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2008年1月

60%削減とは大変だなぁ!

 元日からNHKテレビで繰り返し放映された「未来への提言 地球温暖化に挑む ~キーパーソンからのメッセージ~」を見ていたら、「世界中で排出される二酸化炭素が年間70億トン、海や森林に吸収されるのが30億トン」と言っていた。

 しかし、年間に排出される二酸化炭素は265億トンのはず(下のグラフは環境省ホームページによる)
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 この違いの原因がようやく分かった。

 下の図は、同じく環境省のホームページに載っている図を改変したものである。

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 70億トンというのは、炭素トン、つまり、二酸化炭素に含まれる炭素の量なのだ。二酸化炭素の量としては約257億トンになる。炭素の重さを12とすると、二酸化炭素の重さは44だから、約3.67倍になるわけだ。

 炭素トンだと数字が小さくなるだけ、考えやすい。72億トン排出して31億トンしか吸収されないのでは、二酸化炭素はどんどん増えていく。これ以上の温暖化を阻止するには、二酸化炭素が増えないように、31億トンにまで減らさないといけない。72億トンを31億トンに減らすということは、53%も減らすのだ。日本は中国やインドに比べたら一人当たりの二酸化炭素排出量ははるかに多いのだから、最低でも60%は減らさないといけないだろう。これは大変な事態だ。

 


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おいおい福田君、まぁがんばってね

 1月18日の朝日新聞夕刊1面に「低炭素社会 実現訴え 首相施政方針」の見出しが踊っていた。「ホウ、福田君も低炭素社会なんて言い出したか」と施政方針演説をチェックしてみた。

 「地球環境問題は21世紀の人類にとって最も深刻な課題」として「低炭素社会への転換」をうたっているのはいいのだが、「世界の先例となる『低炭素社会』への転換を進め、国際社会を先導してまいります」とまで言われると、「オイ、オイ、大丈夫かい?」と言いたくなる。

 なにしろ、日本は温室効果ガス6%削減の公約さえ達成しておらず、逆に6%以上も増加している。それなのに福田首相は「低炭素社会とはどのようなものか、どうすれば実現できるのかなどを分かりやすくお示しできるよう、有識者による環境問題に関する懇談会を開催する」という。具体論はこれから考えてもらう、というわけだ。当面打ち出した対策は、相変わらず「産業界の更なる(省エネ)努力」と「民生部門の省エネ対策」だけ。

 これでは、6%削減も無理だろう。「国際社会を先導してまいります」なんて、よくも言えたものだ。ドイツをはじめEU諸国は「温暖化対策で経済成長」と発想の転換を図り、自然エネルギー推進、炭素税導入などさまざまな対策をすでに実現している。

 「低炭素社会への転換」を言う以上は、まずは、暫定税率で徴収した税金で道路を作ったりしないで、暫定税率を廃止・炭素税を導入し、自然エネルギー推進などに当てるべきだろう。

 

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温暖化阻止の道は険しいが・・・ 

 

「ドイツは『環境対応で経済成長』を目指す」 で、ドイツの温室効果ガス排出量が1990年から2000年までは17%も減っていたのに、「再生可能エネルギー法」が制定された2000年以降は横這いなのはなぜなのか、疑問を呈した。

 1月10日のNHK総合テレビ「時論公論」は「地球温暖化外交・日本の役割」を論じた。ホームページによると、「EUが全体として、90年比で順調にCO2削減を進めてこられたのは、89年の旧東ドイツの体制崩壊によって、非効率な発電所や製鉄所がその後、次々と閉 鎖されていった、言わば一回限りの歴史的な幸運に負っている。この事実は、多くの専門家のあいだで、ほぼ共通の認識になっています。」と書かれている。

 どうやらドイツ統一の影響で排出量が低下したものの、「再生可能エネルギー法」の効果は経済の回復と相殺されて、まだ効果を現すに至ってないようだ。

 1月6日に再放送された「地球特派員スペシャル カーボンチャンス ~温暖化が世界経済を変える~」では、ドイツの温暖化対策として、「ドイツは『環境対応で経済成長』を目指す」で紹介した事例に加え、さらに以下の事例を紹介している。

  1. 農村では、牛豚の糞尿・麦・牧草などを発酵させ、メタンガスで発電している。コージェネ発電で熱を利用して家庭の暖房・給湯もしているので、年間の光熱費が1軒当たり年間約8万円節約できた。

     この発電は村の事業。「再生可能エネルギー法」で買い取られるので、2年目で黒字になった。子どもや孫の世代のことを考えている。

    大規模な火力発電や原発では熱を有効利用できないので、エネルギーの3分の2を浪費している。

  2. ミュンスター市の事例

     自転車が40万台も登録されており、自転車専用道路が街の中だけで100キロ以上もある。

     20年前から過剰包装をなくしてきたので、市場でもトレーやラップはほとんど使われていない。マイバッグを持参し、ごみは徹底的に分別するので、家庭で出るごみは1ヵ月にくず箱1ヶ分くらい。レポーターの江川紹子が訪問した家のごみはびっくりするほど少なかった。

     住宅の断熱工事を市が応援。工事の相談に乗り、発泡スチロール吹きつけなどの工事費に補助金を出し、エネルギー効率の高い家を表彰する。住民が自分でできる工事は自分でやっている。

 こうした内容は、ブログ「試行錯誤」にも紹介されていた。引用されている「大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館」のホームページによると、 1994年、日本の憲法に相当するドイツ基本法第20条aに「国は次世代のために自然を守る責任がある」と規定されたそうです。温暖化対策に日独の大きな違いがあるのがうなずけます。

 しかし、嘆いていても始まらない。

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 一人当たりの二酸化炭素排出量は日本もドイツもほとんど同じです。いわば、同じスタートラインに立っているのです。温暖化阻止の道は険しいけど、子や孫の生活は今の取り組みにかかっています。

 上のグラフは環境省資料「世界の二酸化炭素排出量」2頁を引用したものです。

 

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日本の炭酸ガスが やばい!

