« 再生可能エネルギーで人類再生を | トップページ | 日本の原発輸出にアジアから抗議の声 »

温暖化を知らせる蝶

450
http://www.insects.jp/kon-tyotumaguro.htm より
 このきれいな蝶をご存じだろうか。ツマグロヒョウモンという、タテハチョウ科の蝶の雌である。「ツマ」は「端」、「はしっこ」。ツマグロとは後ろ羽の下端が黒いことを意味している。

 下の写真は雄。やはり後ろ羽の下端が黒く、ヒョウ柄の紋がはっきりしている。
450_2
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/HTMLs/tumagurohyoumonn.html より
 このツマグロヒョウモンは熱帯・亜熱帯から暖帯に分布する南方系の蝶である。
 幼虫で冬を越すが、短時間なら-4℃程度の低温には耐えるが、5℃では餌を食べない。低温が続くと腹ぺこで死んでしまうわけだ(「日本産蝶類標準図鑑」)。
私が昆虫採集に夢中になっていた数十年前、近畿以西では普通に見られる蝶だったが、東京や埼玉ではとてもお目にかかれなかった。

 ところが最近、埼玉県下でも頻繁に目にするようになった。やはり温暖化が進んだお陰らしい。パンジー、ビオラなどスミレ科の葉を食べる。 
20080228042_400
 上の写真の、背中にオレンジ色のしゃれた筋の入った毛虫が、ツマグロヒョウモンの幼虫である。今年2月28日に自宅のパンジーにいた。去年9月にタネをまき、農薬・殺虫剤など一切使っていないので、秋に産みつけられた卵がかえり、幼虫で冬を越したわけだ。温暖化が進んでいることをツマグロヒョウモンが教えてくれている。
20070725k135
 上の写真は蛹になる少し前、5センチくらいに成長した幼虫。トゲトゲだらけだが、このトゲはこけおどし。手で触っても何ともない。
Photo
蛹になってもトゲトゲで身を守る。
Photo_2
2週間くらいで蝶になる。
Photo_3
「日本産蝶類標準図鑑」より
 ツマグロヒョウモンの分布は上の図のように、関東、北陸まで北上している。
 温暖化のお陰で、関東では見られなかった蝶が見られるようになったわけだ。
 私のような昆虫好きにはありがたいことだが、ガーデニングの立場からすれば、とんだ害虫が進出してきたわけである。
450_3
「生活ほっとモーニング」より
 7月29日の「生活ホットモーニング」(NHKテレビ)によると、北海道利尻島で獲れるウニが減っているという。海水温が約1℃上がり、高温に弱いエゾバフンウニが激減。

 エゾバフンウニを増やすため、卵から施設で育てた子どものウニを海に放流したり、餌となる昆布を確保するためにほかの海草を海底から駆除したりしているという。

 今まで獲れなかった魚が、温暖化で獲れるようになった、温暖化のお陰です、といった話があっても良さそうなものだが、「温暖化のお陰」でダメになったという話ばかりが聞こえてくるのはどういうわけだろうか。
                                         (アース)

|

« 再生可能エネルギーで人類再生を | トップページ | 日本の原発輸出にアジアから抗議の声 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 温暖化を知らせる蝶:

« 再生可能エネルギーで人類再生を | トップページ | 日本の原発輸出にアジアから抗議の声 »