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2008年3月

温暖化至上主義はやめよう!

 原子力委員会は3月21日に発表した原子力白書に、温室効果ガスの排出量削減に向け、「原子力エネルギーの平和利用の拡大が不可欠」と明記したという。一体、何を考えてるの?地球温暖化を阻止するために原発を増やすなんて、とんでもない話だ。

 二酸化炭素の排出が少なければ何でもいい、という「温暖化至上主義」はやめてもらいたい。

 石油などの化石燃料を燃やすと二酸化炭素が出る。原発でウランを燃やすと死の灰が出る。あなたは、死の灰より二酸化炭素の方が怖いですか?

 日本の原発はすでに、6兆KWh以上の電力と、広島原爆100万発分以上の死の灰(高レベル廃棄物)を作り出している。

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「厖大な核のごみの始末のつけ方」より
 

 その死の灰の処分を引き受ける自治体が一体どこにあるだろうか?

 原発事故が起これば、死の灰がまき散らされる。いくら温暖化の進行が遅くなっても、チェルノブイリ原発事故のように、膨大な放射能がばらまかれ、人間が殺されたのでは、何にもならない。

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「原子力発電、チェルノブイリ、そして日本の原発」より

 1986年4月、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機で起こった事故により、およそ広島原爆800発分の死の灰が放出された。 上の地図に見られる汚染地域はセシウム137が平方km当たり1キュリー以上検出された地域で、本来、立ち入りを厳しく制限され住んではいけない場所だ。汚染地域はチェルノブイリ原発から600km先にまで及び、合計14.5万平方km。日本の面積の約4割にあたる。

 事故を起こすのはロシアの原発だけではない。日本でも、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏洩事故(1995年 現在も停止中)、作業員2名が亡くなった東海村JCO核燃料での臨界事故(1999年)、作業員5名が亡くなった美浜原発(福井県)の配管破断事故(2004年)など、原発関連施設での事故が相次いでいる。

 いわんや、日本は地震大国である。大地震で恐ろしい原発災害が発生する可能性がある。

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 柏崎刈羽原発3号機の屋外変圧器から出火、黒煙が立ち上った

 昨2007年7月の新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発は設計時に想定していた揺れの最大6.8倍もの揺れに見舞われた(東電発表、朝日新聞207年7月31日)。建設前から住民らは敷地の地盤が軟弱で周辺にも炉心直下にも活断層があると指摘してきた。東電は活断層を過小評価して原発建設を強行し、過小評価が判明した後も隠していた原子炉建屋直下の断層が動いており、廃炉にするしかないと指摘されている

 この地震のマグニチュードは6.8だった。もしも、1964年の新潟地震のようにマグニチュード7.5だったら、地震のエネルギーは約10倍。原発がどうなっていたか、想像するだに恐ろしい。

 さらに、原発は温暖化を防ぐどころか、海を加熱し、二酸化炭素を出させる。

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「原発はなぜこわいか」 勝又進・天笠啓祐 著、高文研 より

 例えば上の図の100万KW原発の場合、原子炉の中では300万KW分の熱が出ている。200万KW分の熱は海に捨て、わずか100万KW分を電気に変えている。「発電所」というより「海暖め装置」だ。

 100万KW原発の排熱は1秒間に70トンの海水の温度を7度上げる(「地球温暖化問題の本質」より)。現在、日本には55基の原発があり、総出力は5000万KW。100万KW原発50基分である。1年間に約1000億トンの海水の温度を7度上げている計算になる。日本の全河川流量が年間4000億トンだから、日本中の河川の温度を約2度上げていることになる。

 海の温度が上がれば、溶け込んでいた二酸化炭素が大気中に出て、温室効果を発揮する。温度の上がった海自体も気温を上げる。ダブルの温暖化である。

 原発推進のために温暖化問題を悪用するなんて、とんでもないことだ。本当に温暖化を阻止したいのなら、太陽光発電や風力発電に力を入れるべきだ。

 

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地球を解熱させるには

 温暖な気候と聞くと、四季があって、自然の変化に富み、花が咲きみだれ、稲が実り、食料も豊富で、人口密度も高いところ。地域的には、東アジア、アメリカ東部 、黒海沿岸、カスピ海西部沿岸、イタリア北東部、南アメリカの湿潤パンパ、オーストラリア東部などである。
 皆、豊かな地域なので、温暖化といわれると、何となく豊かになるような気がする。
どうも温暖化という言葉からは危機感が感じられない。「気候変動問題」などと言うと余計解りにくい。

