石油がなくなる!? ガソリン値上げの背景
石油・ガソリンが何でこんなに高くなってしまったのか?
サブプライム・ショックで逃げ出した投機マネーが石油市場に流れ込んでいると言われている。
本当に、それだけ?
10年も前に、「世界の石油生産は想像以上に早くピ-クを迎え、2010年までには石油価格は高騰し始めるだろう」 と言っていた人たちがいるそうだ。ASPOという、石油不足に警鐘を鳴らしてきた団体のC.J.キャンベル氏らだ。
2008年の今まさに、石油が高騰している。
石油生産は一昨年、ピークに達したようだ。
昨年の生産量は一昨年にくらべ0.2%、日量12万6,000バーレル減少している。
石油が足りなくなれば高値になるのは当然だ。
図1 「Statistical Review of World Energy 2008」を元に作図
石油の半分をつかってしまった?
石油は「いくら使っても無くならない」ようなイメージがあるが、世界第2位の埋蔵量を誇るブルガン油田(クウェート)は1938年に発見された古い油田である。
世界最大のガワール油田(サウジアラビア)は1949年の発見。埋蔵量はほぼ半分になり(「石油 1億6千万年の旅」2008年6月28日BS1放映)、自噴圧力を維持するために海水を注入している始末である。
図2
Bartlett議員:2005米議会の証言資料を改変
上の図から分かるように、世界の油田発見のピークは1965年。最近は大きな油田は見つかっていない。これでは石油が無くなる日は近い。
埋蔵量統計はインチキ
1979年の第2次オイル・ショック以降、石油消費が低迷し、OPECは国別に生産枠を決めて生産調整する事態に追い込まれた。国別生産枠を決め る際には、確認可採埋蔵量が大きいほど有利になる。1983年以降、OPEC各国は次々に確認可採埋蔵量を引き上げ、わずか6年間に3,050億バレルも急増、その後は横ばいである。
石油の確認可採埋蔵量統計なるものは、実は産油国の数字をそのまま発表しただけで、何ら検証されていないのが実態だ。掘っても掘ってもなくならい「ミラクル」はこうして演じられてきたのだ。
自然エネルギーを推進せよ
上の図にもあるように、石油の消費は今後、多少のでこぼこはあっても、年々減少していくだろう。すでに日本でもガソリン高騰で車が減り、漁師たちは廃業の瀬戸際に追い込まれている。産油国は石油を売り惜しむだろう。
上の図の予想どおり石油消費が減退すれば、2050年にCO2排出量半減も夢ではないかも知れない。しかし、それでは不景気が蔓延するだろう。石油頼みを脱し、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギー利用を中心にする必要がある。
自動車はガソリンがなくても電池で走れる。モーターボートもある。しかし飛行機を電池で飛ばすのは大変そうだ。プラスチックを初め、今日の工業製品の大部分は石油を原料に生産されている。一体、どういうことになるのだろうか?
ハルマゲドン?
一番心配なのは、石油をめぐる戦争だ。アメリカは未だにイラク戦争を続けているし、「専守防衛が国是」のはずの日本だって、油断はできない。下手をすれば石油の争奪戦でハルマゲドンということにもなりかねない。そうしないためにも、省エネだけでなく、脱石油-自然エネルギーへとシフトさせていかなければならない。
(アース)
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