「ドイツは『環境対応で経済成長』を目指す」 で、ドイツの温室効果ガス排出量が1990年から2000年までは17%も減っていたのに、「再生可能エネルギー法」が制定された2000年以降は横這いなのはなぜなのか、疑問を呈した。
1月10日のNHK総合テレビ「時論公論」は「地球温暖化外交・日本の役割」を論じた。ホームページによると、「EUが全体として、90年比で順調にCO2削減を進めてこられたのは、89年の旧東ドイツの体制崩壊によって、非効率な発電所や製鉄所がその後、次々と閉
鎖されていった、言わば一回限りの歴史的な幸運に負っている。この事実は、多くの専門家のあいだで、ほぼ共通の認識になっています。」と書かれている。
どうやらドイツ統一の影響で排出量が低下したものの、「再生可能エネルギー法」の効果は経済の回復と相殺されて、まだ効果を現すに至ってないようだ。
1月6日に再放送された「地球特派員スペシャル
カーボンチャンス
~温暖化が世界経済を変える~」では、ドイツの温暖化対策として、「ドイツは『環境対応で経済成長』を目指す」で紹介した事例に加え、さらに以下の事例を紹介している。
- 農村では、牛豚の糞尿・麦・牧草などを発酵させ、メタンガスで発電している。コージェネ発電で熱を利用して家庭の暖房・給湯もしているので、年間の光熱費が1軒当たり年間約8万円節約できた。
この発電は村の事業。「再生可能エネルギー法」で買い取られるので、2年目で黒字になった。子どもや孫の世代のことを考えている。
大規模な火力発電や原発では熱を有効利用できないので、エネルギーの3分の2を浪費している。
- ミュンスター市の事例
自転車が40万台も登録されており、自転車専用道路が街の中だけで100キロ以上もある。
20年前から過剰包装をなくしてきたので、市場でもトレーやラップはほとんど使われていない。マイバッグを持参し、ごみは徹底的に分別するので、家庭で出るごみは1ヵ月にくず箱1ヶ分くらい。レポーターの江川紹子が訪問した家のごみはびっくりするほど少なかった。
住宅の断熱工事を市が応援。工事の相談に乗り、発泡スチロール吹きつけなどの工事費に補助金を出し、エネルギー効率の高い家を表彰する。住民が自分でできる工事は自分でやっている。
こうした内容は、ブログ「試行錯誤」にも紹介されていた。引用されている「大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館」のホームページによると、 1994年、日本の憲法に相当するドイツ基本法第20条aに「国は次世代のために自然を守る責任がある」と規定されたそうです。温暖化対策に日独の大きな違いがあるのがうなずけます。
しかし、嘆いていても始まらない。
一人当たりの二酸化炭素排出量は日本もドイツもほとんど同じです。いわば、同じスタートラインに立っているのです。温暖化阻止の道は険しいけど、子や孫の生活は今の取り組みにかかっています。
上のグラフは環境省資料「世界の二酸化炭素排出量」2頁を引用したものです。
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