温暖化至上主義はやめよう!
原子力委員会は3月21日に発表した原子力白書に、温室効果ガスの排出量削減に向け、「原子力エネルギーの平和利用の拡大が不可欠」と明記したという。一体、何を考えてるの?地球温暖化を阻止するために原発を増やすなんて、とんでもない話だ。
二酸化炭素の排出が少なければ何でもいい、という「温暖化至上主義」はやめてもらいたい。
石油などの化石燃料を燃やすと二酸化炭素が出る。原発でウランを燃やすと死の灰が出る。あなたは、死の灰より二酸化炭素の方が怖いですか?
日本の原発はすでに、6兆KWh以上の電力と、広島原爆100万発分以上の死の灰(高レベル廃棄物)を作り出している。

「厖大な核のごみの始末のつけ方」より
その死の灰の処分を引き受ける自治体が一体どこにあるだろうか?
原発事故が起これば、死の灰がまき散らされる。いくら温暖化の進行が遅くなっても、チェルノブイリ原発事故のように、膨大な放射能がばらまかれ、人間が殺されたのでは、何にもならない。

「原子力発電、チェルノブイリ、そして日本の原発」より
1986年4月、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号機で起こった事故により、およそ広島原爆800発分の死の灰が放出された。 上の地図に見られる汚染地域はセシウム137が平方km当たり1キュリー以上検出された地域で、本来、立ち入りを厳しく制限され住んではいけない場所だ。汚染地域はチェルノブイリ原発から600km先にまで及び、合計14.5万平方km。日本の面積の約4割にあたる。
事故を起こすのはロシアの原発だけではない。日本でも、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏洩事故(1995年 現在も停止中)、作業員2名が亡くなった東海村JCO核燃料での臨界事故(1999年)、作業員5名が亡くなった美浜原発(福井県)の配管破断事故(2004年)など、原発関連施設での事故が相次いでいる。
いわんや、日本は地震大国である。大地震で恐ろしい原発災害が発生する可能性がある。

昨2007年7月の新潟県中越沖地震により、柏崎刈羽原発は設計時に想定していた揺れの最大6.8倍もの揺れに見舞われた(東電発表、朝日新聞207年7月31日)。建設前から住民らは敷地の地盤が軟弱で周辺にも炉心直下にも活断層があると指摘してきた。東電は活断層を過小評価して原発建設を強行し、過小評価が判明した後も隠していた。原子炉建屋直下の断層が動いており、廃炉にするしかないと指摘されている。
この地震のマグニチュードは6.8だった。もしも、1964年の新潟地震のようにマグニチュード7.5だったら、地震のエネルギーは約10倍。原発がどうなっていたか、想像するだに恐ろしい。
さらに、原発は温暖化を防ぐどころか、海を加熱し、二酸化炭素を出させる。

「原発はなぜこわいか」 勝又進・天笠啓祐 著、高文研 より
例えば上の図の100万KW原発の場合、原子炉の中では300万KW分の熱が出ている。200万KW分の熱は海に捨て、わずか100万KW分を電気に変えている。「発電所」というより「海暖め装置」だ。
100万KW原発の排熱は1秒間に70トンの海水の温度を7度上げる(「地球温暖化問題の本質」より)。現在、日本には55基の原発があり、総出力は5000万KW。100万KW原発50基分である。1年間に約1000億トンの海水の温度を7度上げている計算になる。日本の全河川流量が年間4000億トンだから、日本中の河川の温度を約2度上げていることになる。
海の温度が上がれば、溶け込んでいた二酸化炭素が大気中に出て、温室効果を発揮する。温度の上がった海自体も気温を上げる。ダブルの温暖化である。
原発推進のために温暖化問題を悪用するなんて、とんでもないことだ。本当に温暖化を阻止したいのなら、太陽光発電や風力発電に力を入れるべきだ。
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