしても科学は政治経済に弱く、政治経済は科学に無知。科学と政治経済の力関係は格差がありすぎます。科学は政治経済に無力に近いのです。
 たとえば、『血の出る政治』・戦争は、作ってはいけない原爆を製造してしまった。原爆の原理は相対性原理からです。水爆はその延長上にあります。双方とも宇宙論の学者です。アインシュタインに関しては誤り認め、反戦運動を始めて間もなく謎の死を遂げています。

 今巨大な加速器でブラックホールを創ろうとしています。この実験は地球自身を吸い込んで消滅してしまうと危惧されています。これも原爆・水爆を創った米エネルギー省のバックがあります。原水爆より桁違いに恐ろしい兵器が出来上がります。危険な実験のため訴訟騒ぎになっています。

参考
地球消滅動画

科学は諸刃の剣です。政治経済企業が悪用しないよう国民が監視していかねばなりません。(政治のコントロール)

 

 洞爺湖サミットはCO2削減がいつの間にか原発ビジネスにすり替わり、盛り上かったようです。
CO2削減と称して原発の利権が幅を利かし、日本中原発だらけになってはCO2よりはるかに危険です。温暖化も悪用するような温暖化至上主義には反対です。

 2050年50%削減も非常に緩い規制です。政治が呑むと思ったのでしょう。
それも突破されてしまい科学者は余りにも無力です。
科学を生かすも殺すも政治、何世紀にもわたって宗教や政治に科学は振り回されています。
今最悪なのは、資本主義の悪いところと社会主義の合体した中国の恐怖の経済成長です。環境破壊なんてそんな生易しいものではなさそう。
人類を破滅に導くかもしれない。

 横断歩道の信号機のように、死者が出ないと信号機が設置されない。
温暖化も甚大な被害が出ないかぎり対策をとらない。
中印の経済成長が氷河の融解を加速すれば危険な事に。
今、日本の科学者が氷河湖の決壊警報装置を付け、携帯で住民に知らせるシステムを構築中。
 世界は温暖化の警報装置が鳴るのを指をくわえて待っているような状態ですが、それどころか、ブラックホールに何もかも飲み込まれてしまうかもしれません。
                                       byエコエンジェル

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日本の原発輸出にアジアから抗議の声

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 上に載せたのは9月10日の朝日新聞夕刊2面の記事の一部である。

 日本はいま、「地球温暖化対策」と称して、日の丸原発をアジアに輸出しようと懸命になっているようだ。インドネシア、ベトナム、カザフスタンなどの名前が挙がっているが、200基以上もの原発を新設しようと計画している中国が最大のターゲットだろう。

 原発を輸出するなんて、とんでもないことだ。事故が起きたらどうするのだ。「環境」に配慮しているフリをして、実は商売のことしか考えていない。

 当然ながら、原発を押し付けられそうなアジア各国から、抗議の声が続々と挙がっているという。私たちにとっても、大きな問題だ。

                                     (アース)

<<以下、朝日新聞記事を引用します>>

1日夜に突然、辞意を表明した福田首相は、原子力発電所を「地球温暖化対策の切り札」と位置づけ、日本の原子力技術をアジアで生かすことに積極的だった。

7月の環境を主要テーマとした北海道洞爺湖サミットを控えた4月15日、福田首相は現職首相として初めて日本原子力産業協会年次大会であいさつし、大きな拍手に包まれた。福田首相は「我が国の優れた原子力技術を生かし、アジアや世界で安全で計画的な原子力の拡大に貢献することは、我が国の重要な役割だ」と述べた。

 

国内の原子炉メーカーの海外進出意欲の高まりを受け、日本政府は今、アジアヘの技術輸出に力を入れ始めている。今年度は原発の導入を政府決定しているインドネシアやベトナム、カザフスタンの技術者らを対象に日本や現地で約7300万円かけて研修などを開催。国際原子力機関(IAEA)が原発の導入を検討する国を対象に実施している技術協力に、9300万円を負担する。資源エネルギ―庁の担当者は「今後も協力を求めてくる国があれば、積極的に支援していく」と話す。

■  ■

だが、昨年7月の新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が被災したことや、中国・四川大地震を受け、アジア諸国では反原発運動が広がりを見せている。

同原発が立地する同県柏崎市では6月下旬、アジア各国からの参加者を含む大規模な反原発集会が開かれた。

「地震の多発地域のアジアに原発の適地などない」。台湾の呉慶年・元成功大理学院教授が滑らかな日本語で呼びかけると、参加者約1千人が「そうだ」と声を上げ、柏崎刈羽原発の廃炉を求めるプラカードを掲げた。

柏崎市内をデモ行進した郭金泉・台湾海洋大教授は「原子炉メーカーの主力は今やいずれも日本の会社。日本の皆さん、どうか核のないアジアをつくって下さい」と訴えた。

6月30日に東京で開かれた反原発集会「ノーニュークス・アジアフォーラム」では、台湾、インドネシア、タイ、韓国の参加者が、各国・地域の原発が抱える自然災害への不安を訴えた。

3カ所計6基の原発を抱える台湾の高成炎・台湾大教授は、2千人以上の死者を出した99年の台湾大地震を例に挙げ、「いずれの原発も断層から1.5~7キロしか離れていないのに、原発の耐震基準は日本や米国よりはるかに甘い。万一、地震で原子力災害が起きれば、土地が狭く人口密度の高い台湾は壊滅的な打撃を被る」と嘆いた。

■  ■

06年に地震が発生し約5千人の死者が出たインドネシア中部では、国内初の原発建設計画が進む。反原発運動を続けるディアン・アブラハムさんは「インドネシア国民は今、柏崎刈羽原発に対する日本の対応を注視している。原発先進国の日本で再開が難しければ、インドネシアでの稼働は不可能だからだ」と話した。

現地では中越沖地震の約1カ月半後、3千人以上が計画撤回を求めデモ行進したという。アブラハムさんは「インドネシアは日本と違い、天然ガスなどの化石燃料が豊富にある。原発から手を引くことは十分可能です」と力んだ。

タイから参加したチョクチャイチャムナンキットさんは一度は着工を見送った政府が再び原発建設を模索していることを指摘し、「タイには津波もある。災害時、原発はどうなるのか。日本人にも真剣に考えてほしい」と訴えた。

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