 「全地球温暖化」などは、地球全体が豊かになるような気分だ。
「灼熱地球」では、地球丸ごとバーべキューにされて宇宙人に食べられそうだ。
最近使われるようになった「高温化地球」、「高熱化地球」、「地球発熱」などには危機感が大分感じられる。特に「発熱」は地球の病気である。

 人間も病気になると高熱が出る。時間がたっても下がらなければ、病院に行く。
地球は熱が下がるどころか、上がる一方である。病院行きだ。
人間だと、とりあえず対症療法で解熱剤を飲み、様子を見る。次に検査をする。
細菌やウイルスに感染していれば、CRP、白血球などが増加している。
地球を検査すると、時系列でCO2が増加している。発熱の原因である。地球も病気だ。
では原因である細菌は何か?
人間の爆発的増殖と活動である。もちろん増殖するには、動植物、そしてこの百年では燃えるもの何でも餌にする。
病気は熱が下がらないと細菌など侵入者に殺されてしまう。
地球の病気では、地球自身は死なないのである。発熱の元である人間に危機が訪れるのである。

 では地球の解熱治療はどうすれば良いのか。
治療には原因療法と対症療法がある。
ただし原因療法は絶対に出来ないのである。
原因である人間をばい菌の様に殺すわけにいかない。
地球の解熱だけで凌がなければならない。
人体からの排出は仕方が無いとして、CO2を増やさないためには物を燃やさない事である。
たとえ燃やしてもCO2を炭素と酸素に分解(炭素の固定)できれば良いのだが。
自然界では植物の光合成があるが、人工光合成の研究はまだ成功していない。
高温でCO2の分解が出来るので、太陽炉(2千度)で実験的に行なわれている。
何にしても地球丸ごと解熱させるのは至難の業だ。

参考

【時事通信】などが伝えるところによると、福井県の外郭団体【財団法人若狭湾エネルギー開発センター(WERC)】は1月27日までに、太陽光を集めて高温状態を作る「太陽炉」を利用し、二酸化炭素を分解する仕組みの開発に成功した。一日あたり2キログラムの二酸化炭素を分解できるという。

 仕組みとしては、酸化鉄を太陽炉で加熱することにより、不安定な酸化鉄(FeO)と酸素に分解。そのFeOが二酸化炭素と結合する過程で分解される というもの(酸素と炭素も精製される)。この太陽炉の技術はWERCの2006年度研究成果報告書に記載されている太陽炉の技術を応用したもので、正式名 称は【大型太陽炉の製作と太陽熱エネルギーを利用した水素製造技術の開発(PDF)】。数年来太陽光をエネルギーとして活用できる太陽炉の開発をWERCでは行なっていた。太陽炉の特徴・利点は

 

・クリーンで無尽蔵な太陽光を利用できる。
・最高3000度の高温が比較的容易に得られる。
・不純物の混入が少なく、任意の大気中で対象を加熱、冷却できる。

など。もちろん使用が天候に左右されるなどの弱点もある。

太陽炉イメージ リンク先の実験では酸化鉄の精製や水を分解した水素の発生を実施、それぞれ成果を得ている。なおWERCの試験太陽炉では、ひまわりのように太陽を追いかけてレンズの方向を変化させるため、電動機とリングギアを連動させた仕組みを採用している。

 2006年の時点で10kWの出力を得られる大型太陽炉(レンズ面は3.3×3.3メートル)が出来たと説明されているが、先の時事通信でも同じ太陽炉の写真が掲載されていることから、今回の二酸化炭素分解においてもこの太陽炉が使われたものと思われる。

 高熱に物質を加熱させた時のエネルギーを反射させて使う反射炉が容易に作れることや、技術的な問題の他に天候に左右されるなど運用上の弱点から、太陽炉はあまり人気がない。わずかにNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の海外レポート【NEDO 海外レポート(PDF)】の中で、アメリカのサンディア国立研究所において10Kwの高フラックス太陽炉に関する言及が見られる程度である(熱化学水素生産テストに用いられているそうな)。