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 日本は京都議定書によって、今年から2012年までの間に温室効果ガス排出量を1990年から6%減らす義務をおっている。ところが2005年の実績は6.9%増

しかも、温室効果ガス排出量の内訳を見ると、実は二酸化炭素(炭酸ガス)は13%も増えている! 減っているのはメタン、一酸化二窒素、代替フロンなどで、特に代替フロンの減少が効いている。

 ところが、その代替フロンガス等の排出量が下げ止まっている

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いよいよ、二酸化炭素排出量を本格的に減らさなければどうにもならない局面にきているようだ。京都議定書の義務を果たすためには、あとわずか4年間に二酸化炭素を1990年の14.4%も減らさなければならない計算になる。そんなことができるのだろうか。温暖化対策を積極的に打ち出してきたドイツに比べ、日本の政治家たちは一体何をしていたんだろうか。             (主催者)

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ドイツは「環境対応で経済成長」を目指す

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 1月6日夜のNHK・BShi「地球特派員報告 カーボンチャンス~温暖化が世界経済を変える~」を見た。各国の温暖化対策が紹介されていたが、中でもドイツの対応が目を引いた。

  1.  ドイツでは1998年の総選挙で、脱原発・自然エネルギー推進を訴えた緑の党が躍進し、連立政権に加わった。当時、自然エネルギーによる発電は電力の4%にすぎなかったが、2000年に「再生可能エネルギー法」が制定された。自然エネルギーによる電力を電力会社がすべて買い取る、しかも発電にかかったコストより高く買い取ることが義務づけられた。買い取りは20年間保証されており、これが太陽光発電をドイツに一気に普及させる原動力になった。太陽光発電量は日本を抜いて世界一になった。自然エネルギーによる発電を電力の40%にするのが目標とされている。

  2.  こうした政策により、太陽電池メーカーが急成長した。東西ドイツの統合後衰退していたビッターフェルトに10年ほど前、Q.cells という太陽電池メーカーの工場が作られた。年率15%の急成長をとげ、2006年の売り上げは900億円、社員1700人、シャープに次ぐ世界第2位の太陽電池メーカーに成長した。

  3.  風車が非常に増え、飛行機で降りてくると、目立つのは風車。空き地には風車を立てる、という風潮になっている。

  4.  BMWは世界で初めて水素エンジンを搭載した自動車を発売、映画スターや政治家に試乗させ、PRしている。「炭酸ガスを出さない自動車」を世界標準にしようとしている。

 これまでは、環境対策にお金を使うと経済成長の妨げになると考えられてきた。しかしドイツは、環境対策に力を入れて新たな産業、新たな雇用を生み出し、経済成長しようとしている。そのためには、市場経済にまかせていてはダメなので、政府が方針を明確に打ち出し、強力に介入している。

 ただし、上のグラフを見ると、再生可能エネルギー法が制定された2000年以降は温室効果ガスの排出量は横ばいである。1999年まで減少してきたのはなぜなのだろうか。

 他方日本政府は、今夏の温暖化対策サミットの主催国でありながら、産業界任せで温室効果ガス排出量を減らすこともできず、二酸化炭素排出枠を税金で買うというていたらく。全く情け無いと言うほかない。      (主催者)

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ドイツは温暖化阻止の先進国?

 1月6日(日)午後11時からNHK・BSハイビジョンで「地球特派員スペシャル カーボンチャンス ~温暖化が世界経済を変える~」が再放送される。NHKのホームページによると「(環境エネルギー革命で) 世界をリードしているのは、メルケル首相率いるドイツだ。国の誘導的政策によって、太陽光や風力など再生可能エネルギーにシフト、地方や農村が活性化し雇用が生まれ経済も成長している」そうだ。どんな内容なのか、見てみようと思っている。
 昨2007年12月31日の朝日新聞朝刊1面に載っていた下のグラフも、「環境先進国・ドイツ」のイメージにぴったりだ。       (主催者)

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一体どうしたらいいの?

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 京都議定書の約束期間がいよいよ始まった。世界の温室効果ガス排出量は年々増えている。中国やインドの一人当たりの排出量は日本やアメリカに比べればずっと少ないので、もっと減らせと言うのは無理がある。このままでは温室効果ガスは絶望的に増えていく。一体どうしたら地球温暖化をストップすることができるのか。家庭で節電に励んだり、買い物にマイバッグを持参したり、企業が省エネに精を出したりするレベルで片づく問題なんだろうか。欲望を刺激して商品を売りつける資本主義体制を何とかしなければダメなのか? その答を模索していきたいと思います。  (主催者)

なお、上のグラフは「気候変動に関する政府間パネル 第四次評価報告書 第三作業部会報告書 気候変動2007:気候変動の緩和 政策決定者向け要約 暫定版 仮訳 2007.5.14版」 5頁のグラフを一部改変したものです。
                 

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