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黒氷河と温暖化とオセロゲーム

白氷河と黒氷河は大自然のオセロゲーム。

 黒い氷河が存在するのだ。
何処かの親分が白いものを黒いと言わせているのではない。
ご覧の通りである。

 現在ヒマラヤの氷河は科学者たちの予想を超えて溶け、毎年1mずつ薄くなっている。ガンゴトリ氷河などは20年前の2倍弱の35メートル/年で後退し続けている。
その融解スピードに拍車をかけているのは勿論温暖化だが、それだけではない。
黒い氷河の存在である。
正体はヒマラヤの氷河でモンスーンの時期に大量発生する雪氷藻類。マリモのような微生物「クリオコナイト」である。
黒氷河は太陽熱を吸収し、なんと3倍弱、融解をスピードアップするのである。
30億年前から真っ白い氷河に黒い穴『クリオコナイトホール』を作り、オセロゲームのように白を黒にひっくり返して氷河を壊し続けているのだ。
大自然のオセロゲームはイーブンの勝負で均衡を守っていたのだが、温暖化によって黒が優勢になってしまった。

スーパービッグメルトは全てを溶かす。

 地球規模の温暖化は地球規模で氷を溶かし、人類文明をも融解させる。
インドのインダス川、中国の黄河は世界文明の発祥地である。その水源であるチベットやヒマラヤ山脈の水流を調整している自然の氷河湖が、20世紀の10倍にまで増えている。
温暖化により氷河の融解スピードが加速され、氷河湖の水位が上昇、決壊の危機に瀕している。

 地球水循環研究セーターの研究データによると、氷河の端っこがここ数年13メートルのスピードで融解し、最大は30メートルも後退しているのである。
50ヶ所近い氷河湖が次々決壊すれば大洪水になり、パキスタン、ブータンなどで数万人が被災する。
さらにインドのガンジス川や中国の黄河、長江は絶大なる被害を受け、大水害の後これらの河川は乾期に水の流れない「季節的河川」になる。

 乾期に水が流れなければ、灌漑用水が枯れはて、大干ばつになる。ガンジス川はインドの栽培地の40%を灌漑しており、流域の4億700万人が大被害にみまわれ、飢饉になる可能性がある。
チベット氷河群(中国・チベット青海高原)が溶ければ、長江、黄河、ブラマプトラ川が干上がり、中国の穀物栽培の50%が被害をこうむる。
中国、インドとその周辺諸国で10億人以上の食料と水が失われ、行き場を失って難民となる。

 水が無ければ食料が出来ず、文明が崩壊する。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によればヒマラヤ山脈の氷河は2035年までの40年間で5分の1になってしまう。
これは世界中で起こっているのである。
「世界氷河台帳(World Glacier Inventory)」には世界中の氷河の40%、64,541個が載っている。
その大部分が学者を驚嘆させるほど急速に溶解し始めている。
人間が使える水(淡水貯水量)の70%は氷河の恵みによる。もし氷河が融解し消えてしまえば、水不足・食糧不足で20~30億人が難民化し、世界はパニックに陥るのだ。
飢餓、戦争、疫病、あらゆるものが人類を襲うのである。

参考

 黒氷河;図1の左上(クリックすると拡大できる)

 氷河融解

  約30年間の薄くなった氷河の変化が大きいのは

  30m以上は イタリア・カレセル カナダ・プレース フランス・サレンヌ各氷河

  20m以上は アメリカ・南カスケード フランス・サンソルラン スイス・グリース オーストリア・ヒンター各氷河

                                   byエコエンジェル

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