 太陽電池と同じく、太陽の恵みをそのまま直接受け取り、利用できる太陽炉。その太陽炉が二酸化炭素の分解に役立つ仕組みを提供するとなると、「人間 のヘマを太陽に尻拭いしてもらう」ような感じもして、多分に申し訳ない気もしてくる。とはいえ、背に腹は代えられないのも事実。規模はまだ小さいが、今後 の実験成果に期待したいところだ。

 素人考えではあるが、どのみち「太陽追尾システム」が導入されているのなら、太陽電池と重ね合わせ、「二酸化炭素を分解しつつ電力を供給する」という一石二鳥型の発電ユニットなどできると最強なのだが……。

出典

太陽の光で二酸化炭素を分解・太陽炉利用の新技術開発より

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温暖化は地球虐待?

最近 「地球に優しい」という言葉が氾濫している。
まるで誰かが地球を虐待しているかのようである。
誰かと言うのは人間様の事の様だ。
人間が地球をイジメル、言葉通りにとると意味不明である。
地球の重さ60億トンの100万倍の100万倍VS人類の重さ4億トン。
喧嘩にならない体重差だ。
まあ冗談はさておき、人間を含めた生物の生存のための地球環境を虐待していることらしい。
言うまでも無いが 「地球に優しい」は、生き物にとって優しい地球環境が正しい。

 二酸化炭素が増え、温暖化により気温が50度100度になろうが、化石燃料が枯渇して電気や車や工場が止まり人間の生産活動が停滞しようが、地球は痛くも痒くもない。反対に地球システムが生物の大量絶滅を5回も引き起こしているのだから。
宇宙を含めた地球環境システムが、ある時は生命を大繁栄させ、また数億年後のある時、天変地異を起こして突然大絶滅させる。46億年の地球史上で5回も繰り返してきた。地球環境は生命に対して優しくもあり厳しくもある。

 ところが最近、人類自身がこの地球システムを狂わせる悪さを始めたのである。地球環境システムが狂い出し、温暖化により生物の生存が危うくなりつつある。その証拠に生物種の絶滅スピードは、ジュラ紀には大よそ1000年間に1種、17世紀~20世紀初頭までには大よそ4年間に1種、産業革命が始まった20世紀中ごろまでには絶滅スピード加速し1年に1種、21世紀後半からはなんと9時間に1種、21世紀終わりには13分に1種、産業革命が始まった頃の4万倍という恐るべきスピードで種が絶滅している。

 19世紀まで、人類は人力エネルギーにより、農耕と牧畜と狩猟で食糧を得、刀や小火器を奮って殺し合いつつ、共存してきた。その後人類は食物を食うだけでなく、莫大なエネルギーを食い(消費し)はじめた。産業革命である。破竹の快進撃で自動車、 飛行機、船、その他多数の工業製品を生みだした。中でも一番発達したのが、能率良く人類自身を抹殺する大量殺人兵器だ。あらゆる生き物の中でこれほど天才的に同胞を殺すことに血道を上げた生物はいない。さらに人類活動システムが、自らも含めた地球上の全生命を脅かし始めた。己自身をも危機に追いやるまで、進化し、増え続けてしまったのか。
もっとも、生命も自然や環境を構成しているエレメントなのだから、生命が生命を滅ぼしても地球史的には何の不都合も無いのだが。 

 人類の先祖らしきものが地球上に現れてわずか700万年しか経っていないのに、もう自ら滅亡すると弱音を吐かねばならないのは情けない限りである。地上で最強の生き物が本当に滅亡するのだろうか? 解っているのなら、フィードバックを掛けなければなら ない。

 まず温暖化の原因は人類の化石燃料 (エネルギー)依存症にあるのだ。麻薬中毒患者がハイになるように、人類文明も化石燃料をどんどん消費してハイになっていき、ブレーキが効かなくなり、暴走を始めた。そして人類の生存環境を汚染し、ボロボロにして きたのである。暴走にフィードバックを掛けるのは大変である。科学者がいくら警告を出しても、企業や国家が血相を変えて取り組まなければならないのだが、京都議定書は二酸化炭素の超排出国で超大国のアメリカに拒否されてしまった。

