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CO2温暖化説は間違っている?

 最近、「CO2温暖化説は間違っている」(槌田 敦著、ほたる出版 2006年)という本を読んだ。「人間の排出するCO2で地球は温暖化した、とする気象学者の主張は事実ではない」という。

 これが本当なら大変だ。これまで論じてきた色々な温暖化対策は無意味ということだ。そこでこの本を中心に槌田氏の主張を私なりに受け止めつつ、温暖化の原因についてどこまで分かっているのか、調べていきたいと思う。
 なお、槌田氏の主張は、講演要旨および学会年報でも知ることができる。

 槌田氏がまず問題にしているのが、大気中のCO2は本当に化石燃料の燃焼によって溜まっているのか? ということである。

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 上のグラフはこの本「CO2温暖化説は間違っている」からの引用である(以下、同様)。化石燃料の燃焼とセメント産業から大気中に放出されたCO2の58%が大気中に毎年溜まったと仮定して得られるCO2濃度曲線(図の細い実線)が、ハワイのマウナロア山で観測されたCO2濃度(―●―)とよく重なっている。気象学者キーリングが見いだしたこの関係は、大気中のCO2は化石燃料の燃焼によって溜まっていくことを強く示唆している。

 上の図の細い実線は化石燃料等から放出されたCO2の累積量を示しているが、下の図は毎年の放出量を示している。

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 世界的な不況の進行などにより、1980年ころから化石燃料の燃焼によるCO2排出は鈍化し、部分的には減少さえしている。その間、実際のCO2濃度はどう変化していたか。

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 上の図は図表1-3と同じくハワイのマウナロア山で測定された結果だが、CO2濃度そのものではなく、毎月のCO2濃度が前年に比べてどれだけ増えたかを示している。年によってかなりばらつきがあるものの、1960年から2004年まで、傾向としては前年比の濃度が直線的に増えている。ということは、CO2濃度自体は2次関数で増加している、ということになる。

化石燃料使用量増分
CO2濃度増分
1960-1980年 1.4億トン/年 1960年 0.8ppm/年
1980年 1.3ppm/年
1980-1990年 0.7億トン/年 1990年 1.55ppm/年
2000年 1.8ppm/年
 

 化石燃料使用量増分とCO2濃度増分を比べてみると、上の表のように、1980年以降は化石燃料使用量の増分は減っているのに、CO2濃度増分はますます大きくなっている。

 これらの事実から槌田氏は「大気中のCO2濃度は人間の排出するCO2とは関係がないのである。このCO2濃度の上昇は、たとえば気温に連動する海面温度の上昇により、海洋から放出されたと考えられる」と主張している。

 今後、引き続いて検討していきたい。

                                             (アース)

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