 アメリカの拒否の表向きの言い訳は、温暖化シミュレーションに入力するパラメーターよって深刻度にピンキリが出て、信頼度が薄いという理由である。現実には化石燃料仕掛けで動くアメリカにとって、石油メジャ ーの勢力は絶大なもので、大統領も逆らえないと言われている。石油業界の話では、アメリカは生き延びるために油隠しをやり、輸入国に成り済ましているのだそうだ。
 さらに悪い事に中国、インドの大発展した工業生産による膨大な二酸化炭素の放出が温暖化をさらに大加速させるだろう。

 地球の賞味期限と消費期限は後どれぐらいなのだろうか。それは地球の生物扶養能力(資源問題)と汚染浄化能力できまる。果たして人類は、地球資源を使い捨てにして、地 球という閉じた系のなかで朽ち果ててしまうのか。

 エネルギー消費生活をセーブして、食べる事(農耕,牧畜など)を基本に長年の弱肉強食文明を離れ、生きとし生ける物の全てが生存出来る世界を選ぶか。現状をテクノロジーで乗り越え、人類の底無しの欲望を地球外までのばし、欲望を無限に吸収してくれる宇宙へ発展させるかも知れない。

 最悪の可能性は、テクノロジーが追いつかず、人類はチンマリと地球で絶滅し、絶滅の後の大進化(地球では過去に5回あった)で全く別な生態系が生まれて、人類に取って代わる可能性もある。

 私は人類の無限の可能性を信じたいがゆえに、人類及び全生物を生存させる為に、そう遠くない未来に、人類の総力をあげ、全知全能を傾け、政治形態・経済形態を含めた全地球環境制御システム=グローバルスタビライザーの構築が必要不可欠であろうと思う。

付録

これは「地球異変余録 スバーバル編」からの引用です。

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  「次へ」をクリックすると、「地球異変余録 スバーバル編」へ飛びます。このブログに戻るには、ブラウザーの戻るボタンをクリックしてください。

 ホッキョクグマが危機に瀕している。昨年5月、国際自然保護連合は絶滅危惧種に指定した。温暖化の影響か、クマが生きぬくために必要な北極の氷は、年々減少し続けている。北極圏に浮かぶスバールバル諸島で、環境の変化と彼らの姿を追った。

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石炭火力をLNGに代えれば二酸化炭素は8%も減る!

 1月26日にテレビ朝日で放映された「朝まで生テレビ 激論!ドーする?!“地球温暖化”」を、最近、録画でようやく見た。NPO気候ネットワーク代表の浅岡さんの指摘が印象的だった。

 発電する場合、石炭を燃やすと、LNG(液化天然ガス)の1.8倍も二酸化炭素を出すのに、日本は石炭を増やしているというのだ。

 燃やせば二酸化炭素が出るのは石炭もLNGも変わりはないだろうと思っていたので、意外だった。調べてみると、資源エネルギー庁の「エネルギー白書2004」に下のグラフが載っていた。

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上のグラフによると、発電する時、石炭火力はLNGの1.86倍の二酸化炭素を出す。製造・運用段階を計算に入れても、1.6倍だ。

エネルギー白書2007」によると、石炭火力は激増している。

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 90年以降を見ると、水力(水色)は横ばい、石油(黄色)は減少しているのに対し、原子力(ピンク)とLNG(橙色)が増え、石炭(紫色)は激増している。

 下のグラフは上のグラフをもとに石炭とLNGの比を計算したものだ。

Co2

 1992年度からLNGより石炭を増やしていることが一目瞭然だ。

 なんでこうなっているのか? 
 コストを比較すると、大して変わらない。

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 発電コストがほとんど違わないのに、なんで石炭火力を増やしてきたのか、わからないが、2005年度の石炭火力発電量は2,509億KWh、約2.2億トンもの二酸化炭素を出している。これを全部LNG発電に置き換えれば、最大約1億トンも二酸化炭素を減らせる計算になる。これだけで1990年の温暖化ガス12.7億トンの約8%に当たる。2005年の日本の温暖化ガスは1990年比6.9%増だが、石炭火力をLNGに代えるだけで、-1.1%になるわけだ。

 節電や省エネも大事だけど、やっぱり、エネルギー政策が肝心だよね。だよね!

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